豚インフルエンザ 今回の国内発生の発見遅れは厚労省の失政 神戸市の高校生の検体のPCR検査はなぜ後回しにされたか 厚労省の「水際で阻止できている」プロパガンダが「国内での感染拡大」という可能性を過小評価させた
今回の
高校生の検体チェック
は
検体採取から3日も経ってから
とタイムラグがある。この間、
同じ高校に感染者がいたとしてもチェックされなかった
わけで、
いたずらに感染の拡大を招いた可能性
がないとはいえない。
なぜ、こんなことが起きたのかと言えば
厚労省が「水際防疫は成功していて、国内発生はあり得ない」と宣伝
しまくっていたからである。
今回の新型インフルエンザは
症状が出にくい、または出ても軽い
と言われている。従って
帰国時に発熱など症状がなかった場合は、検疫をすり抜けている
わけで、早晩国内での二次感染が拡がると言われていた。
時事より。
新型インフル3分の1が発熱せず 米医師が報告、早期発見困難にメキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が13日、報じた。
発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。
同医師はメキシコ市の2つの病院で5月上旬、4日間にわたって検診に当たった。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠感は、ほぼすべての患者が訴えた。
また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。同医師は、患者の便に新型インフルエンザウイルスが含まれているかどうか調べるようメキシコ側に促したと説明。「ウイルスが便を介して伝染すれば、特に発展途上国での感染拡大の抑止は難しくなるだろう」と話した。(共同)
元になっている"NY Times"の5/12付記事はこちら。
Many Swine Flu Cases Have No FeverBy LAWRENCE K. ALTMAN
Many people suffering from swine influenza, even those who are severely ill, do not have fever, an odd feature of the new virus that could increase the difficulty of controlling the epidemic, said a leading American infectious-disease expert who examined cases in Mexico last week.Fever is a hallmark of influenza, often rising abruptly to 104 degrees at the onset of illness. Because many infectious-disease experts consider fever the most important sign of the disease, the presence of fever is a critical part of screening patients.
But about a third of the patients at two hospitals in Mexico City where the American expert, Dr. Richard P. Wenzel, consulted for four days last week had no fever when screened, he said.
“It surprised me and my Mexican colleagues, because the textbooks say that in an influenza outbreak the predictive value of fever and cough is 90 percent,” Dr. Wenzel said by telephone from Virginia Commonwealth University in Richmond, where he is chairman of the department of internal medicine.
While many people with severe cases went on to develop fever after they were admitted, about half of the milder cases did not; nearly all patients had coughing and malaise, Dr. Wenzel said.
Also, about 12 percent of patients at the two Mexican hospitals had severe diarrhea in addition to respiratory symptoms like coughing and breathing difficulty, said Dr. Wenzel, who is also a former president of the International Society for Infectious Diseases. He said many such patients had six bowel movements a day for three days.
Dr. Wenzel said he had urged his Mexican colleagues to test the stools for the presence of the swine virus, named A(H1N1). “If the A(H1N1) virus goes from person to person and there is virus in the stool, infection control will be much more difficult,” particularly if it spreads in poor countries, he said.
The doctor said he had also urged his Mexican colleagues to perform tests to determine whether some people without symptoms still carried the virus.
He also said he had examined patients and data at the invitation of Dr. Samuel Ponce de León, who directs Mexico’s national vaccination program.
Dr. Wenzel said that an unusual feature of the Mexican epidemic, which complicates the understanding of it, was that “in recent months five different influenza viruses have been circulating in Mexico simultaneously.”
Pneumonia rates at one of the hospitals Dr. Wenzel visited, the National Institute for Respiratory Diseases, reached 120 per week recently compared with 20 per week during the past two years, suggesting a possible relation to the swine flu.
The pneumonias that the flu patients developed did not resemble the staphylococcal lung infections that were believed to be a common complication in the 1918-1919 influenza pandemic, Dr. Wenzel said.
