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2010-04-08

4月第2週目から京大文学部の授業が始まっているらしい件

その昔。
 西の京大、東の一橋

 東西の双璧
と呼ばれていた。理由は
 日本で授業の開講日数が少ない国立大学だった
から、という話だった。
(追記 4/9 6:00)
一橋OBの友人によると、最近は一橋も滅法厳しくなって、授業はもちろんびっちりあるし、学生もみんな授業に出てくるらしい。もっとも、あるOBは
 出来のいいノートを集めるとか、単位の取りやすい授業に出るとか、そういう「智恵」は失われつつある
と嘆いているとか。まあ、
 一般教養では出席しなかった授業で優を取るのが一番正しい
というような風潮があった時代に学生だった人々からすると、最近の学生は本来の姿に戻りすぎていて、つまらないのかも。
(追記おわり)

とりわけ、京大文学部はかつては本当に授業が少なかった。
前にも書いたことがあるけど、80〜90年代初頭はこんな授業回数であった。
 4月20日過ぎに第1回目(1回目)
 GWで休み。飛び石連休に挟まれると当然休講率高し。
 5月は残り2回。(2〜3回目)
 5/20前後の成田闘争支援を挟んで文学部学生大会で文学部学生スト決議、1週間のスト突入。(学部は授業が休講。大学院は授業をやる)
 6月は18日の創立記念日以外は休み無し。(4〜7回目)
 7月1日〜10日 集中講義(学外の講師による。この間通常授業無し)
 以後夏休み、前期終了。
 9月20日過ぎに後期第1回。(8回目)
 10月は2回くらい。(9〜10回目)
 10/21の国際反戦デーを挟んで文学部学生大会で文学部学生スト決議、1週間のスト突入。(学部は授業が休講。大学院は授業をやる)
 11月は2回くらい。(11〜12回目)
 11月23日を挟む「11月祭」で1回は休講。
 12月1日〜10日 集中講義(学外の講師による。この間通常授業無し)
 1月10日過ぎに最後の1回の講義。(13回目)
 1月中旬 定期試験(ペーパーテストは少なく、レポートが大半)
で、この日程は教官(この当時はまだそういう職位)が休講にしない場合で、たいてい1回か2回は海外出張か学会関係で休講が入るから、年間の開講回数は
 12回
というのが、京大文学部の標準だった。で、
 よその大学に集中講義に行くと、毎年12コマ分しか用意してないので、規定の15コマやるためには3コマ分別に準備しなくてはいけない
という話になったわけである。

さすがに最近は文科省が
 半期15回(試験は別)開講
するよう指導しているので、こんなのんびりした時代は過去の話である。

もっとも
 年間12回
でも
 ゼミで当たると最低2週間は準備のために寝不足になる
わけだし、内容によっては
 1カ月前から準備しても間に合わない
から、年間12回でも、真面目な学生は相当勉強しなくてはならなかった。印度学のように
 研究といいつつ実はゼミ
という授業もあったから、印度学の学生は授業が開講されている間はあまり寝る時間がなかった。人数が少ないから、毎回当たったりするわけで、1つの授業の準備に学部学生なら、段取りが悪いと8時間かかったりする。そういう授業が週に4回くらいあるので、真面目であればあるほど、寝る暇はなくなる。

半期で15回やるためには、今週か来週開講、ということになるわけなのだが、学外非常勤で京大文学部へ行っておられる師茂樹さんが、今日行って、びっくりされたらしい。
https://twitter.com/moroshigeki/status/11793603051
師さんには申し訳ないのだが、たぶん、一桁日数の開講日って、院生はもちろん、学部学生も慣れてないから、授業はないものだと思って、誰も行かなかったんだと思う。TLを見る限り、午前中の1コマ目の授業のようだから、どなたが担当されても、この時間に開講される授業は出席率はそれほどよくない上に、開講すら知らなかった可能性がある。
いま
 研究室助手
という制度がなくなってるから、開講などの事務連絡がつけにくくなっているのも、原因だろうな。

もっとも、半期15回のゼミを、年間12回の頃と同じ密度でやると、たぶん死人が出る。文科省は授業回数を増やせば、より勉強する、という考え方なんだろうけど、半期15回がdutyになって以降は、文学部で、参加者が下調べを要求される授業では、恐らく密度は下がっていると思われる。いろんなものがデータベース化されて、下調べは楽にはなったけど、
 コンテクストの中身を考えるのは人間
で、
 人間の思考速度が上がったわけじゃない
からなあ。

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