「マスコミたらい回し」とは?(その153) 毎日新聞は「駱駝を針の穴に通す」らしい 「気管に人工呼吸器挿入」
亡くなられた患者さんのご冥福を心よりお祈り致します。
さて、1997年、三重大学病院で子どもの手術がうまくいかず不幸にして亡くなってしまった事例の民事裁判の記事が、毎日新聞に載っている。この毎日新聞の記事が
いろんな意味で突っ込みどころ満載
というので、関係方面で話題になっている。細かいところは抜きにして、一番わかりやすい記述だけ取り上げておく。
まずは、1/28付の記事。
三重大病院:過失認定 国に6千万円賠償命令病院が適切な治療を怠ったため長男(当時3歳)が手術後に低酸素脳症になり5年後に死亡したとして、三重県松阪市の父親(36)らが、三重大医学部付属病院を当時運営していた国を相手取り、長男が生きていれば稼いだであろう収入や慰謝料計約1億2600万円を支払うよう求めた訴訟の判決が28日、津地裁であった。堀内照美裁判長は、約6000万円を支払うよう国に命じた。
堀内裁判長は「医師の注意義務違反による酸素供給の低下が低酸素脳症を招いた」と指摘。その後遺症による肺炎を併発し5年後に死亡したことについての因果関係も認めた。
長男は1997年3月、同病院で、大動脈が食道や気管を取り囲んで圧迫する疾患「血管輪」と診断され、99年9月に手術を受けた。術後、脳に障害が残る低酸素脳症に陥り、四肢が動かない寝たきりの状態になった。2004年5月には肺炎を併発し、死亡した。
父親らは、手術で人工呼吸器を気管に入れるのに手間取ったため低酸素血症になり、さらに採血したことで脳への酸素運搬能力を低下させたと病院側の過失を主張していた。
国側は「医師の医療行為に過失はなかった」と反論していた。【福泉亮、大野友嘉子】
ええっと。
これはニューポート・メディカル社の人工呼吸器だけど、これをどうやって気管内に突っ込むのか、と。
福島亮記者と大野友嘉子記者と二人も記者を動員していて、なおかつ校閲も受けていて
気管に「人工呼吸器を挿入」
などという、医学的にあり得ない文章を平気で掲載する毎日新聞のクオリティには脱帽する。
ま〜、こういう態度で
医学記事
を書いてるわけで、
「信頼できる」毎日新聞万歳
と褒め称えておきましょうかね。
ちなみに、京都府立医大のサイトに置かれた『小児ICUマニュアル』の「呼吸の管理」より。
(A) 年齢と気管内チューブのサイズ、挿管時の深さの関係(単位 mm)
年齢(体重) 内径(mm) 深さ(経口・経鼻)(cm)
1,500g未満 2.5 7~8 8~10
1,500g~3,000g 3.0 8~10 9~12
3000g以上 3.0~3.5 9~11 10~13
1~6月 3.0~3.5 10~11 11~13
6月~1歳 3.0~4.0 10~12 12~15
1 3.5~4.5 11~13 12~16
2 4.0~4.5 12~13 15~16
3 4.0~5.0 12~15 15~18
成人の場合の内径は、男性が9.0〜9.5mm、女性が8.5〜9.0mmである。今回は3歳のお子さんだったので、4.0mm〜5.0mmと大人のおよそ半分の太さしかない、細いチューブを挿管していたはずだ。
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