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2010-05-23

人呼んで「赤松口蹄疫」 宮崎県口蹄疫は4/20の発生から30日間で13万頭殺処分決定のパンデミック規模(その25)防疫と種牛 危機管理のありかた

牛太郎さんから、貴重なコメントを頂いたので再掲する。
そもそも、
 高鍋町の宮崎県家畜改良事業団が移動制限区域内
に入ったのは、口蹄疫の感染が始まったごく初期だった。


種牛を守ろうとして他の牛まで、口蹄疫に感染させてしまい挙句の果ては牛は全滅する。やはり被害を極限に抑えるために殺すしかないでしょう。知事が涙ながらに訴えていたが、人の上に立つ者は感情に左右されてはいけない。見誤ってしまう。現在のブランド牛を求め続けた実態を考える良い機会であろうと思う。私は、このような状態は起こりうるケースだと思う、行政の上に立つものの危機管理体制がなっていない。対処方法をマニアル化していなかったのは、行政の責任である。宮崎県のみならず危機管理の体制がなされていない。その中にひとつ入れて欲しいのが、他国で口蹄疫が発生した場合、その国の者を施設に入れてはいけない。とね。とにかく、早く殺してしまわないと、日本の牛は全滅するぞ、宮崎県知事早く決断をしなさい。

牛太郎さん、ご教示ありがとうございます。
結果的に、宮崎県で最も人気の高かった種牛「忠富士」に感染が確認され、昨日夕方、殺処分された。
牛太郎さんの仰るように、疫学的に見れば、
 そもそも、貴重な種牛を宮崎県家畜改良事業団で一括管理し、なおかつ育成牛と近いところで飼育していた
こと自体
 危機管理が出来ていなかった
ということになる。宮崎県は、種牛の冷凍精液を県内流通のみに留め、県外には出さないような管理体制を敷いている。そのため、これまでに、芳しくない事件が起きている。それについては宮崎日日新聞の以下のページに詳しい。
 和牛精液盗難事件【09.5.20-09.10.31】(15)

種牛は
 宮崎の経済を支える一つの核
だったと言える。上記リンク先より。


血統スーパーエリート牛―精液盗難事件の周辺(上)
(2009年5月20日付)

■人気殺到:市場価格大きく影響

 県挙げて改良を積み重ねてきた和牛の血統は、これまで莫大な利益を本県にもたらした。生涯で優秀な子牛を20万頭以上送り出した種雄牛「安平」の場合、全盛期には他の子牛と市場価格で1頭7万円以上の差があった。「それがどの程度の経済効果を生んだか。単純に140億円ではきかないのではないか」。県家畜改良事業団(高鍋町)の川田洋一常務は強調する。
(略)
 県内の雌牛10万4千頭に対し、県家畜改良事業団がすべて選抜、管理する種雄牛の数はわずか62頭スーパーエリート牛の中でも実際に精液を供給しているのは31頭特に「福之国」「勝平正」「忠富士」、新鋭として期待される「美穂国」の4頭の子は肉の質・量などが優れ、人気が高い
 今回の競りで、福之国の子(去勢)を50万円の高値で売却した繁殖農家杉尾立吉さん(60)=川南町川南=は「できれば忠富士、福之国を付けたい。市場価格は5万―10万円は違う」と胸の内を明かす。
   ■    ■
 繁殖農家は、できるだけ高値の付く子牛をつくろうと人気の精液を望む。しかし、必ずしも希望者全員に行き渡るわけではない。川田常務が「種雄牛は地域の協力抜きには成り立たない。若干の優先権はある」と説明するように、種雄牛の出身地域が精液ストロー供給量の3割を優先使用するルールも存在する。
 数年前まで絶大な支持を集めた「安平」や「福之国」「忠富士」「美穂国」など優良血統は県央部に集中するため、「地域の改良に差が開くばかり」と不満を漏らす農家もいるが、現在のところ、このルールが変わる予定はない。
 県畜産課によると、2008年度の県内7市場の雄雌平均は39万円で、前年度より総じて2割ほど低下。「優良血統の子牛が多いほど、県内外のバイヤーが集まりやすく高い価格帯で競り落とされる」(同課)現状で、市場間では最大9万円近い価格差も生まれている。
(以下略)

