「マスコミたらい回し」とは?(その143)神戸市の医療破壊を狙った記事か 産科破壊報道で名を馳せる共同通信と毎日新聞、5/8付で神戸市の方針を無視して「神戸で診療拒否」と悪質な誤認記事を全国に配信 地元紙神戸新聞は5/7付で裏取りして「全例発熱相談センターに連絡」という神戸市のインフルエンザ対策を報道→毎日新聞江畑佳明記者によれば「都はリスト化も検討」だそうで「リストアップされた病院はインフルエンザ二次感染の恐れのない安全な病院」確定か
さすが
産科医療破壊報道の両雄 共同通信と毎日新聞
はひと味違う。
神戸市では、インフルエンザ疑いの場合、
渡航歴があってもなくてもまず「発熱相談センターへ相談」
と指導しているのだが、そのことを無視して
神戸で診療拒否
と書き立てている。いや〜、ステキ。
6県1政令市でも診察断る 発熱相談センターなどに申し出新型インフルエンザ感染の疑いが少ないのに、発熱などを訴える人が医療機関で診察を断られたとして「発熱相談センター」などに届け出たケースが、判明している東京都以外に少なくとも6県1政令市であることが7日、共同通信の調べで分かった。
東京都では同日までに212件に上り、医療現場に新型インフルエンザをめぐる誤解や過剰な反応が広がっていることが浮き彫りになった。厚生労働省は6日、都道府県を通じて医療機関などに適切な対応を求める通知を出している。
厚労省は医療機関に対し、患者が発熱などの症状に加え発生国への渡航歴などがある場合には、発熱相談センターに電話で相談し、紹介される医療機関で受診することを患者に勧めるよう、指導している。
こうした条件に当てはまらないのに診療をしなかったり、センターへの電話を促された例があったのは、埼玉、千葉、滋賀、島根、岡山、高知の各県と神戸市で、東京以外はいずれも数件程度。
「中学生の息子が発熱したのでかかりつけの病院に電話したら、海外に行っていないのにセンターに相談するよう言われた」(神戸)「渡航歴はないが、感染の可能性もあるので診察できないと拒否された」(埼玉)など明確な理由がないまま診察を拒む例が並ぶ。
2009/05/08 01:17 【共同通信】
この記事が配信された日時が
5/8 01:17
であることに注目して頂きたい。
同じ内容を1時間遅れで毎日新聞もwebに載せている。
新型インフル:やまぬ診察拒否 相談、5県2政令市でも新型インフルエンザ感染の可能性がないのに医療機関に診察を拒否されたとの相談が、東京都以外にも5県2政令市に寄せられていたことが7日、毎日新聞の調査で分かった。東京都への相談件数は7日朝までに計212件に達した。都内では都が説得しても診察を拒否し続けている病院もあり、厚生労働省は「国内未発生の段階では、発生国に行っていなければ診察して問題ない」として、医療機関に適切な対応を求めている。【内橋寿明、江畑佳明】
調査は7日、都道府県と政令市の新型インフルエンザ対策担当者に実施。診察拒否の相談があったのは東京都のほか、埼玉、千葉、滋賀、島根、高知の各県と横浜、神戸両市だった。東京都以外はいずれも数件だったが、東京都はこの問題が報道された5日以降で120件増えた。
東京都内では「(新型インフルエンザでないという)保健所の診断書を持ってきてほしい」と診察を断った医療機関があり、都が患者の連絡を受けて説得しているが、依然として拒否を続けているという。都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討している。相談が報道された後も増えたことについては、都の担当者は「泣き寝入りしていた患者たちが、報道で知って連絡してきたのでは」と推測している。
横浜市では「診察してもらうのに、何カ所もの医療機関を回らなければならなかった」との相談があった。市は5日付で医師会と病院協会に対し、適切な対応を取るよう文書で要請したという。
島根県には6日夜までに、7件の相談が寄せられた。いずれも渡航歴がないのに、医療機関に発熱相談センターに行くよう求められたとの内容。
センターは、一般の医療機関で受診して構わないと説明したという。担当者は「『発熱相談』という名称なので、熱がある人の対応を一任してしまっていいと勘違いする医師がいるのではないか」と話す。
毎日新聞 2009年5月8日 2時50分
共同通信より1時間以上遅い記事ですね、毎日新聞。
で
江畑佳明記者
がまた担当か。というわけで
都内の先生方、江畑佳明記者が取材に来る
かも知れませんので、チェックを。場合によっては
患者を装って、インフルエンザの診療状況の潜入取材
をするかも知れませんので、その辺りの厳重なチェックを怠りなく。
さて、神戸市は次のように指導している。神戸新聞より。
新型インフル 県と自治体、症状の判断分かれ混乱新型インフルエンザの電話相談窓口をめぐり、症状の連絡を呼び掛ける対象について、神戸市と兵庫県内のほかの自治体との判断が分かれている。県などはメキシコや米国本土、カナダから十日以内に帰国し、発熱やせきなどがある人らが対象。一方、神戸市は、三八度以上の発熱などがあれば、渡航歴がなくても医療機関に行く前に電話連絡するよう呼び掛けており、一部の市民の間に混乱が起きている。
県は、新型インフルエンザがまん延している国からの帰国者で症状が出ている人と、電話で帰国者の健康状態を調査している健康福祉事務所などからまだ連絡がない人を中心に、「発熱電話相談窓口」に連絡するよう呼び掛けている。これにより、まん延国からの帰国者を把握できるとみている。県内で保健所を設置する姫路、西宮、尼崎の各市も同様の対応。
