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2009-05-06

中井義幸『鴎外留学始末』岩波書店 1999

以前、鴎外のことを調べていた頃に購入、この休みに再読した。

鴎外の留学前後の書簡や日記、周囲の人々の書簡や日記などの一次資料を丹念に掘り起こし、
 当時の陸軍内部の「政争」のコマとして扱われた鴎外の姿
を活写する労作。もともと、
 鴎外の陸軍奉職は、津和野からの上京当時から遠縁の西周によって画策
されており、
 年齢を2歳以上偽って東大医学部に進んだ鴎外
が、
 青春の「悩み」で学内で教授に反抗し、成績を伸ばせず、やむなく陸軍を選ぶ
こととなり、更に
 西周の陸軍閨閥伸張プランと陸軍内の人事抗争とが複雑に絡み合って、鴎外の留学が実現
した上に、
 文学の人としての本性を棄てきれない鴎外
が、留学中に数々の「不始末」をしでかし、帰国直後にはそのために
 謹慎を申しつけられる
上に、
 ドイツからエリスが追って来日する
窮地に陥るも、無事エリスを追い返し、西周の閨閥である赤松家の令嬢との婚約を調え
 めでたく赤松登志子と結婚に至る
までを描く。

漢文資料と候文が多いから、この手の文献に馴染みがないと、ちょっと読みにくいが、内容は掛け値無しに面白い。

しかし、あの悪筆の私信類をよくも読みこなしていると感銘を覚える。当時の陸軍高官達の手跡の下手さ加減も凄いし、だいたい
 鴎外が能筆ではない
ので、一次資料を釈読するだけで大変なことである。鴎外のパパの御家流は普通だけど、高官達はいずれも医官なので、ペン書きの上に外国語も混じり、これは読みにくい。

再読して思うのは、鴎外の人物像って、
 養子のパパ
が鍵だな、ということだ。
なんで、鴎外の於菟以外の子ども達があんなになっちゃうのか、また、妹小金井喜美子の描く鴎外像がどうしてああなるのかは、本書を読むと、おぼろげに見えてくる。

鴎外が
 東洋医学に心を寄せて、卒業試験の成績が落ちる
というのは、なかなか面白い話で、そうなると
 晩年の史伝三部作になぜあんなに没頭したか
も、筋道が見えるよね。一般的な読者からすれば
 なんでこんな糞面白くもない小説に係りっきりになったか
と思うだろうけど、
 係りっきりにならざるを得ないのが鴎外の一面
でもある。そう言う意味では、いくら洋行帰りであっても
 幕藩体制の尻尾
みたいなものが、にょきにょきと生えているのが、鴎外である。

鴎外先生は、
 留学の資格が正規の学生ではなかった
ことを、後々まで気にしてたんだろうな。コッホが鴎外に与えた課題と、同じ頃コッホの元に留学して成果を挙げていく北里柴三郎とを比較すると、これは明らかに鴎外には辛い話になる。ドイツ語が出来、情報収集能力に長けていただけに、鴎外は、自分の留学の意味を問い返す時は、何かを犠牲にしなくてはならなかっただろう。
もっとも、そのことと日本国内での出世競争とは話は別、現今の海外留学始末でも同様なのは、日本のエリート達の「教育歴で得るキャリア」が明治も今も変わらないってことかしら。

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