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2009-09-07

岩波新書・文庫の値崩れ@amazon

昔々、古本屋の商材の一つに
 絶版の岩波新書・文庫を高値で売る
というものがあった。
 あった
と書いても、今でも
 絶版
とか
 品切れ・再版未定
という白帯をつけて、店頭に並べている古色蒼然たる古本屋もあるのは確かだが、そうした古本屋はその内絶滅するだろう。

最近は
 安く、古い岩波新書・文庫を入手するにはamazon
である。amazonには、
 古本屋がたくさん出店している
のだが、
 1円で売る店
が出てくると、必ず追随する店が出てくる。特に
 昔は売れ筋だったけど、いまは不良在庫になっている岩波新書・文庫の古本
は、一度値段が下がり出すと、あっという間に、最安値帯に何点か、同じ本が並ぶことになる。古本屋にとってはある意味チキンレースだ。

家人の亡くなった父は、
 岩波ファン
という、古き良き教養人だった模様で、有隣堂のカバーの掛かった岩波新書・文庫が、まだ書架に並んでいる。
 岩波新書・文庫が出たら買う
という人達は、だいたい年齢層からすると75歳前後から上だろう。父も生きていたら89歳だ。研究者を志していた時期があったから、岩波の本には思い入れがあったようで、全集やシリーズもこまめに買っていた。
亡き父のような人達は、滅びつつある。

破格値で、岩波新書・文庫をamazonで買う度に、嬉しい反面、複雑な気分に陥る。
 版元品切れで古書価格をつり上げ、新版を出すときは、古書価格が暴落しない値付けで出すのが「岩波商法」
だったわけで、そうしたモデルが崩れた今も、
 同じシリーズや全集の二次・三次出版を繰り返す
昔と同じ商売をしているのを見ていると、
 岩波は、出版不況を乗り切れないのでは
と、危惧する。

岩波には、中学の同期生とか、大学の知人とか何人か就職したけど、彼女たちは一体どうしているだろう。まだ働いているんだろうか。

奈良女の近所に古本屋があるんだけど、ここも、
 昔と変わらない商売の仕方
をしてるので、その内、立ちゆかなくなるんじゃないかと心配している。
 岩波の古典大系・新古典大系の端本の値付けが高い
んだもん。1冊1000円前後で売っているところがある時代に、たぶんついて行ってない。ま、こうした古本屋を利用する人は
 ネットで本を買わない
ヒトなんだろうけど。

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コメント

神保町交差点の南西側は、岩波書店の所有するビルが一杯建ってますよ。
あの不動産収入があるかぎり、潰れることはないと思います。

投稿: ろしあん | 2009-09-07 18:39

岩波書店と言えば最近は、佐藤優氏に対して編集者が喧嘩を売ったっていう内部の混乱が聞こえてくるくらいで、岩波新書、ブックレット、「世界」の質の低下がひどいと感じています。
もちろん、当たりもありますけど、がっかりするものも増えているように感じます。
それから自然科学書に対して以前に比べて冷淡になったのも気のせいでしょうか?
鈴木書店の自己破産から何か改善した事があるのか心配です。

投稿: ゆりあ | 2009-09-08 15:30

私も岩波の名著をamazonで安く買いつつ、複雑な気分を感じたことがあり、共感いたしました。
ところで、『版元品切れで古書価格をつり上げ、新版を出すときは、古書価格が暴落しない値付けで出すのが「岩波商法」』のくだりがよく理解できませんでした。岩波書店が古書価格を操作しても、岩波書店の利益にならないと思うのですが・・・。 この点、解説いただけると嬉しいです。

投稿: 瀬谷 | 2009-11-24 10:02

コメントありがとうございます。

瀬谷さん、岩波の単行本値付けは例えば次のようでした。
1. 初版を少なく刷る。定価2000円。
2. 代用がないので、古書価格が高騰。最終的に9000円に。
3. 再版時の値付けは8800円前後。

岩波自体が、古書店から出発したというのは、社史にも明記されてます。
http://www.iwanami.co.jp/company/index.html
要は
 岩波の本を売ってくれる古書店に損はさせないシステムで共存共栄を図ってきた
ってことでしょう。
 新版が出ても値崩れしない古書
なんて、他にそうそうありませんでしたから。

投稿: iori3 | 2009-11-24 10:34

ご丁寧な解説ありがとうございました。
再販時の値付けにそんな仕掛けがあったのですね。勉強になりました。

投稿: 瀬谷 | 2009-11-24 11:28

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