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2009-08-23

コピーとスキャン

市立図書館から借りてきた本をスキャン。
片方は
 大日本仏教全書 興福寺叢書巻一
で、欲しいのは
 僧綱補任巻一
である。僧綱補任は本文もさることながら
 裏書
というのも収録されていて、本文の闕を補って余りある。
もう一つは、専門書で、必要な論文だけスキャンする。訓点が入った漢文が引用されているから、日本語OCRにかけると、訓点がゴミになるのよね。

僧綱補任は後処理の方が遙かに面倒なので、日本語OCRに掛ける気にならない。割注の入った文章を日本語OCRに掛けると、もう厭になるくらい手間が大変になる。薬方程度だったら気にならないけど、割注だけで1行分近くあると、もう手で入力した方が絶対に速い。

しかし、コピーするもスキャンするのも、時間は一緒。画像をプリントアウトしておしまいか、画像を情報として残すかの違いだけだ。
ブラウズする時の便は、また紙の方がある。
スキャン画像も読むのにはいいのだが、画面の大きさの制約なんかも受けちゃうし。

OCRで論文をガンガン食わせられる分野だと、あんまり困らないんだろうけど、
 日本語に漢文が混じる
というのは、一番日本語OCRが間抜けなアウトプットを出してくれるフォーマットである。

今使っている日本語OCRは複合機のおまけについてきた割には優秀で、漢文も白文なら、結構まともに読んでくれる。
WinReaderProも持ってるんだけど、こちらは漢文読ませると今一だからなあ。

夏の勉強で、ペスト関係の論文を読んでいるんだけど、
 Schweizerische Zeitschrift für Geschichte
掲載論文があって、一瞬図書館に行かないとと思ったが、ググったらwebでダウンロードできた。
いや〜、便利な時代になったもんだ。調べ物の最中に洋雑誌掲載論文が出てくると
 あ、図書館へ行かないと
という時代から
 ググれば出てくるかも
の時代になったわけで、ありがたい。PDFで流してくれていると、そのまま読めるし、プリントアウトも綺麗だ。

日本の学術雑誌に関しては、人文系は立ち後れていて、やっぱり
 あ、図書館へ行かないと
ということが多い。で、全巻揃ってないとか、欲しい号が抜けてるとか、そうしたアクシデントはつきもので、
 行ってみないと、全部見られるかどうか分からないギャンプル
なのである。雑誌論文検索で無駄足踏むのは、時間の無駄だと思うんだけどなあ。これだけ
 常勤職に就いてない研究者が溢れる
状態になっているのだから、寧ろ
 積極的にオンラインで雑誌論文が読める態勢
にしておかないと、「専業非常勤」や時限PDの人達は、時間のやりくりがつかず、結局
 論文を読めない状態で、研究する
という、手足をもがれたような悲惨な環境になってしまう。

日本でも閉じているってことは
 世界に対しても閉じている
ってことで、こうした
 認識不足から来る学術情報鎖国
が続くようでは、その内
 日本の学術雑誌掲載論文なんて読まなくても日本研究はできる
なんて事態になりかねない。二次資料だけで論文書いちゃう人がいるとか批難する前に、
 世界中から日本の学術論文にアクセスできる環境を整える
方が先じゃないかな。

そういう意味では中国や台湾のやってることは、凄い。ともかくも
 どんな田舎の小さい大学で出された紀要論文でもアクセスできる
からね。台湾に到っては
 国宝級重文級の書物でも、積極的にデジタルアーカイブに収めて、世界中から利用できるように心がけている
わけで、こうした辺りが
 文化は誰の物か
という意識の彼我の差を感じる。
 秘すれば花
というのは
 文献データについては当てはまらない
わけで、自国内の論文はもちろん、写本や刊本を囲い込んでいる日本は、実に閉鎖的だ。こうした内なる障壁を自覚的に取り除かない以上
 海外の日本研究者は激減
していくだろうし、もし、研究者が続くとしても
 日本のポップカルチャー以外にはあまり関心がない
ということになっていくだろう。日本文化の海外への紹介というと、常に
 漫画とアニメだけでいいのか
という問いかけがあるけど、現況は
 漫画とアニメくらいしか「国際的に公開してない」
というのが本当のところである。

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