豚インフルエンザ 中国中医薬管理局、H1N1型の新型インフルエンザ予防に有効な処方を発表@5/6→今売り『週刊朝日』5/22号は「見出しだけで判断する」人たちには危険な「漢方の勧め」
中国四千年の知恵
漢方薬で新型インフルエンザを予防
というニュース。
朝日が次のように伝えている。
新型インフル、予防には漢方 中国当局が処方発表2009年5月13日16時3分
【北京=坂尻顕吾】新華社通信によると、中国国家中医(漢方)管理局がこのほど、新型インフルエンザの「予防漢方処方」を発表した。海外感染者の特徴と古今の文献を結びつけ、生活面、飲食面、医薬面の三つの点から漢方の予防法を提示した。
漢方薬が普及している中国では03年に新型肺炎(SARS)が大流行した際にも予防効果が期待され、特定の漢方薬が飛ぶように売れた。今回は、中国での流行前に当局が「予防効果がある」とお墨付きを与えた形だ。
発表された処方は生活面で、衣服の増減により寒暖に対応する▽仕事と休息は規則性を保ち、よく動き、早く寝る▽心のバランスを保つ▽新型インフルに対する恐怖心が気を乱し、風邪をひきやすくするので適切な知識を身につける——などと指摘。飲食面では、刺激物は減らす▽あっさりしたものを心がけ、脂肪の多い、味の濃いものは避ける——としている。
また医薬面は、虚弱体質の人、口や鼻が乾燥する人、顔色が悪く腹部に膨張感のある人など、人の特徴別に特定の漢方薬を提示。服用方法として、長期服用は適さず一般に3〜5日に限る▽いわゆる秘法や偏った処方を信じない——などと訴えている。
この記事の元になった新華社の報道はこちら。新華網(繁体字)より。
中國發布甲型H1N1流感中醫藥預防方案
2009年05月07日 20:45:35 來源:新華網新華網北京5月7日電(記者劉奕湛)國家中醫藥管理局日前發布《甲型H1N1流感中醫藥預防方案》。《方案》就如何預防流感開出中藥藥方。
據了解,國家中醫藥管理結合對目前國外流感人群的認識,總結古今文獻,根據甲型H1N1流感疫情的特點制定了該《方案》。《方案》分為生活起居預防、飲食預防、藥物預防等,針對不同人群提供了詳細且簡便易行的中醫藥預防方案。
對于生活起居和飲食預防方面,要及時増減衣物,以適寒温;飲食要適時、適量、適温,少進刺激之品;作息要有規律,多動、早睡;保持心態平衡,對流感産生恐懼之心,也可導致氣機逆亂,更易招致外感。此外,要注意飲食清淡,少食膏粱厚味之品,做一些簡單、美味的小藥膳,對預防流感也有幇助。
藥物預防方面,針對不同人群,《方案》制定出詳細的藥方。針對素體虚弱,易于外感的人群,藥方為太子參10克、蘇葉6克、黄芩[艸今]10克、牛蒡子10克;針對面色偏紅,口咽、鼻時有幹燥人群,藥方為大青葉5克、紫草5克、生甘草5克;針對面晦無光,常有腹脹人群,藥方為蘇葉10克、佩蘭10克、陳皮10克。針對易上火,口氣酸腐的兒童,藥方為藿[艸霍]香6克、蘇葉6克、銀花10克、生山楂[木査]10克。以上煎服方法為毎日1付,清水煎,早晩各1次,3〜5付為宜。
《方案》強調,服用期間,老年人應在醫師的指導下適當調整用量服用;慢性疾病患者及孕婦慎用;預防感冒的中藥不宜長期服用,一般服用3〜5天;服用期間或服用後感覺不適者,應立即停止服藥並及時咨詢醫師;對上述藥物有過敏史者禁用,過敏體質慎用;不要輕信所謂的秘方和偏方。
此外,根據中醫和民間傳統,多用具有芳香化濁類中藥,制成香嚢或香薫,具有除瘴避穢的作用,如蒼術、艾葉、[艸霍]香、當歸、白芷[艸止]等。