これに対し、神戸市は渡航歴や患者との接触がない場合でも、発熱やせき、息苦しさなどの症状があれば、市の「発熱相談センター」に連絡するよう呼び掛けている。症状などを聞き、医療機関を案内。六日には、直接医療機関を訪れた人が同センターに連絡するよう言われたとして、苦情が寄せられたという。
同市地域保健課は「今回の医療機関の対応は市の方針に沿っており、診察拒否ではない」とした上で、「潜伏期に検疫をすり抜ける人がゼロとは言えない。万一に備え、可能性のある人を広くとらえたい」と話す。
厚生労働省は「相談体制が整っているなら、対象を広くとらえても構わない。ただ、混乱のないよう、住民への周知を徹底してほしい」としている。(石崎勝伸)
(5/7 14:38)
神戸市の判断は疫学的に正しい。
潜伏期に検疫をすり抜ける人がゼロとは言えない。万一に備え、可能性のある人を広くとらえたい
という見通しの元
渡航歴や患者との接触がない場合でも、発熱やせき、息苦しさなどの症状があれば、市の「発熱相談センター」に連絡
と指導しているのは、現在の「新型インフルエンザ蔓延」の実態に即している考え方である。
でだ。
5/7付神戸新聞の記事では、厚労省は「相談体制が整っているなら、対象を広くとらえても構わない。ただ、混乱のないよう、住民への周知を徹底してほしい」と判断
しているわけで、
自治体の判断を尊重し、その代わり周知の徹底のはかるように希望
しているわけなんだけど、
半日後の共同の記事、それを後追いした毎日の記事
は、
厚労省は医療機関に対し、患者が発熱などの症状に加え発生国への渡航歴などがある場合には、発熱相談センターに電話で相談し、紹介される医療機関で受診することを患者に勧めるよう、指導
という、従来と変わらない文言を載せるに留まっている。
神戸新聞と共同通信・毎日新聞と「どちらがちゃんと取材しているか」
は、明らかですね。
しかも、神戸新聞の記事では
六日には、直接医療機関を訪れた人が同センターに連絡するよう言われたとして、苦情
という部分もすくい上げた上での報道なのに、共同通信はただ
7日、共同通信の調べで分かった
だし、毎日も
7日、毎日新聞の調査で分かった
だ。共同が書き立てている
「中学生の息子が発熱したのでかかりつけの病院に電話したら、海外に行っていないのにセンターに相談するよう言われた」(神戸)
という内容は、どう考えても
神戸市の指導から外れている、一方的な言い分
であるのを、わざわざ取り上げているのだ。これが
為にする記事
でなければ何なのだ、共同通信と毎日新聞。
半日遅れの内容が、地元紙の取材より薄い上に、「医療機関叩き」の文脈に沿わせるために一方的な言い分を垂れ流して、現場で治療に当たっている医療スタッフを貶めるための記事
であるのは間違いない。
神戸市の方針を知らない、あるいは
わざと無視して書き飛ばした記事
ではないのか。
しかも
共同通信と毎日新聞の記事は全国配信
されるわけで、
神戸新聞の取材内容を知らない、他の地域の人々は「神戸はひどい」と誤解
することになる。
兵庫県の医療崩壊は、今やトンでもない所まで来ているのだが、比較的マシなはずの
神戸市の医療の息の根も止めたいのか、共同通信と毎日新聞
よ。
ところで、毎日新聞江畑佳明記者によれば
都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討
しているそうだから、
基礎疾患があるなど、インフルエンザの病院での二次感染を恐れる患者さんにとっては、インフルエンザに二次感染しないという都の保証つきの貴重な安全な病院のリスト
ということになる。どうぞ、公表して下さいよ、東京都。
病気を治して貰いに病院に行くのに、待ってる間に院内でインフルエンザに二次感染したんじゃ、たまりませんから。
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コメント
アレなエントリ立てました。
http://punigo.jugem.jp/?eid=534
いやー、マスコミの医療破壊記事による「牟田口症候群」の伝染って恐ろしいですね。
投稿: 都筑てんが | 2009-05-10 23:30
日経メディカルにこんなことが書いてありました。
神戸で渡航歴のない新型インフルエンザ患者が見つかったことを受けて 「厚生労働省健康局新型インフルエンザ対策室長の難波吉雄氏は、発熱外来へ患者を誘導する際の対応を、神戸市については変更する考えを示した。今後、神戸市の発熱相談センターがインフルエンザ症状を訴える患者から相談を受け、患者が受診を希望した場合には、渡航歴がなくても発熱外来に誘導することになるという。」
厚労省のお役人も忙しすぎて健忘症に罹っているようで。それとも神戸の対応は共同通信の指摘を受けて、レベルダウンしていたのでしょうか?
投稿: JSJ | 2009-05-18 08:32
古いエントリーにコメント失礼します。
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20091006ddlk20070162000c.html
>「拒否ではなく『受け入れ不能』なのだ」というのが、現場の声だ。「現場、行政は実情を伝える勇気を持ち、市民は耳を傾けるべきだ」と理事長は訴えた。報道には両者をつなぐ役割があるはずだ。
「おまえが言うな」って感じですね。
投稿: エディ | 2009-10-10 11:21