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2009-11-15

杏雨書屋特別展示会・研究講演会@大阪(その2)

いや〜、講演も展示も凄かった。
その割りに、今日は人が少なかったような気がするんだけどな〜。いつもの講演会はもう少し人数がいたように思うのだが。

講演
I 敦煌と『新修本草』―なぜそこにあったのか
新潟大学人文社会教育科学系 助教 岩本 篤志 先生

岩本さんの分析が実に見事で、
 『新修本草』序の復元
で、
 宋本が落としている部分を発見
したのも凄かったし、
 貝葉本の『新修本草』
という問題にも言及、敦煌文書のいま知られている『新修本草』の書写年代を見事に解析していただけでなく、
 誰が何のために『新修本草』を敦煌で書写したか
という謎にも迫る内容で、ただただ感服。いや〜、敦煌学って一部エリートだけの学問なんだけど、その意味がわかる講演で楽しかった。(わたしは敦煌学者ではない。敦煌文書は扱うけど、写真版のみ)

II 敦煌本『本草集注』について
龍谷大学名誉教授 上山 大峻 先生

大谷本敦煌文書をもたらした吉川小一郎氏から生前に伺ったお話というのが、貴重だった。てか、
 どうして中国が敦煌文書を引き上げた後に、大谷隊やオルテンブルク隊や第二次スタイン隊が、敦煌文書を入手できたか
って辺りの話が凄かった。
 玉石混淆というかニセモノにホンモノが混じっていた
とか
 お金がないから、半分に切って残りを取りに行った
とか。それと
 料紙の科学的分析結果
も素晴らしかった。岡田先生は発表の予定じゃなかったのでちょっと慌ててらしたが
 料紙の材料が何かは、きちんと分析できる
ことが示されていた。今までは
 まさか楮じゃないでしょ、麻紙に決まってるじゃん
という「印象」での料紙決定だったけど、今後はきっちり判断できるわけ。

展示
白眉は二つの敦煌文書。片や、
 敦煌秘笈から100年ぶりに日の目を見たという李盛鐸旧蔵の『新修本草』巻首(杏雨書屋蔵)
片や、
 今回の展示会のために、龍谷大学が特別出陳した『本草集注』
というがっぷりの横綱相撲。
いつもは4時閉館の杏雨書屋が今日は特別に5時まで開館、講演を聴き終わってから、急いで駆けつけたのが4時。それでもほとんど他に参観者がいなくて、単眼鏡片手に、敦煌文書のガラスケース前に長いこと張り付いて文書を見ることが出来た。とっても幸せ。
『本草集注』に気になる内容を発見したので、あとで上山先生にお尋ねしようかと思う。

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