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2010-01-11

成人の日の新横浜駅は晴れ着だらけ

奈良に帰るので、午後三時過ぎに金沢文庫から京急に乗ると、白い羽根のショールを巻き付けた晴れ着姿の女の子が一人。ずっとショッキングピンクの携帯と、同じ色のiPod nanoをいじっている。晴れ着の大振り袖も、濃いピンクだ。
横須賀中央から乗ってきたのかな。一人だけで、快特に座っている。

横浜でJRに乗り換える。
のど飴のリコラが切れたので、横浜駅にあるMiniPlaで購入。Pasmoで払おうとしたら残高不足で、レジのおねえちゃんに不審げな目つきで見られる。MiniPlaにあるリコラは、レギュラーとレモンミントハーブの2種類。Pasmoのチャージを済ませてホームに上がると、新横浜直通電車が出ていった後だった。休日の横浜線は接続がうまくいかないと、ちょっと忙しい乗り換えになる。

京浜東北線東神奈川行きに乗って乗り換えようと表示を見ると、待ち時間は10分。なかなか3番線に横浜線の電車がやってこない。向かい側の2番線には、桜木町行き快速が止まる。中は晴れ着姿の女の子とたまに羽織袴姿の男の子でびっしり。成人の日を感じる。
しかし、さいきんの女の子は背が高いので、もし自前の振り袖なら大変だな。用尺が普通(だいたい昔の5尺くらいの背丈に対応)よりも多くなるし、背が高い分、模様の出し方も変わってくる。叔母が163cmあり、裄も長いので、大振り袖を作ったら、1反半も使ったとかつて祖母がその大変さを語っていたが、最近の子は170cm位もありそうな大柄な子も少なくないから、そうなると、まずそうしたノッポさん用の生地で仕立てる必要が出てくる。背が高ければ裄も長くなるから、用尺がどうなるか、あまり考えたくない。袷だから裏も必要だし、胴裏はともかくとして、裾回しは長身仕様の染めになるんだろうか。
足元を見ると、そろそろ緒ズレがひどくなってくる時間だと見えて、よちよち歩いている新成人の女の子が多い。鼻緒で足の親指と人差し指の間がこすれて、歩きにくくなるのが緒ズレだが、はき慣れない草履だと、簡単に起きる。普通は少し履いておいて、緒ズレを防止するんだけど、貸衣装で足元まで全部借り物だったりすると、そんな用心も出来ないから、夕方にはかなり悲惨な状態になるわけだ。自前の履き物だったとしても、本人や周りがよほど気がつくとか、普段から和装に慣れている場合を除いて、緒ズレ対策は忘れられがちだ。同じことは大学の卒業式でも起きる。
晴れ着の女の子のヘアスタイルは、所謂「盛った」髪型だ。ま、高々と頭を結い上げる「盛りヘア」が昨今の流行だが、人類史上、時々極端なほどの高さのヘアスタイルが流行るわけで、頭に船を載っけたりして、奇抜な盛りヘアを競い合っていたフランス革命前の貴婦人などに比べれば、まだまだ可愛いモノである。

みんな判で押したように
 白いショール(素材はいくつかある模様)
を掛けているのが、いかにも
 親も和装に馴染まない世代の成人式
である。なんか
 カタログそのままの格好
をしている子ばかりで、あまり面白くはないな。

電車がやっと来て新横浜に到着。着いたとたんに
 白いショールの大振り袖、盛りヘアの大群
が目に入る。友達と二三人連れでしゃべりながら前を見ないで歩いているので、駅の中はすごい状態になっている。たまに
 白地に金色の縫い紋の紋付き羽織に袴の兄ちゃん
もいるのだが、こちらもあんまり格好良くねえなあ。紋付き羽織袴を着るなら、もっと背筋を伸ばして、重心を下に置かないと、七五三の子どもがただでかくなったみたいに見える。袴をはいたら、足捌きが大事だけど、ただどたどた歩いてるだけ。本人は
 イケてるオレ
のつもりなのかも知れないけど。
家人は、この大群を見て
 横アリ(横浜アリーナ)で成人式なんじゃないの?
と、言っていた。横浜市って、あんなに人口がいるのに、みんな横アリなのか?ググってみたら
「成人の日」を祝うつどい(成人式)
というページに