こちらが中国中医薬管理局の発表した原文。元は簡体字。
甲型H1N1流感中醫藥預防方案(2009版)2009-05-06
猪流感是甲型(A型)流感病毒引起的猪或人的一種急性、人畜共患呼吸道傳染性疾病。2009年3月墨西哥和美國等先後發生人感染新型猪流感病毒,人感染猪流感後的臨床早期徴状與流感類似,有發燒、咳嗽、疲勞、食慾不振等,還可以出現腹瀉和嘔吐等徴状。病情可迅速進展,突然高熱、肺炎,重者可以出現呼吸衰竭、多器官損傷,導致死亡。
中醫藥在臨床實踐中積累了一定的流行性感冒的防治經驗。在總結古今文獻的基礎上,針對不同人群制定本預防方案。
一、生活起居預防
1.“虚邪賊風,避之有時”,及時増添衣物。
2.“食飲有節”,飲食要有規律。
3.“起居有常”,作息要有規律。
4.“精神内守,病安從來”,“恐則氣下,驚則氣亂”,對流感産生恐懼之心,必導致氣機逆亂,氣鬱化熱,産生毒熱之邪,更易招致外感。
二、飲食預防
飲食宜清淡,少食膏粱厚味之品(易化生積熱),所以在日常生活中,做一些簡單、美味的小藥膳,對預防流感也有幇助。
二白湯:葱白15克,白蘿蔔30克,香菜3克。加水適量,煮沸熱飲。
姜棗蘇葉飲:蘇葉3克,生姜3克,大棗3個。生姜切絲,大棗切開去核,與蘇葉共裝入茶杯内,衝入沸水200〜300ml,加蓋浸泡5〜10分鐘趁熱飲用。
桑葉菊花水:桑葉3克,菊花3克,蘆根10克。沸水浸泡代茶頻頻飲服。
薄荷梨粥:薄荷3克,帯皮鴨梨一個(削皮),大棗6枚(切開去核),加水適量,煎湯過濾。用小米或大米50克煮粥,粥熟後加入薄荷梨湯,再煮沸即可食用,平時容易“上火”的人可吃。
荸[艸孛]薺、百合、梨等具有清熱生津的作用,可以適當食用。
鮮魚腥草30〜60克,蒜汁加醋涼拌。
鮮敗醤草30〜60克,蒜汁加醋涼拌或蘸[艸酉焦]醤吃。
鮮馬齒莧[艸見]30〜60克,蒜汁加醋涼拌或蘸[艸酉焦]醤吃。
赤小豆、緑豆適量熬湯服用。
若口鼻乾燥較重,可以棉簽蘸[艸酉焦]香油外塗,具有潤燥的功用。
三、藥物預防
1.成人
(1)桑葉10克 白茅根15克 金銀花12克
功能:清熱宣肺
適應人群:面色偏紅,口咽、鼻時有乾燥,喜涼,大便略干,小便黄。
煎服方法:毎日1付,清水煎。早晩各一次,3〜5付為宜。
(2)蘇葉10克 佩蘭10克 陳皮10克
功能:健脾化濕
適應人群:面晦無光,常有腹脹,大便偏溏
煎服法:毎日1付,清水煎。早晩各一次,3〜5付為宜。
(3)大青葉5克 紫草5克 生甘草5克
功能:解毒清熱
適用人群:面色偏紅,口咽、鼻時有乾燥,喜涼,大便略干,小便黄。
煎服方法:毎日1付,清水煎。早晩各一次,3〜5付為宜。
建議不同人群在執業醫師的指導下連續服用3劑,在感冒流行期間可再服用3〜5劑。
在流感流行期間可廣泛服用。
2.兒童
藿[艸霍]香6克 蘇葉6克 銀花10克 生山楂[木査]10克
功能:清熱消滯
適應人群:兒童易夾食夾滯者。此類兒童容易“上火”,口氣酸腐,大便臭穢或乾燥。
煎服方法:毎日1付,清水煎。早晩各一次,3〜5付為宜。
服用中藥預防感冒需要註意事項:
1.老人、兒童應在醫師的指導下適當減量服用;
2.慢性疾病患者及婦女經期、産後慎用,孕婦禁用;
3.預防感冒的中藥不宜長期服用,一般服用3〜5天;
4.服用期間或服用後感覺不適者,應立即停止服藥並及時咨詢醫師;
5.對上述藥物有過敏史者禁用,過敏體質慎用;
6.不要輕信所謂的秘方、偏方和驗方。
四、其他
根據中醫和民間傳統,多用具有芳香化濁類中藥,製成香嚢或香薫,具有除瘴避穢的作用,如蒼術、艾葉、藿[艸霍]香、山萘[艸奈]等。
