飛蚊症
2週間ほど前、特急で疲れ果てて寝ていたら、隣に人が来た。慌てて、荷物を持ち上げたときに、右手の親指で利き目の左目を突いてしまった。
幸い、外傷になるほどではなかったようなのだが、その後、変なことに気がついた。
虫がいる、と思って見ると、なにもいない。
どうも飛蚊症がひどくなったのか、黒いものが視界の真ん中に時々見えるようになってしまった。飛蚊症とは物心ついたときからのつきあいで、今更驚かないのだが、視野の真ん中に黒い塊が見えるのは、これまで経験がない。
飛蚊症ならしょうがないけど、一度網膜裂孔を焼いてもらっている左目なので、念のために稲葉眼科で診ていただいた。
今日は付き添いなしなので、散瞳は左目だけにしてくださった。眼底をチェック、その後眼圧も診てくださったが、大丈夫とのことでほっとする。日本人は低眼圧の緑内障が比較的多いけれども、いまの眼圧なら、さすがに緑内障はないだろう、とのこと。眼圧を器械で測れないので、麻酔を点眼して、手動で測っていただいた。
強度近視で網膜裂孔の既往症があるから、光凝固をしてもらった中学2年生以降は、できるだけ、目にものを当てないように、そうした危険が生じやすいスポーツをなるべくしないようにしている。具体的には、球技一般だ。中学高校の体育は休ませてもらえなかったので参加したけど、大学では養護クラスで過ごした。ハワイは好きだけど、決してゴルフをやろうとは思わない。それだけ気をつけていても、自分の指で目を突いてしまった。
片目しか見えてない上に、潜伏性眼振があるから、片目になるとほぼ目が使い物にならなくなってしまう。両目を開けて、なんとか眼振を押さえて暮らしている。片目を遮蔽しなくてはいけなくなるような病気にも罹らないように気をつけている。
帰りは左目が使えないので、どうしてもなにかを見なくてはいけないときは、左目を遮蔽して普段使ってない右目で見た。右目で見えているパースの軸は左目よりも10°程度水平方向にずれているので、慣れないんだけど、散瞳薬が効いている間は、全然ないよりはましだった。使ってない目で、眼振がひどいから、ほとんど見えている時間はないんだけど、物にぶつからないで済む程度の仕事はしてくれる。
梅田から帰る前に、隣の湖崎オプティカルで、眼鏡を調整してもらった。診察が終わって覗きに行くと、ちょうど小学3年生くらいかな、女の子が弱視鏡の調整をしてもらっているところだったので、遠慮して昼ご飯を先にした。子どもの弱視鏡の調整は、自分の経験から言っても時間が掛かるからね。
昼ご飯を終えてもう一度覗くと、誰も他にお客さんがいなかったので、今度は心おきなく調整をお願いする。
湖崎オプティカルに来る子ども達は、湖崎克先生の患者さん達だ。夏休みの今は、全国から弱視の子ども達が、少しでも見えるようになりたいと、湖崎クリニックに押し寄せてくる。
ああ、あの子は北海道から来た子ですよ
と教えてくれたので
札幌から通ってた昔のわたしといっしょだなあ。もっともわたしはまだ湖崎クリニックのできる前で、大阪小児保健センターだったけど
と答えた。名前を知らない北海道の女の子、自分の負担になりすぎない程度に頑張れ。あきらめちゃダメだけど、頑張りすぎるとこれまた辛いよ。でも小学校3年くらいだと、いい子は頑張り過ぎちゃうかも知れないな。
小学2年の時に初めて出会った湖崎先生は、それから随分経つのに、今も昔と変わらないようにお見受けする。
湖崎先生、わたしが小学生の頃と変わらないのが凄いんだけど
と水を向けると
いや、それでも結構年を取ったと思うことはありますよ。歩いてる姿なんか見ると
との返事。患者はだいたい向き合って座って目を診ていただくからなあ。
でも、相変わらず口の方は厳しいようですよ
というので
ええ? それは親が神経質すぎるか、患者の子ども達が何かいいかげんなことをしたときだけでしょ? わたしは一度も湖崎先生に怒られたことないよ。
と答えておいた。
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