小林盛得 小池一行編『五十音引 僧綱補任 僧歴綜覧 増訂版』笠間書院
お坊さんや尼さんの名前が分かっていても、いつの人かわからない。とりわけ、僧尼名は似たような名前や同名の人が大量に存在する。そんなとき、中国仏教には
陳垣『釈氏疑年録』
という古典的名著があり、仏教伝来から清・康熙朝途中くらいまでの歴代の僧尼の名前を年代順に羅列してある。もちろん、陳垣のこの書物が全面的に正しいわけではないのだが、
当たりをつける
にはちょうどよいのである。この労作をコンピュータなどない時代に陳垣が個人的に成し遂げたというのが、中国の学者の地力の恐ろしさを伝えて余りある。てか、陳垣って『釈氏疑年録』だけじゃないからな。中国史を扱うのであれば、普通の人は
『廿史朔閏表』
のお世話になったことが多いだろうし、あるいは
『史諱挙例』
は、版本を読むときには必須である。敦煌に目が向いていれば
『敦煌劫余録』
で、我が身を切られるような辛さを味わった日本人もいるだろう。あ、そういえばまた手元の『廿史朔閏表』がなくなってしまった。何回なくしているかわからないのだが、またどこかで買わなくちゃ。
さて、翻ってわが日本仏教なんだけど、これがまたわかりにくい。
やはり、古代仏教の僧名の当たりをつけるための資料として、昨年増訂版が出たのが
小林盛得 小林一行『五十音引 僧綱補任 僧歴綜覧 増訂版』
だ。日本仏教史には闇いので、この書物が出版されてから半年以上経って気がついた。アマゾンに注文して、今日届いたところ。増訂版は
究竟僧綱任
という資料の分を増やしてある。
載っているのは
推古三十二年(624)〜元暦二年(1185)
までの分なので、この辺りの歴史を扱うすべての分野の研究者には必携の書物ではないかと思う。だいたい、この辺りの歴史絡みだと、仏教はちらちらと顔を出す。
手元に届いた分は、ii〜ivまでの印刷がとっても薄くて読みにくい。本文はなんともないんだけど、どうしてだろうね?
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