超あやしい敦煌写本
昨日の研究会は
超あやしい敦煌写本
について、中国から研究者がみえて発表された。
亜東書店のサイトにちょうどよい紹介が出ているので、一緒に載せておく。
10215219 輔行訣五蔵用薬法要伝承集
[梁]華陽隠居陶弘景撰/張大昌/銭超塵主編/
学苑出版社
2008年 9月
ISBN: 9787507730975
A5大/624p(図版32p)/精装
6,982円(税込)《輔行訣五臓用薬法要》一巻は敦煌蔵経洞に収蔵され、1918年に張偓南氏が取得、孫である張大昌氏に伝えられた。原巻は文革中に失われたが、抄本が中国中医研究院に寄贈され、1998年に江蘇古籍出版社出版の《敦煌医薬文献輯校》に収録された。本書は、張大昌氏の入室弟子と私淑の弟子の抄本21篇と関連論文23篇を収録する。カラー図版32頁。(簡体字横組)
一番のポイントは
原本は文革で失われた
ってところ。そして
研究しようにも原本もちゃんとした写真版もない
上に、
21種類伝わっている「写本」がそれぞれ変な風に異なっている
という、あやしさ爆発の敦煌文書なのである。
昨日の発表で明らかにされたところでは
旧蔵者の孫の張大昌氏の話では「ペリオがフランスに敦煌文書を盗んでいったときに、たまたま運搬係として雇われた道士が、その中から数巻を手元に残した、という触れ込みで祖父(張偓南)に売りに来たのを買った」のが『輔行訣五臓用薬法要』
という「伝歴」だそうで、のっけから
あやしさぷんぷん
なのである。その後、更に明らかにされたところによると
張大昌氏の話というのが、それを聞いた弟子によって内容が微妙に異なる
そうで、あやしさ倍増である。
問題は
あやしいんだけど、どうも所々に唐以前の古い薬方が含まれているように見える
ってところで、
全巻偽作と考えるのも難しい
わけ。果たして
どのくらいアウト
か、というのが焦点になってくる。
昨日は
完全にアウトの部分
についての発表もあった。張大昌氏が
付け足した部分
で、四つの処方が明らかにそうだ、という。で、この
完全にアウトの四方
は、ちょっと古い敦煌医薬関係の輯本には入ってないけど、比較的新しい輯本には堂堂と翻刻されているので、注意しなくてはならない、という話である。
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