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2010-03-01

「マスコミたらい回し」とは?(その156) 大淀病院産婦死亡事例民事裁判速報!→判決文

亡くなられた産婦さんのご冥福を心からお祈り致します。

大淀病院産婦死亡事例の大阪地裁での民事裁判の判決が出ました。
うろうろドクター先生が速報してくださっています。
こちらでどうぞ。
大淀病院事件、嬉しくない当然の判決

続き。(20:48)
Skyteam先生がご教示下さったのだが、本日、判決を傍聴されたたまりょさんがご自身のblog「お決まりの日々?」で
 判決文全文
を、ご自身がメモされ、聞き取れた範囲でアップされている。是非、全文をご一読下さい。
大淀町裁判に行ってきました(その2)

正確な判決全文は後日、請求できるから、まずは速報としてたまりょさんの労作を読んで頂けるとうれしい。
たまりょさん、本当にありがとうございます。
主文だけ、引用させて頂く。


1)主文
1.原告らの各請求は棄却する。
2.訴訟費用は原告負担とする。

(追記 22:30)
三上藤花さんも、傍聴にいらっしゃって、ご自身のblog「日々のたわごと 医療問題資料館」に判決文をアップされている。
判決要旨のつもり
三上藤花さん、ありがとうございます。お疲れさまでした。
(追記終わり)

関西ではローカルニュースで今日の判決をトップかそれに近い形で扱っている。
NHKはこんな感じ。
一応魚拓。http://megalodon.jp/2010-0301-2054-27/www.nhk.or.jp/osaka/lnews/01.html


“医師の判断不適切といえず

4年前、奈良県大淀町の町立病院で出産中の妊婦が意識不明となって死亡したのは医師の診断ミスが原因だとして遺族が訴えていた裁判で、大阪地方裁判所は「当時の医師の判断は不適切とはいえず、過失はなかった」として、遺族の訴えを退けました。

この裁判は平成18年、奈良県大淀町の町立大淀病院で高崎実香さん(当時32)が出産中に意識不明になり、搬送先の大阪府内の病院で死亡したことについて、夫の晋輔さん(27)と長男が、脳内出血を見逃した町立病院の診断ミスが死亡の原因だとして町と主治医に損害賠償を求めていました。被告の町と医師は「対応に間違いはなかった」と主張していました。きょうの判決で大阪地方裁判所の大島眞一裁判長は「意識を失ってから経過を観察した医師の選択は不適切とは言えず、過失は認められない」と指摘しました。
そして、「仮に脳内出血と診断できたとしても、進行が早く、想定できる最善策を講じても命を救うことはできなかった」として遺族の訴えを退けました。
実香さんの死亡をめぐっては、最終的に大阪府内の病院に運ばれるまで19の病院に受け入れを断られ、産科医療体制の不備が問題になりましたが、判決のあと、大島裁判長は「救急医療の整備・確保は国や地方自治体の責務であり、実香さんの死を無駄にしないためにも産科などの医療体制が充実することを望む」とする異例の言及を行いました。
会見した晋輔さんは「判決を聞いたときは頭が真っ白になった。納得できる判決ではないが、控訴は考えておらず、今後、産科医療が改善されることを願います」と話していました。

夕方18:10からのローカルニュースでは、このニュース原稿の後、
 NHK奈良局稲垣記者が奈良県の救急医療について取材した内容
を流した。周産期母子医療センター発足後、奈良県から他府県への妊婦搬送は減り、昨年7月以降は1件しか搬送されなかった、というのだが、その分
 奈良県立医大産婦人科の先生方が鬼神の働き
をされているわけで、そのご苦労を思うと頭が下がる。なんせ、奈良県立医大産婦人科教室は
 2007年8月の奈良高槻産婦搬送事例
で、NHKを始めとするメディアスクラムの餌食となり
 報道被害を受けた医局
だからな。他のヒトは忘れようとも、わたしは
 NHK ニュースウオッチ9の犯罪的報道
は忘れないからな。その件はこちらに。
 2007-08-29「マスコミたらい回し」とは?(その88)産科医は促成栽培できる野菜じゃありません 養成に最低10年かかる産科医は絶対数不足なのにNHKニュース9で「スピード感をもって望んで欲しい」「安心して子供が産めません」と血迷ったコメント
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/08/8810nhk9_fc04.html
 2007-08-31「マスコミたらい回し」とは?(その95)奈良県立医大産婦人科教室からの正式コメント
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/08/95_6d40.html
 2007-09-01「マスコミたらい回し」とは?(その96)奈良高槻妊婦搬送問題で報道被害 奈良県立医大産婦人科教室への研修希望者が辞退 ただでさえ人手不足の産科に打撃
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/08/130_112_6356.html

関テレはこんな報道でちょっと長目。
魚拓。http://megalodon.jp/2010-0301-2057-19/www.ktv.co.jp/news/date/main.html