He said the two Mexican hospitals were well prepared for an outbreak of respiratory disease. Mexican doctors activated a program to allay anxiety among staff members, offering the staff information, a hot line, psychological support and medical examinations.
“This aspect of epidemic response is not well appreciated in the United States in my estimation, yet is critical for success,” Dr. Wenzel said. “We haven’t put nearly enough into managing fear among health workers.”
明らかに
水際防疫が不十分
であるにもかかわらず、厚労省が
国内での発生はない
というプロパガンダを続けたことが、今回の
高校生の検体のPCR検査遅れをもたらした
のは明らかだ。
神戸新聞より。
新型インフル 高校生検体検査は3日後 対応遅れ新型インフルエンザに感染した神戸市内の高校三年男子生徒の検体は、診察した医師が十二日に提出していたが、実際に詳細(PCR)検査が行われたのは三日後の十五日だった。神戸市医師会は、対応の遅れを指摘している。
同市によると、生徒を診察した医師は、生徒に海外渡航歴がなかったことから、季節性インフルエンザのソ連型か香港型か-の検査を要請したという。市は「発熱外来の検査を優先するのでいいか」と医師に確認した上で、検査を後回しにしたとしている。
市医師会は十二日、新型インフルエンザ対策会議で、複数の学校でA型の季節性インフルエンザが流行しているとの報告を注視。「おかしいと思えば、検体を提出し検査を」と医師らに促していた。
市医師会は「発熱外来の受診者の検査や、ノロウイルスの検査もあったのでやむを得ない面はあったが、結果的にタイムラグができてしまった」とし、今後の対応の課題を残したとしている。
(5/16 11:54)
確かに
14日に甲南病院の従業員食堂で44人がノロウイルスに大量感染
という不幸な事態もあった。
食中毒:従業員食堂で職員44人--神戸・甲南病院 /兵庫
しかし
A型に感染しているのが判明していた高校生の検体が後回しにされた
のは
国内感染の「可能性が低い」という判断
があったからだ。それを喧伝していたのは
ほかならぬ厚労省
なのである。
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コメント
神戸の医療関係者ですが、つい数日前に保健所に問い合わせた内容ですが、「後回しにする」どころではなく「メキシコ、アメリカ、カナダ渡航者以外のインフルエンザ患者の検体は、送っていただいても検査しません。そんなキャパシティはありませんので」と、その他の国からの渡航者であっても発熱外来の受診は一律拒否、一般病院からの新型の検査依頼も受けないと宣言していました。だから、どうやって検査に回ったのか逆に不思議です。
どこのお役所も「厚労省の定義以外の仕事は死んでもしない」ということです。あとはタミフルもない一般医療機関任せ.....
投稿: Ocha | 2009-05-16 21:55
「厚生労働省記者会」の看板をバックにして連日報じてたんじゃ
真っ当に報道できない事もあったりして、な・・・(皮肉込めてますw)
週刊誌の突っ込みが何気にシビアな感じも。
>だから、どうやって検査に回ったのか逆に不思議です。
こういう裏事情こそ掘り起こして報じるべきなのに
再び諦念とともに見放されるきっかけになりそうな。>各報道機関
投稿: おばQ | 2009-05-17 03:14
こういうことの方がある意味怖い。騒ぎ過ぎ防止のためだろうけど、積極的に検査しないのには隠蔽にも近い物を感じたり。どっちが正しいのでしょうか?
【新型インフル】 「渡航歴なくても、疑いを」 神戸は以前から通達。大阪・京都・奈良も追随…一方、東京・千葉は「うちは困難」
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1242537285/l50
海外渡航歴のない人は検査をしないのだから、出るわけがないwwww不可能ですwwww
海外渡航歴のない患者から特定することができた神戸や大阪は
むしろ、国内では優秀な対応ができているかもしれません
投稿: J | 2009-05-18 01:46