湯浅邦弘『諸子百家 儒家・墨家・道家・法家・兵家』中公新書
戦国楚簡研究第一人者のお一人、湯浅邦弘教授の待望の一冊。
アマゾンで一時品切れだったけど、ようやく入手。もっともこれは初刷りなので、一部でバカ売れしているということのようだ。
戦国楚簡を文献学的にどう扱うかについては、さまざまな異論があり、何かとモメる部分でもあるのだが、湯浅教授は
郭店楚簡・上博楚簡の双方を利用
して、新たな中国思想史の概観を示してみせる。
内容としては、高校〜大学初級くらい向けかな。
ただ、諸子百家という形で、なおかつ戦国楚簡との整合性を持たせながらの叙述になるので、扱われている思想家それぞれの思想の特徴が場合によっては薄くなる印象はぬぐえない。
大学教養程度の教科書に使えるかどうかというとちょっと微妙。メインのテクストではなく、参考文献として挙げるにはいいかも。
諸子百家のそれぞれのテクストの読みについては、これまた難しい問題があるので、一応、台湾中央研究院の
十三經注疏
人文資料庫師生版1.1
などのデータベースで伝統的な読みを軽くチェックしつつ、繙くぐらいの注意深さは必要かと思う。
それと、ちょっと気になったのだが
魯壁(p.5写真)
は保存されていたモノではなく
中国的「復元」で再生されたもの
だ。あの魯壁を作っているときに孔府へ行って、工事現場を見てきてげんなりしていたある研究者から直接伺ったので、それは間違いないかと思う。
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