奈良・妊婦死亡訴訟 「医師に過失なし」と請求退ける

4年前、奈良県の妊婦が19の病院に転送を拒否された末に死亡した医療事故の裁判で、大阪地裁は「医師に過失はなかった」として夫の訴えを退けました。

奈良県の高崎晋輔さんは1日、妻の死をめぐる裁判の判決を迎えました。

4年前、奈良県の大淀病院で起きた妊婦死亡事故。
【高崎晋輔さん・2006年】「子供の顔を一回も見れてない…」
出産中に脳内出血を起こした妻・実香さん(当時32)は、19の病院に転送を拒否された末、死亡しました。
深夜0時過ぎに激しい頭痛を訴えて意識を失った実香さん。
主治医は、痙攣発作が起きる「子癇」と診断し、CTなどの検査は行いませんでした。
脳内出血が見つかったのは、大阪の別の病院に運ばれてからでした。
病院との対話が途絶えた高崎さんは「脳内出血と診断できる状態だったのに、必要な措置を行わなかった過失が死亡を招いた」として、真実を知るための裁判を起こしました。
一方、病院側は裁判で「奈良県の妊婦搬送システムの不備が原因だ」と主張しました。

高崎さんは男手ひとつで息子を育てるかたわら、事故の再発防止につなげたいと医学生向けの講演などを行なってきました。
【高崎さん・2007年】「誰でも優しく握れる手を持っているお医者さんになってほしいんです」

実香さんの事故のあと、奈良県は、医療体制の整備に取り組んできました。
おととし、産科救急の最後の砦となる総合周産期母子医療センターを設置するとともに、センターと病院の連携を強化。
これまで年間40件あまりあった県外への母体搬送が、去年の夏以降は1件だけと大幅な減少を見せています。
【奈良県立医科大学産婦人科・小林浩教授】「総合周産期母子医療センターができてベッドが増えた。若手医師が増えた。そうするとカバーできる率が上がってきて、今の状態が続いてくれればいいなと思います」

高崎さんの息子は3歳になりました。しかしまだ、母親の死を理解することはできません。
【高崎さん】「もう少し大きくなって理解できるようになったら、実香の命が(医療体制の整備に)役に立ってくれたということがあれば、ちゃんと理解してくれるんじゃないかなと」

医療体制の整備が進む一方、1日の高崎さんの裁判では「脳の検査より搬送先探しを優先した主治医の判断に過失はなかった」として、訴えは退けられました。
【高崎さん・判決後の会見】「頭が真っ白な状態で…実香に申し訳ないなという気持ち」

判決で裁判長は異例の意見を付け加えました。
【判決の付言】「救急医療の整備・確保は、国や地方自治体の最も基本的な責務である。実香さんの死を無駄にしないためにも、救急医療体制が充実し、1人でも多くの命が助けられることを切に望む」

高崎さんは控訴するかどうかについて「今は考えられない」と話しています。
( 2010/03/01 19:37 更新)

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コメント

かと思えばこのような事も起こり続け・・・提携病院を訴えるのはいかがなものかというムードで回答が続いていますが。Yahoo!知恵袋「助産師二人が付き添い自宅出産を試みましたが、死産しました。この助産師2名と提携病院を相手に訴訟を起こすか?起こさないか?で悩んでいます」http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1437083809

投稿: eddie | 2010-03-01 15:42

訴訟は原告敗訴で何よりでした。まあ、これで原告勝訴だったらやっていられませんが。

知恵袋を拝見しましたけど、これで提携病院を訴えようかってどういうこと?レメディが出てきた段階で「こりゃだめだめな助産師」とお見受けしましたが。提携病院は搬送要求を受け、緊急娩出しただけでしょうが。
書き込むとかえって炎上するかなあ。

投稿: 山口(産婦人科) | 2010-03-01 17:38

 大変だったと思います。病院が産科を閉鎖する羽目になって、住民は結果として二度と地元で分娩できなくなりました。
 そして、メディアはこういうときは「主文」をろくに紹介せずに・・・付言を広く報じるみたいですね。
 以下、一部を引用します。

大淀町裁判に行ってきました(その2)
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-2986.html
損害賠償請求事件(大淀町事件) 平成19年(ワ)第5886号 の判決文です。

1)主文
1.原告らの各請求は棄却する。
2.訴訟費用は原告負担とする。

<以下はリンク参照>

投稿: skyteam | 2010-03-01 20:35

奈良妊婦死亡訴訟、遺族の敗訴確定へ
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201003160043.html

改めて亡くなられた産婦さんのご冥福をお祈りいたします。
しかい結局、この件で誰か得することはあったのでしょうか?

投稿: REX | 2010-03-16 23:39

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 今回の判決に関して、「たらい回し」を使う報道は見当たりません。たった2年ほど前の時、熱心に病院のバッシング記事を書いていた記者たちは、もう一人もお見えではないようでおそらくジャーナリストとして失...... [続きを読む]

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