肝心の所が読めない
9月の学会発表の準備をしている。
で、ネタである唐代の医学百科『外台秘要方』の宋版の景印本で元の文字を確認しようとしているんだけど
肝心な所に限って、写真の文字が不鮮明で潰れていて読めない
のである。
底本は重文に指定されていて、静嘉堂文庫の所蔵である。いざとなったら静嘉堂文庫にお願いしに行かないといかんのじゃないか、という話は以前してたんだけど、夏の間は、本を傷める可能性があるのでムリ。それに宋版は、よい写真版さえあれば、直接見る必要なんてないのだ。
しかし、何だってこんな
文字のにじんだ写真版
なんだろうな。もう一度写真を撮り直して再刊しないかしら。
こういう所、日本って割に遅れている。
中国大陸は政治的理由で、なかなか善本を見せてくれなかったりするのだが、日本はもっと閉鎖的かも。
3月に調査に行った台湾は
デジタル画像に善本を落として、データベース化
してくれていて、実に良かった。このやり方だと、一度写真を撮れば、本は傷めずに内容を確認することができる。そりゃ、ある程度制約はあるけど、すくなくとも
東洋医学善本叢書『宋版外台秘要方』
よりは1000倍マシである。大陸から、宋版を底本にした『外台秘要方』は出てるんだけど、簡体字横組で、文字が現物じゃない上に、排印の規則が必ずしも底本と合致してないようなので、やはり綺麗な写真版を見たい。
日本にある中国渡りの貴重な医学書なのに、実際に国内で手にできる写真版は、文字が読めない部分が少なくないなんて、皮肉以外の何者でもない。
もし、本当に版ズレなどがあって文字がにじんでいるのだとしても、いまならデジタル処理でそうした
ゴミ
は除くことができるから、綺麗な文字に復元可能だ。
バチカンのアーカイブのデジタル化は、凸版印刷が手伝ってるんだけど、国内のこの手の貴重書のデジタル化は、どうなってるんだろうなあ。技術は国内にあるのに、それが国内で活かせないなら、実につまらない話になってしまう。
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