この中で
日本の家庭でも簡単にできる
のは、最初に紹介されている
普段から薬膳で新型インフルエンザを予防
というレシピの内、
二白湯 葱の白い部分15g 大根30g 香菜(パクチー)3gに適量の水を加えて煮立て、熱いうちに飲む
と
小豆・緑豆を適量、茹でて飲む
かな。
もし、
大棗
が手に入るなら
姜棗蘇葉飲(生姜・大棗・紫蘇の飲み物) 赤紫蘇の葉3g 生姜3g 大棗3個。生姜は繊切りに、大棗は開いて中の種を取り、赤紫蘇の葉と共に茶碗に入れて沸騰した湯200ml〜300mlを注ぎ、蓋をして5〜10分蒸らし、温かいうちに飲む
も作りやすい。大棗は、中華材料の「紅棗」として売られている。たとえばこんなの。
紹介されている新型インフルエンザを予防する漢方薬については
老人や子どもは医師の管理の下で、量を加減する
基礎疾患のある人や産前産後は服用禁止
服用期間は3〜5日以内
服用して気分が悪くなったら、即刻服用を中止して医師に相談する
上記の薬物でアレルギーを起こしたことのある人は服用禁止、アレルギーのある人は慎重に服用する
いわゆる秘方とか、偏った処方とか、「効果がある」処方を軽々しく信用しない
という注意書きが付いている。ほら、
漢方だから身体に安心、アレルギーがあっても、妊産婦でもOK
なんて世迷い言は
漢方の本場中国では決して言われてない
ってことですよ。
漢方薬は薬、100%安全ではない
ってことを上記の中国中医薬管理局の発表は明言している。そして
○○さえ飲んでいれば大丈夫なんてのは嘘
と
誰にでも効く魔法の処方もない
ことも明言している。
漢方だったら何でも大丈夫だし、現代人の知らない秘密の処方がある
というのは、誤り以外の何物でもないし
漢方の名を騙って新型インフルエンザ「商法」で儲けようとする詐欺師
を暗躍させるだけだ。今後、明らかな効能がないにもかかわらず、
漢方の知恵を生かしました
などと称する怪しげな「サプリメント」などが売られないか、注目している。
こうした新しい感染症が発生すると、日本では
漢方なら副作用無し
とか大嘘をつく輩が出てくる。その点では、ちゃんと
薬は毒になることがある
という認識の元にこうした発表をする中国よりも、明確な指針がない、日本の漢方の運用の方が、よほど危険だろう。
続き。
週刊朝日が
麻黄湯が「験方」
という記事を載せているが微妙。
「新型インフルエンザは漢方で治る」説が浮上(週刊朝日 2009年05月22日号掲載)
というのは
絶対的な臨床例の数が少なすぎる
からなのだ。
表は2007年11月から08年3月まで、森医師が診察したインフルエンザ患者のうち、「タミフル」で治療した13人と、「麻黄湯(まおうとう)」と呼ばれる漢方薬を与えた11人を比較したもの。高熱で来院した患者が36・9度以下の体温になるまでの時間を計測したところ、タミフルが平均25・38時間に対し、麻黄湯は14・09時間だった。
対照群ありで麻黄湯の処方例はたった11例。
なおかつ、こうした
漢方によるインフルエンザ治療は、薬剤を増量するために医師の管理下でないとダメ
なのだ。
ただ繰り返すが、 服用量を増やすことで、飲み続けると、動悸やショック状態がみられることもある。森医師は言う。「発汗し解熱しているのにさらに服用を続けると、逆に体に悪いのです」
星野部長も注意する。
「きちんとした専門医にかかってほしい。個人で勝手に服用するのは大変危険です」
確かに記事を最後まで読めば、こうしたことは書いてあるが、