この記事以降、種牛の数が変わり、今回は
 スーパー種牛 6頭(西都市に移動。うち「忠富士」は感染によりすでに殺処分)
 種牛 49頭(殺処分の予定だったが、人手不足で他の農家の殺処分を優先したためまだ殺されていない)
と、
 現在54頭が残っている
状況である。

疫学的には、
 54頭全てが殺処分対象
になる。結果的に
 貴重な種牛を分散管理しなかった県の危機管理の問題
ということになるのだが、県としては諦めきれない状況だ。
宮崎日日新聞より。


助命へ「何でもする」 種雄牛救済要請

2010年05月23日

 農家の希望を奪わないで―。東国原知事は22日、殺処分対象となっている種雄牛49頭の「助命」を国に掛け合う考えを示した。
 49頭から隔離し、最後の希望となっていた主力種雄牛6頭のうち1頭に感染疑いが確認され、和牛ブランド崩壊の危機に立たされた本県。農家らはすがるような思いで国の反応を待つ。長い年月とたゆまぬ努力によってつくられた「種」を守るため、「署名、嘆願書、直談判。何でもする」という声も出始めた。
 種雄牛の感染疑いが確認された22日未明、会見を開いた県農政水産部幹部は「40年にわたって築いたブランドが崩れていくことを申し訳なく思う」と話し、憔悴(しょうすい)した表情を見せた。それだけ、6頭の中に感染疑いが出たことのショックは大きかった。
 中でも、感染疑いとなった「忠富士」は、人工授精用の精液ストローの供給本数が最多。市場評価も高く、影響は県内にとどまらない。
 本県産子牛が約4割を占める松阪牛。約500頭を飼育する三重県多気町の瀬古清史さん(61)は「購入する子牛の約9割が宮崎県産で、半数近くが忠富士の子。肉質、肉量ともにすばらしかった。経営にも大きく影響する」と動揺を隠せない。
 残る主力5頭に感染が広がれば、主力候補の49頭が殺処分対象となっている本県の和牛ブランドはゼロからの再出発を強いられる。
 49頭には本県が生んだ伝説的な名種雄牛「安平」の後継として期待される「安秀勝」など多様な特性を秘めたホープが多く含まれており、ある人工授精師は「特例が認められれば、多様な血統が残り未来が開ける」と、助命する意味の大きさを口にする。
 宮崎市田野町の和牛繁殖農家曽我政範さん(50)は「49頭は将来、6頭に匹敵する可能性を秘めている。ブランド維持の最後の希望。署名、嘆願書。大臣や副大臣に会えるなら直談判でもいい。この気持ちが伝わるなら何でもする」と声を震わせる。
 ワクチン接種、全頭殺処分の対象となった都農町川北の和牛繁殖農家、黒木伸市さん(53)は「苦渋の思いでワクチンを受け入れざるを得ない。再開には宮崎の優秀な種雄牛がどうしても必要だ。これ以上、希望を奪わないでほしい」と訴えた。

牛太郎さんの仰るように
 全国に流行が蔓延することをくい止めるために、疫学的に殺処分を粛々と行う
のか、それとも、宮崎県の考えるように
 宮崎の肉牛生産、ひいては全国の畜産と関連する産業・経済を守るために疫学的には問題がある「超法規的措置」によって種牛を救う
のか。

おそらく、県側は
 「忠富士」と一緒に搬送された残り5頭のスーパー種牛
については
 半分諦めている
だろうと思う。口蹄疫は牛には感染しにくいとは言われるものの、60時間かけて移動し、壁を隔てているとはいえ、同じ牛舎で飼育されていたわけで、これからの経過観察で、陽性が確認されれば、殺処分されるだろう。ただ、
 肉牛生産農家の希望の光を失わせない
ため、すぐには手を下せないでいる。

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コメント

殺処分は逃れられないとして、なりふり構わずって手段なら体細胞クローン技術とか使えたらさぞかし……などと思うわけで。

投稿: ムニャ | 2010-05-24 00:43

こと防疫に関しては
温情は敵です。

投稿: nyamaju | 2010-05-24 13:22

希望がなくなったら、宮崎の畜産は終わってしまいます。
その希望がスーパー種牛なんだと訴えているのに... 

現状は埋める場所がなかったり 国の補償も現金ですぐには出ないのだから
せめてスーパー種牛以外の処分対象を全て埋めるまでは
希望を現実になるよう本気で対策たててほしい。光りを見失わせないでほしい。

投稿: 宮崎県民 | 2010-05-24 15:19

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