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2010-02-05

プリウスブレーキ問題 車屋の論理とユーザーの心理

アメリカでは、トヨタバッシングが凄いらしい。ハワイ在住の知人がその凄さに触れていた。

いままで
 安全で安い、品質第一
という信頼を得ていた日本車が、
 走る凶器になりかねない
という映像が繰り返し流され、ライバルのアメリカ車メーカは
 $1000ボーナスの乗り換えキャンペーン
で、追い討ちを掛けている。1/28付日経より。


トヨタ車から乗り換えなら1000ドル支給 GMやフォードが攻勢
 【ニューヨーク=小高航】トヨタ自動車の米大規模リコール(回収・無償修理)問題で、ゼネラル・モーターズ(GM)など米国勢が早くも販売の巻き返しに動き出した。GMとフォード・モーターはトヨタ車から乗り換えた場合に顧客に1000ドル(約9万円)を支給するキャンペーンを開始。米新車販売がようやく上向きつつある中、トヨタや系列ディーラーは厳しい競争を強いられる。
 複数の米メディアによると、GMは27日からトヨタ車ユーザーへの販売キャンペーンを開始。2月末までにGM車を購入した場合、1000ドルの値引きや5年間の無利子ローンなどの優遇を受けられる。
 フォードは乗り換えに際し1000ドルを支給する計画だという。同社の場合、トヨタだけでなくホンダや高級車ブランド「アキュラ」も対象となる見通し。トヨタの品質問題を機に、日本車全体からのシェア奪回を図る狙いとみられる。(28日 20:23)

その上、エコを旗印にした、トヨタのシンボルカーとも言うべき
 プリウスのブレーキ問題
は、トヨタの失地回復を難しくさせそうだ。

トヨタは昨日、プリウスのブレーキ問題で、次のような会見を開いた。朝日より。


トヨタ幹部「クレーム隠しではない」 プリウス問題

2010年2月5日0時31分

 トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」のブレーキが瞬間的に利かなくなる問題で、同社の横山裕行常務役員(品質保証担当)は4日、東京都内で会見した。公表せずに1月生産の車から対策を施したことについて「品質改善の一環で、クレーム隠しではない」と強調した。

 トヨタは要望に応じて無償改修を始めているが、横山常務役員は「何らかの形で案内できる方策を考えている」と話し、リコール(回収・無償修理)にも含みを残した。

 新型プリウスは昨年5月に発売された。日米の当局とトヨタへの苦情は現在、延べ200件以上に上っている。

 横山常務役員によると、トヨタへの苦情は昨年秋ごろから。低速で滑りやすい路面などを走行中、一時的にブレーキが利かなくなるというものだ。とくに12月、北海道などで苦情が増えたことから、対策を施したという。

 改善したのは、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)。滑りやすい路面でブレーキペダルを踏んでも、車輪がロックしてハンドル操作が不能にならないよう、ブレーキの利き方を制御する。調査の結果、ブレーキを軽く踏んだ状態でABSが作動すると、油圧ブレーキの利きが遅れる可能性があることが分かった。

 しかし、トヨタは、運転者の感覚と車の動きが「少しずれている」という程度の認識で、公表は必要ないと判断した。横山常務役員は「お客様の期待値に対し、(開発の過程で)判断が甘かったと反省している」と述べた。

いくら
 クレーム隠しではない
と言ったところで、
 アメリカやヨーロッパ、中国でのリコールの遅れ
を指摘されたばかりのトヨタの言い分を、素直に信じるヒトはあまりいないだろう。だいたい
 12月に北海道などでクレームが増えた
というのは、
 ブレーキ性能が試される雪道や凍結路でトラブルが起きていた
ということに他ならない。雪道・凍結路の走行は、ブレーキが利くか利かないかが
 生死を分ける
場合が少なくないのだ。トヨタの発表ではそのトラブルが起きるのが
 低速で滑りやすい路面などを走行中、一時的にブレーキが利かなくなる
と、
 あたかも非常に限定的な局面で稀に起こるような印象を与えている
が、日本では
 アイスバーンを時速150kmで飛ばす車はいない
上に、市内走行であれば、雪道・凍結路は
 低速走行が一般的
である。つまり
 雪道・凍結路であれば、常に起こる可能性のあるトラブル
であり、
 そうでなくても運転技術を要する雪道・凍結路の走行の安全を根底から損なうトラブル
なのだ。
 安心とエコを売り物にしていた筈のプリウスで起きたブレーキトラブル
は、
 これまで積み上げてきたプリウスへの信頼を一気に崩しかねない問題
である。
トヨタ本社は温暖な愛知県にある。本社第一の姿勢が気候の評価にも及び、雪道・凍結路走行でのブレーキ性能の問題を
 局地的・季節的な限定的トラブルとして軽視
していたのではないか、とさえ疑われる。たしかに日本国内では
 雪道・凍結路走行を迫られる地域と季節は限定的
かも知れないが、
 アメリカやヨーロッパの冬の長い地域では、雪道・凍結路走行でのブレーキ性能は大問題
である。北海道で起こったことは、当然、いまアメリカやヨーロッパで起きているだろう。国際的な信頼を失わせるのには十分なトラブルだ。ヨーロッパやアメリカは、全部が全部
 地中海沿岸やフロリダのような温暖な気候ではない
のだ。

トヨタがこの会見で強調したのはあくまでも
 車屋の論理
である。車屋の論理として、技術的説明は「正しい」のかも知れないが
 車に乗っているのは「一般ユーザ」
だ。
 一般ユーザの不安を解消するための会見
だったはずなのに
 自動車メーカトヨタの論理だけが先行する会見
となった。つまり
 トヨタは、「顧客の安心」よりも「自社のプライド」を選んだ会見を行った
ことになる。

トヨタは復活を賭けて、創業家から社長を迎えたのだが、このままではこの創業家出身の社長が無傷で済むはずもないだろう。
もし、こうした
 より慎重で安全な走行を求められる、雪道・凍結路で起こる可能性の高いブレーキトラブル
や、
 アメリカ・ヨーロッパ・中国の大量リコール
の情報が
 創業家出身の社長を「慮って」遅れて伝わっていた
のだったら、トヨタは自分で自分の首を絞めたことになる。

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コメント

>トヨタ本社は温暖な愛知県にある。本社第一の姿勢が気候の評価にも及び、雪道・凍結路走行でのブレーキ性能の問題を
> 局地的・季節的な限定的トラブルとして軽視していたのではないか、とさえ疑われる。

トヨタは士別にテストコースがありますけどね。
http://www2.toyota.co.jp/jp/facilities/rd/index.html
>士別試験場
>設 立:1984年(昭和59年)
>業務:車両の高速走行テスト、寒冷地試験および評価

ちょっと煽り過ぎですよ。

投稿: Enzo Romeo | 2010-02-06 10:04

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