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2010-09-07

医療崩壊 医学の進歩が生んだ怪物「多剤耐性菌」 帝京大学病院院内感染の「犯人捜し」は更なる医療崩壊を招く (その3)医療政策の貧困 感染症対策に国が出す医療費のしみったれ振り

今回のような
 大規模な院内感染
が起きそうな場合、果たして、その対策に国はいくら支出しているのか。
この点について、K104先生が詳細な分析をしてくださった。K104先生、ありがとうございます。
その分析を再掲する。


病院が感染症対策チームを設置・維持するための費用は、医療安全対策加算の中の感染防止対策加算が該当します。
詳細は割愛しますが、施設基準や人員配置などの基準を満たしていれば算定できる(入院患者1名に対し1回、100点=1000円)もので、人員は専任(兼任可)の常勤医師・看護師・臨床薬剤師・臨床検査技師各1名で、そのうちの医師または看護師1名が専従(兼任不可)となっています。つまり、どのような規模の病院でも「感染対策を主な業務とする職員は1名いればいいですよ」という事です。残りの専任スタッフ(=普通は兼任)は他の業務を主に行いながら肩書とともに(給与に全く反映されない)余計な業務が増えているだけです。
実際にどれくらいの金額になるか概算してみました。
1154床、病床稼働率79.2%、平均在院日数19日、人件費比率50%で計算してみます。
1154×0.792×30÷19×0.5×1000=721554円(1ヶ月あたり)
大ざっぱに言って、帝京大学附属病院クラスの病院でも専従医師は1名がギリギリ(看護師なら2名)。それ以上専従スタッフをそろえるなら病院の自腹でということですね。
500床程度の病院になると、専従医師を1名置くのもキツイんじゃないでしょうか?

国が決めた医療費なんて、こんなもんです。

なるほど。
 帝京大学病院クラスでもせいぜい専属医師1名もしくは専属の看護師2名を置くのがやっと
ということですね。これで
 1200床近い病院の感染症対策をまかなえ
というのが
 国の方針
である。当然ながら
 帝京大学病院より小規模の500床程度の病院では、専従医師1人を置くのも難しい
というK104先生のご指摘通りだ。それとも
 同時多発ゲリラをモグラ叩きするのと同じ「院内感染対策」

 無給でボランティアでやれ
というのか、厚労省は。感染症対策の困難さは、
 去年から今年にかけての新型インフルエンザ流行
で、日本中の人々が経験したところだけど、
 免疫力の落ちている重症患者が対象の院内感染の対策
となると、更に困難を増す。
厚労省の
 院内感染の実情を無視した、医療政策の貧困
が、
 院内感染を抑えられない
のは明らかだ。それとも
 そうでなくても削られている医療費の中から、「自腹」で「自助努力」で「感染症対策をやれ」
というのかな。それこそ
 B29を竹槍で落とせ
と言ってるのと同じ、しかも
 多剤耐性菌の陰湿さはB29の威力どころではない
のである。

続き。(19:55)
oldDr先生から、貴重なコメントを頂いたので、再掲する。oldDr先生、ありがとうございます。


感染防止加算のことを書かれています。これに関する意見です。
感染防止加算の要件を満たして実際に取得するのは結構大変です。
専従とは、主たる業務を行い、その他の業務(この加算のためなら感染対策以外のこと)をほとんど行ってはいけない、という意味です。ほとんど、の意味を厚生局に尋ねたところ、100%近くの意味と言われました。
つまり、医師ならば、外来診療とか検査をすることもできません。看護師も、同じです。

専任は、50%以上は、その業務を行うができます。それならばほかの業務もある程度はできるでしょうが、そういう人を出している部署は実働する人が減ります

感染防止加算をとるためには、医師か看護師かどちらかを最低1名は専従にする必要があります。

赤字経営の病院が、ただでさえ少ない医師、看護師を専従にすることはありえません。医師は外来や病棟や検査や手術を行い、看護師も病棟や外来で勤務(7対1とか10対1のため)したほうが、よほど収益になります。

厚労省は、次の診療報酬改定では、この感染防止加算を、行っているのが当たり前、行っていなければ減算にしてくる可能性があります。

感染対策委員会も、指導では毎月1回実施する必要があります。真剣にやると1時間はかかります。ほかの委員会もあります

帝京はスケープゴートにされた(なった)ような印象がありますが、中小病院は、この感染対策委員会やら加算の話がおかしな方向に行くことを心配しています。

安心して医療を行うことができる環境を作ってほしいです。

oldDr先生のご指摘のように
 厚労省が次の診療報酬改定で更に制度を改悪する危険性
は高いと思われる。
 

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コメント

感染防止加算のことを書かれています。これに関する意見です。
感染防止加算の要件を満たして実際に取得するのは結構大変です。
専従とは、主たる業務を行い、その他の業務(この加算のためなら感染対策以外のこと)をほとんど行ってはいけない、という意味です。ほとんど、の意味を厚生局に尋ねたところ、100%近くの意味と言われました。
つまり、医師ならば、外来診療とか検査をすることもできません。看護師も、同じです。

専任は、50%以上は、その業務を行うができます。それならばほかの業務もある程度はできるでしょうが、そういう人を出している部署は実働する人が減ります。

感染防止加算をとるためには、医師か看護師かどちらかを最低1名は専従にする必要があります。

赤字経営の病院が、ただでさえ少ない医師、看護師を専従にすることはありえません。医師は外来や病棟や検査や手術を行い、看護師も病棟や外来で勤務(7対1とか10対1のため)したほうが、よほど収益になります。

厚労省は、次の診療報酬改定では、この感染防止加算を、行っているのが当たり前、行っていなければ減算にしてくる可能性があります。

感染対策委員会も、指導では毎月1回実施する必要があります。真剣にやると1時間はかかります。ほかの委員会もあります。

帝京はスケープゴートにされた(なった)ような印象がありますが、中小病院は、この感染対策委員会やら加算の話がおかしな方向に行くことを心配しています。

安心して医療を行うことができる環境を作ってほしいです。

投稿: oldDr | 2010-09-07 19:48

巨大な権力を持ったバカを納得させるためには他には方法がないか。

よ~し、バカンスだ。
感染制御の観点から見ても、関与者は少ないほうが良いので、
仕事の無い人間が病院に来てもデメリットしかないしな(棒)

都の救急体制が崩壊するかもしれんが、まあ、しかたない。

投稿: 匿名希望 | 2010-09-08 10:42

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