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2009-11-13

「マスコミたらい回し」とは?(その148) 「聖地奈良」に新たなヒーロー誕生 朝日新聞東裕二記者 83歳で肝臓癌 人工透析の男性、新型インフルエンザ絶賛流行中の奈良で搬送先が土曜日夕方に見つからず三日後に「癌で死亡」を1時間45分後に搬送先が見つかっているのに「7病院が搬送断る」とあげつらうセンス しかも「奈良高槻産婦搬送事例」は、搬送される以前に「すでに死産による娩出が進行し始めていた」事例であることをマスコミは当日の警察発表で知っていたのに誤認記事を垂れ流している事例

亡くなられた患者さんのご冥福をお祈り致します。

久々に来た
 「聖地奈良」発救急搬送受け入れ不能記事
だが、今回はなぜか
 朝日
である。突っ込みどころ満載過ぎて、頭が痛い。ポイントは
 1. 10/24は土曜日、かつ搬送を依頼した4時半は夕方で、そうでなくても医療が崩壊している奈良県で、更に医療の薄い時間帯
 2. 83歳という高齢
 3. 意識低下で搬送先が見つからなかったというが、透析患者だから管理できる病院は限られる
 4. 7病院が受け入れ不能だったというが、2時間以内、すなわち1時間45分後には病院が見つかって搬送されている
 5. 3日後に原疾患の肝臓癌で死亡しているので、すでに癌末期だったと思われる
という辺りだ。なおかつ
 6. 市立病院をどうするか揉めてる生駒市の事例
というのが、なんだな。


透析患者、7病院が搬送断る 奈良、3日後に死亡

2009年11月13日4時31分

 奈良県生駒市で10月24日、意識が低下した腎臓病の人工透析患者の男性(83)が、県内や大阪の7病院・医療施設に計8回受け入れを断られ、通報から約1時間45分後に大阪府の病院に搬送されていたことがわかった。男性は3日後に肝臓がんで死亡した。同県では救急患者の搬送不能問題が相次いでおり、県地域医療連携課は「今回のケースを調査し、対応を検討したい」としている。

 生駒市消防本部などによると、男性は同市在住。24日午後4時半ごろ、家族から「発熱があり、体が震えている」と119番通報があった。3分後に救急車が到着。男性が診察を受けたことのある同市内の病院をはじめ、2次救急の当番病院や県立病院、大阪市内の病院などに照会したが、男性が透析患者だったため、「専門医がいない」「専門外」との理由で断られた。

 9回目の照会で受け入れ先となった大阪府大東市の民間病院に午後6時15分ごろ到着したが、27日、持病の肝臓がんで死亡したという。

 奈良県では06年8月、入院中に意識不明になった妊婦が同県や大阪府の19病院に受け入れを断られ、8日後に死亡。07年8月にも下腹部の痛みを訴えた妊婦が、11病院に断られて死産した。今年3月には意識を失った男性が6病院に断られ、約1時間半後に大阪府の病院で死亡した。(東裕二)

ええと、
 恐らく末期癌の83歳の男性が「7病院に受け入れ不能」と言われて、1時間45分治療が遅れたのが原因で「3日後に肝臓癌で死亡」した
と、
 東裕二記者
は考えているようだが、医学的にそんなことがあり得るのか?
詳しいことは何も書かれてないけど、
 原疾患である肝臓癌の悪化
が、
 意識低下の原因
だとすれば、残念ながら
 肝臓癌による死へのプロセスが始まった
のではないのか。もし
 すぐにどこかで受け入れられていても、長期にわたる生命予後が望めないほど、肝臓癌が悪化していた
のではないのか。
で、
 透析患者で肝臓癌
というと、考えられるのは
 II型糖尿病と肝硬変のコンボ
である。もし、そうだったとすれば、そうした疾患を抱えて83歳まで迎えられたのは、大変に長生きではないか。

単に
 7病院が末期癌で83歳と高齢の透析患者を受け入れる設備やスタッフがいなかったけれども、1時間45分で受け入れ先が見つかった
という話で、
 土曜日の夕方という医療の薄い時間帯に、1時間45分という短時間で8つの病院に照会した「迅速さ」
に目を見張るべきであって、これを
 7つも病院があって、断られたから死んだ
という記事にする神経を疑う。てか、
 これを掲載させたデスクも同罪
ね。

以下は憶測だが
 生駒市立病院問題に火を付けたくて「生駒市内に適切な医療を施せる大きな医療機関がなかったから7病院に断られた」という為にする記事を東裕二記者が書いた
のではないかと思う。つまり
 朝日新聞は「生駒市立病院問題」で何らかの「自分に有利な論陣を張る材料」として今回の「7病院が83歳末期癌の透析患者を受け入れられなかった」という至極ありそうな話題を「肝臓癌の死亡と無理矢理結びつけている」
ということではないのか。

