小惑星探査機「はやぶさ」よ、地球で待っているよ
イオンエンジンで飛び出し、小惑星「イトカワ」でサンプル採取、地球に帰還しつつある小惑星探査機「はやぶさ」は、これまで何度も致命的になるかもしれない危機を乗り越えてきた。
そして、11/19には
4基の内3基のエンジンが故障し、帰還を絶望しされかかっていた
のに
エンジンを「二個一」で動かす
という、予測の遙か彼方を行くフェールセーフ設計によって、再び地球帰還の望みを繋いだ。
昨日、ニコ動にアップされた無人探査機「はやぶさ」のフェールセーフの凄さを
7分10秒にまとめた動画
が、すでに
再生回数10万回
を超えている。
ほとんど恵まれているとは言い難い、宇宙開発事業における日本の科学者・技術者の労苦を
『宇宙戦艦ヤマト』の名シーン
を使ってわかりやすく説明している動画だ。
ニコ動IDのないヒトははてな動画でどうぞ。(via tomtiaさん)
探査機はやぶさにおける、日本技術者の変態力
今後も予算的に恵まれるとは思えない宇宙開発事業だが、わたしは
来年6月帰還予定の「はやぶさ」
を静かに地球で待ちたい。
待ってるよ、「はやぶさ」。
JAXAのサイトから。
川口淳一郎プロジェクトマネージャによる小惑星探査機「はやぶさ」の紹介。
プロジェクトマネージャから「はやぶさ」は、将来の本格的なサンプルリターン探査を実地に練習するプロジェクトです。プロジェクトは1996年に始まり、2003年5月にM-V 第5号機で打ち上げられました。
サンプルリターンとは、分析装置を運ぶかわりに、試料を地球に持ち帰る方法で、最も難しい最終段階の探査方法です。試料がたとえ少量でも、最新の精密な分析を行うことができます。「はやぶさ」は、革新的なイオンエンジンを採用し、高度の自律機能で着陸させ、微少重力下で試料を採取し、カプセルを惑星間から直接に大気圏に突入させて試料を回収する方法で、これを可能にしています。「はやぶさ」は、一気にNASA をも超える世界初への挑戦です。
鍵となる技術は、先端産業を支えるプラズマ反応炉や、視覚をもつロボット技術、耐熱材料の開発、省電力化など、随所に応用が期待されていて、「はやぶさ」はまさにハイテク宇宙船ということができます。
「はやぶさ」は、2004年5月に地球スウィングバイを行って加速し、2005年9月12日に目標小惑星イトカワに到着しました。イオンエンジンでこのような長期間の航行を行ったのは世界初です。9, 10月には遠隔観測とモデル化をほぼ終え、2005年11月20日と26日にのべ3回の接地と1回の着陸を行いました。残念ながら、最終離陸後に燃料漏れのトラブルに見舞われ、一時交信が不通になりましたが、現在は復旧しています。地球帰還は、このために3年間延期され、2010年6月に変更されています。滞在期間中に行われた科学観測成果には数々に世界初の発見があり、工学成果のみならず、理学観測面でも高く評価されています。
惑星探査は、これまでは片道切符の旅でしたが、「はやぶさ」は往復旅行をする宇宙船です。私たちは、さらに進んだ次世代の宇宙船の設計も進めていて、メインベルト小惑星や木星への往復飛行、あるいは深宇宙港を経由する往復飛行など、太陽系大航海時代が登場することでしょう。
3年帰還が遅れたために、さまざまなトラブルが起きているのだが、それでも「はやぶさ」は地球に向かっている。
「二個一」についての説明。
小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用の再開について
平成21年11月19日
宇宙航空研究開発機構宇宙航空研究開発機構(以下:JAXA)は、平成21年11月9日にご報告いたしました、小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンの異常について、その対応策を検討してきました。その結果、今後の運用に対する見通しが得られましたので、イオンエンジンの状況を注視しつつ帰還運用を再開することとしました。