-日程-
平成22年1月11日(月・祝)
-会場-
横浜アリーナ(JR、横浜市営地下鉄新横浜駅下車・徒歩8分)
(略)
第1回(午前の部)
<開場9時40分、開始10時30分>(予定)
鶴見・西・中・旭・港北・緑・青葉・都筑・瀬谷区の在住者
第2回(午後の部)
<開場13時10分、開始14時00分>(予定)
神奈川・南・港南・保土ケ谷・磯子・金沢・戸塚・栄・泉区の在住者

と書いてあり、この新横浜駅の大混雑の原因は
 第2回に出席した神奈川・南・港南・保土ケ谷・磯子・金沢・戸塚・栄・泉区在住の新成人
のようだった。ざっと見ていたら、一人だけ、
 自分の好きな晴れ着を選んだ
という感じで、着慣れた様子で、すたすた歩いている女の子が目に留まったけど、やっぱりほとんどの晴れ着の女の子達は、
 カタログのまんまの晴れ着姿
だった。なおかつ、大抵の子は、着物に着られている。晴れ着姿なのに姿勢が悪い子が多いもんなあ。かっこ悪いぜ。

和装に関しては、あんまりお洒落じゃないかもね、横浜。

ところで、地毛で島田を結うと、姿勢が悪いと、すぐに島田髷の根が弛んで頭が壊れてしまうそうで、そのことをきつく髪結いさんから注意された話を、幸田文の娘である青木玉がエッセイに書いていた。
高く盛った今時のヘアスタイルよりも、地毛の島田は美しさを保つために、本人には、気合いと細心の注意が必要だったのだ。その点では今風の盛りヘアは、根が弛んだ髷の怖さみたいなのはないからな。せっかく大振り袖を着ても姿勢が悪いのは、多少姿勢が悪くても崩れない、楽なヘアスタイルのせいもあるかもしれない。あとはたぶん
 着物を着慣れている人が誰も周りにいない
んだろう。格好良く着物を着る大人が側にいれば、まずあんなかっこ悪い着方はしないものだ。

せっかく晴れ着を着るなら、格好良く着ようぜ。

そいういう意味で一番恐いのは京都だ。最近はそうでもなくなったけど、大学に入った頃は、着物はもちろん、普段の格好でも、その姿が京都の町にそぐわないと感じると、誰彼なく鋭い一瞥を投げて寄越したモノだ。で、洋服の場合は
 なんえ、その格好
と着ている本人に聞こえるように言われる。
下手に着物を着ていると、まずはやんわりと
 ええのん着てはりますなあ
と来る。翻訳すると
 お前は着物を着てうれしそうだが、実にみっともないから、脱いで別な格好をしろ
という意味である。

でも、最近は観光振興のために
 着物で観光するといろいろ特典があります
なんてキャンペーンをやっているから、全国から、中には
 ただ着物を着てるだけ
という凄い着こなしの人達がやってきていて、これはこれでまた頭が痛い光景があちこちで見られる。大体
 着物で京都を旅するワタシってステキ
という錯覚が最初からあるから、凄いのはどんどん凄くなっちゃうわけだ。若い子ならまだ注意のしようがあるが、40代以上は、もう手の施しようがない。格好良く着物を着る、手本となるべき大人が身近にいないまま、いい年になった人は、本人が気づかない限り、ほんとどうしようもないからなあ。
もっとも京都の人はイケズだから
 よそさんはよそさん、好きにしやはったらよろし。うちらはあんなん、身内のモンがしたら、かなんけどな。
と、どんなに凄い着こなしの観光客を見ても、放置している。ウチと外はきっちり分けるのが京都だ。
 京都を着物で観光する
のと
 京都でふだんや晴れの場で着物を着る
のとでは、求められているレベルが全然違うのである。
 大阪の食い倒れ、京の着倒れ、奈良の寝倒れ
というのだが、「着倒れ」の町の名の通り、単なる「記号」として着物を着るくらいなら、
 着ない方がマシ
と腹の中で冷笑されるのが落ちだ。
京都人は目が肥えているから、あっという間に着物の値踏みはできる。着物さえ着ていれば許される、という関東辺りの緩さはない。その上
 知り合いはみんな小姑と同じくらい口さがない
土地柄だ。そうした厳しい審美眼の中で、それなりに気張って支度を整えて、成人式に送り出したとしても、賞賛の言葉には
 (粗末な支度と不作法な振る舞いでよその人から見ると恥ずかしいことばかりで)みなさん笑ろてはりますわ
とにこにこしながら謙遜した振りで返すのが京都人だ。
 

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