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2010-07-24

小澤賢二さんの発表「清華簡『尚書』考」@7/19京都の超簡単なまとめ

というわけで、極めて簡単なまとめ。

清華簡というのは
 香港の骨董屋から北京・清華大学OBが購入して母校に寄贈した、秦始皇による焚書坑儒以前の経書を含む、戦国竹簡群
という触れ込みになっている。
秦始皇は、
 挾書の律
によって、
 一般の人々(博士を除く)が思想書を個人的に所持することを禁じ、それらの書物を役所で焼いた
というのが
 焚書
である。この律に従わないと
 族誅(三族を夷(たいら)ぐ)
というわけで、一族皆殺しになる。秦の法律の運用が過酷なのは周知の通りである。しょうがないから秦の時代、儒学等の思想研究は一時期停止した。もっとも、
 例外規定
があって、それは
 所不去者、醫藥卜筮種樹之書(去らざる所の者は、醫藥卜筮種樹の書)
であり、
 医学・薬学関係、占い関係、農芸関係の実践的科学技術書は焚書の対象外
となっていた。焚書というと何でもかんでも焼いてしまったような印象があるけど、そうではない。
ま、
 秦代の書物は竹簡や木牘や帛書だから、今の紙の書籍と違って、よく燃えただろうな
って話は、この研究会の帰りの近鉄の中で、大形徹さんが言っておられた。

で、清華簡の『尚書』だけど、いずれも
・簡の長さが二尺寸
・本来、儒家の経書であれば簡の長さは二尺四寸の筈
なので
・簡の長さから言って経書である『尚書』簡とは認めがたい
というのが、小澤さんの基本的スタンス。
では、『尚書』とされる清華簡の内
・そうすると、現在「金滕」とされている篇は『逸周書』に包含されていた篇が、後に誤って伏生本『尚書』に竄入したものと考えられる
・清華簡『尚書』とされる「尹至」「尹誥」「説明(えつめい)」は『国語』楚語上
というのが小澤さんの結論である。

で、
・清華簡の他の『尚書』簡とされる「康誥」「顧命」「君奭」「立政」などの諸篇は未だ公表されておらず、尺寸が二尺寸とのことでありこれも儒家の経書簡とは認めがたい
・今後公刊される清華簡『尚書』の内容が伝世本『尚書』と大きな差異がなければ、清華簡の「康誥」「顧命」「君奭」「立政」は贋造簡と見なさざるを得ず、清華簡全体へ不審の念が及ぶことになる
という話。まあ
・二尺寸の「経書」
って言われると、ちょっと変なのは確か。
小澤さんは一応
・清華簡『尚書』は真正なもの
として、先の立論をしているので、もし、これから公刊される筈の清華簡『尚書』が上述の懸念を払拭できないものだったら、これまた大変な話になるよね。

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