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2010-03-30

フィギュアスケートの病理 引退したばかりの審判へのインタビュー記事“I Would Say 10% of Judges Are Completely Honest”「正直な審判は10%くらい」

日本には
 尋常に勝負
という言葉があるように、いかなる競技でも、競技そのものに不正が入り込むことを潔しとしない精神風土がある。

で、
 フィギュアスケートの採点も「ジャッジが正確かつ公平無私」と確信
しているわけなんだけど、現実はそうではない、と
 バンクーバー五輪で引退したベルギーの審判 Patrick Ibens
が語っている。

日本のマスコミが
 審判と採点制度そのものの質の問題
を取り上げられないのは、日本では
 審判は絶対に正しい
と思い込むことが美徳だ、と教えられてきたからだ。特に
 高学歴の人間が揃っているマスコミ
には、
 受験戦争、そして激烈な就職戦線を勝ち抜くために「いい子」「求められる若者」として振る舞い、大学合格までの十数年間と就職活動の一年余りを犠牲にしてきた元秀才
が揃っているから、この手の
 「いい子のルール」に抵触するような問題を取り上げるのに、心理的な抵抗が強い
のだ。
 「いい子のルール」に反する報道
は、
 自分たちが子ども〜青春時代に犠牲にしたものを根本的に否定する行為
だと思い込んでいるのだろう。しかしながらそれは
 日本のスポーツ報道が根本的な批判精神を欠いている証左
でもある。批判とは良きにつけ悪しきにつけ
 目の前にある事象がいかなるものかであるかを理性に従って判断する行為
だが、記者クラブ制にどっぷりはまり、目の前のものを自分で調べることを怠り、配布された広報の資料を基に記事を書く生活に慣れた記者達には
 自分たちがかつて持っていたはずの、個個独自の批判の目
が曇っていってしまっていることには思いも寄らない。もし
 新聞が「批判」
するとすれば、それはおざなりで、紋切り型で、
 新聞がよしとするストーリー展開に即した「批判」
である。そこには書き手の体温など関係ないのだ。たぶん
 広報資料から、自社のスタンスに則った記事を自動生成するプログラム
が出来上がったら、そのまま人間の首を切っても、誰も気がつかないような記事が新聞紙上に踊るわけである。

元記事はTony Wheelerの英文blog"Tony Wheeler's Thoughts in the World of Figure Skating"に3/8付で掲載された、
Patrick Ibens Interview
temarriさんがご自身のblog「To Be Dramatic★ - 明日への飛翔」に3回に分けて和訳を載せて下さっているので、それをリンクしておく。かなり長文だが
 フィギュアスケートの審判がなぜ「正しい判断を下せないか」
がよくわかる内容だ。
ある引退するジャッジとのインタビュー
ある引退するジャッジとのインタビュー その2
ある引退するジャッジとのインタビュー その3(訂正あり)
是非、ご一読を。

こちらは、上記インタビューに対する、ISU事務局にいたことがあり、国際審判でもあったSonia Bianchettiのメール。「正直な審判は10%くらい」というのはちょっと少なすぎると思う、という部分を除いて、概ね、上記インタビューを肯定している。
あるジャッジのインタビューへのコメント(ソニアビアンチェッティ)
元記事は同じくTony Wheelerのblogの3/13付記事で、
Sonia Bianchetti: "The role of a judge now is as exciting as that of a cashier in a supermarket!"
ソニア・ビアンチェッティは
 現在のシステムでは、不慣れな審判が「決められた規定に外れないよう当たり障りのないジャッジ」をする
のが、
 すばらしい演技に対して、正しくない判定がまかり通る原因
だと見ている。ソニア・ビアンチェッティは
 PCの点はスケートではなく、むしろ、滑走順やスケーターの評価を反映している
として、
 これではPCSを判定することなど出来ない
と断じている。

なぜ
 世界選手権のフリーで、浅田真央のPCSが62.48と低く抑えられ、一方転んで、やる気のない様子を見せたキムヨナには、TESでは及ばなかったものの、65.04という高いPCSが与えられ、合計すると浅田真央を1点近くも上回る得点が出るのか
という謎は、上記インタビューとメールがほぼ明らかにしてくれるように思う。
 審判が見ているのは演技ではなく「名前」と「滑走順」
なのだとすれば、それほど驚く話ではなさそうだ。しかし、それは、パトリック・イベンスにフィギュアスケートを
 僕らの競技は“スポーツ”から外れている
と語らせる状態に陥らせている。

五輪直後のインタビューで、浅田真央を指導したタラソワコーチが、現在の採点システムと審判に不信を抱き、改革を望んだ次の発言は、上のインタビューやメールを合わせて読んだとき、よくその意味がわかる。「ロシア語自習室」の3/2付<プルシェンコは金メダルを勝ち取った!>タチヤナ・タラソワより。


フィギュアスケートの発展に無関心ではない人、全員が戦うべきです。技術委員会に入るべきなのは、様々な国や様々な種目のコーチたちであって休みの日にだけフィギュアスケートに関わるおじさんやおばさんたちではありません。彼らは私たち専門家に対して、ある種の狂気じみたルールの元で仕事をするよう提案してきます。ダンスのルールの複雑さ(手の込みよう、不可解さ)と言ったら、もうつばを吐きたくなるぐらい!その一方、男女シングルで起こっているのは、ただのでたらめ(混乱、無秩序)です。

いまの採点制度下では、審判達も、彼らの下す採点も、そしてその判定を受ける選手達も、一部の恩恵を受けられる人物を除いては、皆不幸な状態だ。

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