豚インフルエンザ 神奈川で基礎疾患のない40代女性が重症に→「水際作戦に効果なし、感染者の7割が侵入」という結論 厚労省はやっと9月に人工呼吸器やICUの調査予定 一体今まで何をやってたんだか
詳しいことはよく分からないのだが
神奈川で、基礎疾患のない40代女性が重症に
なったというニュースが。
8/24付神奈川新聞より。
新型インフルで重症例、基礎疾患のない40歳代女性/綾瀬 社会
2009/08/24
県は24日、基礎疾患のない綾瀬市内の40歳代女性が新型インフルエンザに感染して重症化したため、人工呼吸器を装着して治療を受けていると発表した。県によると、女性は17日に39度の熱が出るなどし受診。肺炎が急速に悪化したため、21日に入院先の集中治療室で人工呼吸器を装着した。24日午後3時現在、体温は37・4度。人工呼吸器を使っているが、状態は落ち着いているという。
この記事を見る限り
急速に悪化した肺炎
が気に掛かる。今回の新型インフルエンザでは
肺でもウイルスが増殖する
と言われており、おそらくウイルス性の肺炎を引き起こしたのではないかと推察される。
しかし
今は感染者数が対応可能な数なので、重症者が出ても問題なく人工呼吸器を使用できる
のだが、今よりケタの多いオーダーで感染が広がると
人工呼吸器の奪い合い
になる恐れが強い。日常的に人工呼吸器を必要とする患者さんがいるわけで、更に
多数の人工呼吸器を必要とする急性疾患の患者さんが殺到する
ことになると、おそらく、治療できなくなる人達が出てくる。
厚労省は
やっと来月から人工呼吸器のチェック
を始めるようだが、問題は
数のチェック
ではなく
使用可能な人工呼吸器の実数
だ。
設置されていても、管理できる医療スタッフがいない人工呼吸器は、ないのと同じ
である。
8/22付読売より。
新型インフル「流行期入り」1週間で11万人…厚労省推計
(略)
新型インフルエンザは、持病のある人や妊婦、乳幼児が感染すると、肺炎などを引き起こして重症化しやすい。同省は来月、重症化しやすい人に情報が適切に伝わるよう、患者団体や保護者団体向けの説明会を開く。重症化患者を受け入れ可能な集中治療室(ICU)や人工呼吸器の数などについても医療機関を対象に調査する方針だ。インフルエンザウイルスは高温多湿の夏は活動が低下するため、これまで夏に流行することはあまりなかった。しかし、新型の場合、免疫を持っていない人がほとんどのため夏でも流行しているとみられ、同省では、秋から冬にかけて一層の警戒が必要とみている。
季節性の場合、流行のピークは例年11~1月で、流行入りから5~10週間でピークを迎えるが、同省は「新型の今後の展開は予測できない」としている。
(2009年8月22日 読売新聞)
この記事の読み筋だと
9月にICUや人工呼吸器の充足について調査
するそうだが
間に合うのか、厚労省
というのが一番の問題。てか
数を調べれば、人工呼吸器やICUやそれを運用する医師を始めとする医療スタッフが湧いて出る
わけじゃないだろう。
1. 数を調べる←これからやる
2. 調査の結果、足りないところをあぶり出す
3. 足りないところでどうやりくりするか考える
というのが
官僚の方針
だろうけど
時々刻々と変化する新型インフルエンザに対応できるスピードではない
のは明らかだ。
つかさ〜
一旦、「騒ぎ」が収まった直後に、ICUや人工呼吸器の充足についてチェックしていなかった
のかよ、厚労省。ダメじゃん。
あれだけ人員を疲弊させた水際作戦は無意味だった
という結論が、出ているしな。毎日新聞より。
新型インフルエンザ:水際対策に効果ない--オランダ・ユトレヒト大の日本人研究員◇感染者7割が侵入
新型インフルエンザ発生時に検疫で感染者の侵入を防ぐため、日本で実施された「水際対策」について、「効果はほとんどない」との分析をオランダ・ユトレヒト大の西浦博研究員がまとめた。ウイルスの毒性に応じた柔軟な対応が重要といえそうだ。近く発売される月刊誌「科学」9月号(岩波書店)に発表する。分析では感染者が航空機に12時間乗って日本に入国すると想定し、入国検査による感染者の侵入確率や流行発生時期を分析した。
その結果、潜伏期間は平均1・4日▽全感染者のうち約6割が発病▽簡易診断キットで検出できる感染者は6~7割--などの条件から、感染者の7割以上の侵入を防げないことが分かった。
また、入国する感染者総数が10~60人と少ない流行初期に、水際対策が国内の流行開始時期に与える影響を推計したところ、開始時期の遅れは半日未満にとどまった。
日本政府は4月下旬に海外で流行が始まった直後、機内検疫や感染者と同じ機内の近くに乗り合わせた乗客の一時的な停留などを実施した。5月中旬、近畿地方で渡航経験のない高校生の集団感染が確認され、水際対策を中止したが、政府は「国内発生までの時間を稼げた」としている。
西浦さんは「現在の新型インフルエンザの毒性であれば、現行の水際対策を実施する意味がほとんどない。しかし、毒性が強いインフルエンザが流行するようになった場合は、全入国者を対象とする停留措置や渡航制限を検討する価値がある」と話す。【永山悦子】
毎日新聞 2009年8月25日 東京朝刊
最初は
毒性が強い
と思われていたから行われた水際作戦だったのだが
毒性の見極めがついた以降では無意味
だったわけだ。
内科が崩壊している地域では
人工呼吸器の絶対数は足りない
はずだ。このまま行くと
新型インフルエンザの重症例の予後
は、
医療崩壊の程度とリンク
することになるのではないか。
まあ、政権がどうなろうとも
新型インフルエンザ対策は焦眉の急
なわけで、この点については、対策に遅滞なきよう願いたい。
とはいえ
厚労省の中味が選挙で変わるわけじゃない
ので、どうなりますことやら。
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