最初に麻黄湯の効能を煽った
後の「注意書き」部分だから、読者が気がつかない危険性は大きい。だって
どの薬が効くか
ということだけが、注意点だと思い込んでいる人多数じゃないのか。もし
麻黄湯増量処方の危険性を記者がよく認識
していたら、
こうした扇情的な記事作りはしない
と思う。命に関わる恐れがあるのだがな。
そして、
週刊誌は見出しが命
だから、たぶん、この記事は次のような形で伝播するだろう。
1. 新聞や電車で見出しを見て「漢方薬が何か」を知りたい人が『週刊朝日』の当該記事の最初の部分だけ立ち読み
2. 「麻黄湯」増量処方ということだけ覚えて「麻黄湯」を購入
3. 医師の管理を受けず、危険な服薬をする
ということになる。
あっては欲しくない話だが
医師の管理なしで、素人考えで麻黄湯を服用して何らかの問題が起きた
時に、それが『週刊朝日』の記事の示唆によるものだった場合、
『週刊朝日』は当然ながら責任を取る
んだろうな?
いくら
注意書きも明記したから責任はない
と言っても、誤解を生むような扇情的な記事を書いているのは確かだ。
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コメント
「インフルエンザがいつ治ったか」は「熱がいつ下がるか」で決められる、という話は初めて聞きました。解熱剤が最強のインフルエンザ治療薬というわけですか。
そうですかー、私は医師として勉強不足ですね。
# 記事はいつもの如く十分ではないと思うので、森医師はきちんと理解して記者に話しているが、記者が理解不十分もしくは筆力不足なのだと信じています
# 皮肉は書きましたが、漢方にも可能性があることは私も否定する気は全くなく、そうかもしれないと考えるところです
投稿: 桜井純一郎 | 2009-05-14 15:57
「インフルエンザが治る」ということと、「発熱というインフルエンザの症状が治まる」ということは中身が違うと思うのですが。週刊朝日の記者は分かっているのだろうか。
麻黄湯の増量服用により、タミフルよりも早く解熱する、というべきでしょう。平均値しかわからないので、断定はできませんが、13例と11例なら統計的有意差は出るかもしれません。
インフルエンザなんて、所詮症状がおさまればよい病気ですので、グダグダ言う必要もないのかもしれませんが、しかし、防疫という観点から言えば、症状がおさまってから排菌(ウイルス)が止まるまでの時間がどうなるのかは、きちんと評価しておくべきだと思います。
また、その治療法にどのような副作用があるのか、あるいはないのか、を云々するには11例は確かに少なすぎですね。
投稿: JSJ | 2009-05-14 15:59
追加コメです。
「インフルエンザの治療」というのなら、治療群ごとの、肺炎や脳炎など重症化する率、死亡率あたりの比較は必要かと思います。
投稿: JSJ | 2009-05-14 18:20
民主党のはたともこさん
http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826
「ひとまず街かど薬局で麻黄湯を買って服用することは、セルフメディケーションの観点からいってももっともな判断ではないかと思います。」
おいおい、こんなこといって大丈夫なんでしょうか。エフェドリンはいってますよね。副作用タミフルの比じゃないと思うんですが。
これで薬剤師だってんだから困ってしまいます。
投稿: とれま | 2009-09-24 17:18