朝日新聞に聞くが
 たった1時間45分で83歳と高齢の末期癌の透析患者を8つの病院に照会し、搬送した努力と成果
は、朝日が例に引いた
・2006年大淀病院産婦死亡事例
・2007年奈良高槻産婦搬送事例
・2009年搬送事例
とは違うだろうが。
 透析患者はどこの病院でも受け入れ可能
なわけじゃない。しかも
 恐らく末期癌
である。もし、83歳という高齢でなかったとしても、土曜の夕方という全国的に医療の薄い時間帯に搬送先を見つけるのは相当に難しい。しかも、今は
 奈良県では新型インフルエンザが絶賛流行中
なのだ。
 搬送できたはいいが、院内で新型インフルエンザに感染して死亡
ということもあり得るから、どの病院でも抵抗力が極端に落ちている癌や透析患者の管理には相当神経を尖らせているはずだ。今回の患者さんは
 癌で透析患者で83歳
と、新型インフルエンザ流行中の搬送条件としては三重にしんどい患者さんだったのである。その患者さんを
 わずか1時間45分で搬送できた
のだから、これは幸運だったと言えるのではないのか。

亡くなられたのは残念だが、重い癌だったと思われる。

で、東裕二記者には
 明かな事実誤認
がある。
 2007年奈良高槻産婦搬送事例
だ。この事例は、
 マスコミが「搬送前に死産が始まっていたことを隠蔽」して「搬送が遅れたから死産した」と誤った報道を続けた事例
である。詳しくは
 2007-09-12「マスコミたらい回し」とは?(その109)奈良高槻妊婦搬送問題 救急搬送する以前に胎児は胎内で死亡 病理医学の立場から→マスコミは搬送当日(8/29)の警察発表でその事実を知っていたにもかかわらず、歪曲した報道を続ける
を参照のこと。


 事実関係も精査せず、過去の誤認記事についても訂正せず、単に「7つの病院」という「数」をあげつらって、現場の努力をペンで踏みにじり、士気を低下させる記事
であることは間違いない。
で、
 東裕二記者もしくはその家族が、もし新型インフルエンザや交通事故で救急搬送される事態
になったとしても、やっぱり
 n病院搬送断る(nは任意の自然数)
とか書きますか? 現場はたとえ
 悪口を言い立てた東裕二記者本人が救急搬送される事態になったとしても常に最善の努力をする
筈なんだが、罰当たりだな。
 すでに相当終わっている奈良の医療の崩壊を更に促進させたい
というのか、朝日新聞。
 全国規模で転勤する東裕二記者
にとっては
 奈良はその内異動する「腰掛けの勤務先」の一つに過ぎない
わけだから
 奈良の医療が自分の記事で崩壊を早めようと、「オレには関係ない」
ってことね。
奈良は朝日の購読者多いのにな〜。たぶん
 奈良県民の購読料は、東裕二記者の給料には反映されてない
んでしょうな。

ま、以後、奈良県内の医療機関で朝日新聞関係者がなんとなくよそよそしい対応をされても、それは
 気のせい
だからね。きっとこれからは、朝日新聞関係者には
 奈良では、朝日新聞の方がお気に召すような十分な治療が出来る設備が整っておりませんので

 紹介状
を出してくれるだろうね。
それと、絶対に
 新型インフルエンザじゃないか?ともかく診ろ。オレは朝日の記者だ
などと、毎週土曜日午後から月曜早朝の間や旧祝日、年末年始の医療の薄い時間帯に、無理矢理診療を強要したりしないようにね。

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コメント

救急車で搬送するのではなく自宅で看取るべきケースだったのではないでしょうか。なんでもかんでも救急車という風潮はそろそろ改めるべきでしょうね。

投稿: しろふくろう | 2009-11-13 09:01

家族からの通報内容では、救急車を呼ぶ必要性があまり感じられないのですが。
発熱したら、体が震えるのは当然ですし、頭もぼんやりしますから意識レベル低下と
消防が発表しても嘘ではないでしょう。しかし、これは救急医療の問題ではなくて、
ターミナルケアの問題です。生駒市立病院にとっては不利に働く記事かもしれません。

最近は末期癌でもぎりぎりまで在宅で診るのが主流ですが、
それは、末期癌の急変時に施設での受け入れや往診が常に可能であることが前提であって、
そのバックアップがないまま在宅ターミナルケアを進めたからこのような事例が起きたのです。

医師不足の中、急変時に往診を推奨する施策は医療経済的に困難ですので、
当面は末期癌患者には施設ターミナルケアで対応するよう働きかけるしか無いでしょう。
多くの患者さんやご家族は、最期まで自分の治療にあたってくれた急性期病院での治療を望まれますし、
スタッフもそれが一番良いと分かっているのですが、DPC急性期病院では、ベストサポートケアの段階に進行したとき、
退院時期が予測しがたい末期癌患者さんにはホスピスや在宅での療養を紹介せざるを得ないのが現状ですね。
(DPC急性期病院で高額な特別室の費用を払える人は、別なのでしょうが。)
これも医療費抑制の結果なのですが、患者さんにとっては癌で亡くなるとき病院に酷い仕打ちを受けたように感じるかもしれません・・・(泣)。

投稿: だめ医者 | 2009-11-13 10:22

私の母も末期がんで亡くなりました
この患者さんもそうですが
亡くなり方ってものがあると思います
ターミナルケア緩和ケアですね
母はきっと痛みに耐えていたのだと思うと
本当に申し訳ないことをしたなぁって今でも思います

投稿: ゆりあ | 2009-11-15 00:51

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