プリウスブレーキ問題(その3)やっと創業家出身の豊田章男社長が会見→アメリカでの報道の一例
先ほど21時過ぎに、トヨタの豊田章男社長が、ようやく姿を現し、自ら今回のアクセルペダルのリコールとプリウスのブレーキ問題について会見を開いた。これまで企業トップでありながら、豊田社長は、会見に臨んでおらず、経営者としての責任と倫理を疑われていた。
朝日より。
トヨタの豊田社長、初めて会見し謝罪 無償改修を表明2010年2月5日21時6分
トヨタ自動車の豊田章男社長は5日、アクセルペダルのリコール(回収・無償修理)など、昨秋からの一連の品質問題に関し、初めて記者会見し、「お客様にご迷惑、ご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます」と陳謝。「信頼を取り返すため、全社一丸となってやっていきたい」と、安全対策の向上を急ぐ考えを示した。相次ぐ問題発覚を受け、会見で自ら安全性向上への取り組みを語ることにした。
豊田社長は、新型「プリウス」のブレーキが瞬間的に利かなくなる問題で、「購入いただいた車両は、できるだけ対応を考えるよう社内に指示している」と話し、国内外で販売した30万台余りを、すべて無償で改修する方針を表明した。
また、品質向上のため「グローバル品質特別委員会」を設置する考えを明らかにした。
トヨタの昨年からのリコール対象台数は、世界で延べ1千万台を超えており、豊田社長には、トヨタのトップとして経緯の説明を求める声が国内外で強まっていた。
一連のリコール問題に関し、米下院が2月10日と25日に公聴会を開くことを決定したため、豊田社長が自ら、安全問題への取り組みに関し説明する必要があると判断したとみられる。
トヨタの品質問題に注目が集まったのは、昨年8月に米カリフォルニア州で発生したレクサスの暴走事故がきっかけだ。高速道路交通隊員ら4人が死亡。アクセルペダルがフロアマットに引っかかって暴走した可能性が浮上し、9月下旬、トヨタと米高速道路交通安全局(NHTSA)が、米国で販売する7車種のマットを至急取り外すよう求める事態に発展した。
しかし、トヨタは「マットを適切に使用すれば問題はない」と主張。同11月には426万台(後に535万台に拡大)を対象に、ペダルを短くするなどのリコールに踏み切ったものの、欠陥の存在は否定。その結果、米国内で批判が強まっていた。
今年1月21日には、アクセルペダルの根元の問題で、ペダルが戻りにくくなる不具合が発覚。8車種230万台のリコールを発表し、その後、販売と生産を一時中止する事態になったが、これも2007年に問題が指摘されていたことが発覚。
2月3日にはプリウスのブレーキが、滑りやすい路面などで瞬間的に利かなくなる問題も発覚したが、苦情を受けていることを公表しないまま1月から生産した車に対策を施していたことが分かった。
こうした経緯から、特に米国で、トヨタの安全問題への姿勢に対する疑念が高まり、米議会の公聴会で説明を求められることになった。米当局に不具合の危険性を認識していながら改善していなかったと判定されれば、民事制裁金を科せられる恐れもある。
エライ人が高給取りなのは
何かあったときに頭を下げるためだ
ということになっているのだが、これまで何回か社長自らが会見をしなくてはいけない局面があったにも関わらず、豊田社長は姿を見せなかった。こうした辺りに
トヨタの「特殊性」
を感じる。
説明責任を果たそうとしない創業家出身の豊田社長
は
世界企業となった筈のトヨタが、実はいつまでも日本の一企業としての「旧態依然とした体質」を引きずっている象徴
だった。今回やっと姿を現したとはいえ、世界的大企業として十分な説明責任を果たしたとは受け取られていない。
会見のダイジェストが報道ステーションで流れていたが、トヨタ自身も
殿の一大事
という感じで豊田社長を扱っており、そういう様子がカメラに映ってしまうこと自体、近代的な企業のあり方とは相容れない。
こうした豊田社長の振る舞いは、少なくとも、海外の株主の信頼を獲得するどころか、
トヨタに潜む危険性
を更にクローズアップさせたことに、たぶんトヨタ側は気がついてないだろう。大スポンサーであるトヨタには、広告収入の激減で経営が苦しいメディア各社は逆らえないし、トヨタから広告引き上げを食らうような報道は差し控えるだろう。
トヨタに関する国内報道こそ
マスコミの好きな「ガラパゴス」という言葉
で、くくるにふさわしい。
おまけ。アメリカABC"Nightline"の1/22の報道。ここでは前半は
いかに事故から逃れるか
という点を報道している。日本ではNHK BS1で同通つきで放映された。
アクセルのコントロールが効かず、加速して池に落ちたトヨタ車と、発見した人が911に通報している声が入っている。この事故が起きたのが
クリスマスの翌日
であり、
4人が死亡
した。しかも
クリスマスのため教会で奉仕した帰途の悲劇
ということで、余計にアメリカ国民の同情を買う結果となっている。日本でいうなら、
初詣のために、近所の神社で手伝いをした帰りの事故
という感じになるだろう。
ビデオの後半では、トヨタのリコールが不十分ではないかと疑問を投げかけている。
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