JAXAでは、4つのイオンエンジンについて、中和器の起動確認や流量調整等を実施してきました。その確認作業において、スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合せることにより、2台合わせて1台のエンジン相当の推進力を得ることが確認できました。
引き続き慎重な運用を行う必要はあるものの、この状況を維持できれば、はやぶさの平成22年6月の地球帰還計画を維持できる見通しです。
今後もはやぶさの地球帰還に向けて、注意深く運用を続けてまいります。運用状況については,適時報告いたします。
(以下図は略)
NHK、ちゃんと
クロ現→Nスペ
で番組作れよ。科学文化部は気合いを入れ直すように。
おまけ。
このニュースについての最初のスレッドが立ったのが昨日未明。
【宇宙】 「電子回路は、万一に備え“エンジン間をつないでおいた”ものだった」 ~探査機『はやぶさ』、奇跡の復活 予定通り帰還へ1 :有明省吾 ◆BAKA1DJoEI @有明省吾ρ ★:2009/11/20(金) 00:45:03 ID:???0 BE:545652735-2BP(33)
奇跡の復活――。4台あるエンジンのうち3台が停止し、
小惑星イトカワから地球への帰還が危ぶまれていた日本の探査機「はやぶさ」について、
宇宙航空研究開発機構は19日、故障していた2台のエンジンを組み合わせて、
1台分のエンジンの推進力を得ることに成功したと発表した。もう1台のエンジンの温存が可能となり、予定通り来年6月に地球へ帰還できる見通しとなった。
はやぶさは、2003年5月の打ち上げ直後に1台のエンジンがトラブルで停止。
その後も様々な機体のトラブルに見舞われたが、05年11月に地球から約3億キロ・メートル離れたイトカワに着陸した。
07年4月には、もう一つのエンジンの部品が劣化して、運用を中止した。満身創痍の機体は、残る2台のエンジンを交互に運用して地球への帰還を目指した。しかし、うち1台が、今月9日に故障していた。
エンジン復活に向け、宇宙機構は、故障した3台のうち、早い段階で運転を中止したエンジン2台に着目。
正常に動く部品同士を電子回路でつなぐ「離れ業」で、互いの故障を補う形でエンジン1台分の推進力を出すことに成功。
電子回路は、万一に備え、「エンジン間をつないでおいた」ものだった。復活したエンジンは、順調に作動している。電力、燃料の消費は、2倍になるが、
電力は太陽電池によって補給できる見通し。燃料にも余裕があるという。宇宙機構の川口淳一郎プロジェクトマネージャは「動いている方が奇跡的だ。
予断を許さないが、万一に備えた回路が功を奏し、電力も補給できるという幸運にも恵まれた」と話している。記事引用元:(2009年11月19日23時00分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20091119-OYT1T01282.htm?from=main7
で、5レス目で真田さん登場。
5 :名無しさん@十周年:2009/11/20(金) 00:46:16 ID:O9Xr9h9m0
こんなこともあろうかと思ってな
エンジン同士を予備回路で繋いでおいた
(真田さんのAA略)
で、これが今回の動画の元になったスレッド。
118 :名無しさん@十周年:2009/11/20(金) 00:55:25 ID:wiRVTIc/0
本来ならリアクションホイール3個で姿勢制御⇒ ホイール1個壊れたのでホイール残り2個と化学スラスタで制御 (ここまでは普通の「こんなこともあろうかと」、な範囲)
⇒ ホイールさらに1個壊れた!化学スラスタ全損!燃料全部漏れた!漏れた燃料が機体内で凍ってる!!通信途絶!!!バッテリも壊れて太陽電池パネルは常に太陽を向けなきゃなんない!!!
⇒ 姿勢が狂っても、ほっとけば持ち直すように設計してたんだよね。こんなこともあろうかと。1年以内に60%の確率で通信回復するはず。ほうら3ヶ月で繋がったぜ!
⇒ とりあえずイオンエンジンの中和器から生キセノン吹かして姿勢制御。こんなこともあろうと中和器の向きを微妙にずらしてたんだよね。
⇒ 機体内をヒーターで暖めてベーキング。爆発しないようにゆっくりとね。気化した燃料はそのうち機体外に逃げるだろう。
⇒ 生キセノン吹かしつづけてると地球帰還用の燃料が足らなくね?あ、風車の原理で太陽光圧を利用して回転させて安定させればよくね?こんなこともあろうかと、回転軸が機体の中心を貫くように設計してたんだよ。
⇒ 地球帰還用のカプセルに採取した試料を入れるにはバッテリーの電力が必要だなぁ。でも極低温で短絡故障してるから充電すると爆発しそうだなぁ。あ、古川電工のおっちゃんが補充電回路で充電する裏技教えてくれた。ラッキー。
⇒ よし、地球帰還航行開始っと。イオンエンジンは3基生きてるからオッケー。ホイールは残り1個だから今のうちに何かいい手を考えておこうっと。
⇒ 地球帰還第一期軌道変換完了。半年お休みして、第二期軌道変換開始。イオンエンジンBはどうやら寿命らしい。お疲れさん。残り2基。
⇒ おや、メモリエラー(SEU)か。良くある良くある。とりあえずセーフホールドモードで指示待ちっと。地球から診断してもらってイオンエンジンも再起動出来たので巡航再開。
⇒ 「はやぶさ」イオンエンジン1基に異常」 っっっっきゃーーーっ!残りエンジン1基じゃ推進力足らないっ!
↓
⇒早期に故障したエンジン2基の正常部分を繋ぎ合わせ推進力復活!万一に備えてエンジン間の電気回路を繋いでおいたんだよね ←New!!
みんな仕事速すぎ。
こんな書き込みも。【宇宙】 「電子回路は、万一に備え“エンジン間をつないでおいた”ものだった」 ~探査機『はやぶさ』、奇跡の復活 予定通り帰還へ★2スレッドより。
234 :名無しさん@十周年:2009/11/20(金) 02:21:33 ID:Zy0z8jJIO
アメリカ人の友達からメール北「ラッキーとしか言いようがないが、やはり日本人の技術力は凄いな。アメリカなら諦めて放棄するけどなw
無事に地球に戻って来れるようにアメリカから願ってるよ」
愛されてるな、「はやぶさ」。
アメリカの惑星学会のおねいさん女性科学者にも愛されている。
The Planetary Society Blog By Emily Lakdawalla Hayabusa's still coming home: JAXA engineers come up with yet another creative solution Nov. 19, 2009 | 09:16 PST | 17:16 UTC
さらにおまけ。【宇宙】 「電子回路は、万一に備え“エンジン間をつないでおいた”ものだった」 ~探査機『はやぶさ』、奇跡の復活 予定通り帰還へ★5より。
645 :名無しさん@十周年:2009/11/20(金) 15:41:32 ID:7cHPSegK0
コピペ、これにハマッタw
A「あ、オレだめ」
BCD「早々にリタイヤしやがこのカスが!」
A「すまん」
ーしばらく後ー
B「オレ、ダメかもしれん」
CD「オレらでがんばるよ!」
A「ごくろうさま」
BCD「おまえは黙ってろ!」
ーしばらく後ー
D「もうダメ・・・」
C「うう、俺一人じゃムリだ」
B「もうあきらめるしかないな」
A「あのー・・」
BCD「おまえは黙ってろっての!」
A「いや、ひょっとしたらオレ動くかも」
BCD「えええええ!?」
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コメント
「それって国民の何に役に立つんですか?」といって迎える側が無くなったりして…と、某理系掲示板で自嘲的に語られていましたね。
日本の「技術部員」の皆さんの今後の幸運をお祈りします。
投稿: ripplepapa | 2009-11-21 20:00
日本人は、自ら作り上げた傀儡にも人格を感じますからね。
傷つきながらも命じられた使命を果たし、遠くから帰ってくる「はやぶさ」を、涙で迎えてやりたいと思います。
投稿: rokutan | 2009-11-21 21:38
>はやぶさ本体は、来年(2010)6月には大気圏突入予定。
使命を果たし燃え尽きる光は、涙でよく見えないカモ・・・。
投稿: 風はば | 2009-11-22 09:27