本日の衝撃の一言「『文選』という本の中にぃ」@学会
何が吃驚したって、某有名大学の大学院生が
『文選』という本の中にぃ
という聴衆をナメ切った口調で、うれしそうに、しかも『文選』でもよく引用される至極有名な個所を出典として紹介した時ほど度肝を抜かれたことはなかった。
すげーな。院生が
わたしが一番知ってるんですよモード
だもん。
同様の発言を次もやってくれ。
『論語』という本の中にぃ
とか
『詩経』という本の中にぃ
とか
『史記』という本の中にぃ
とか
『日本書紀』という本の中にぃ
とか
『万葉集』という本の中にぃ
とか。
仲間内で研究発表してるわけじゃない。
全国学会でこういう「言葉遣い」って
聞きに来ている人たちをバカにしている
ってことなんだけど、気がついてないようだった。
ちなみにその手の話では
この出典は知らないと恥ずかしい個所
であり、
わたしが見つけましたモード
じゃないだろ、という出典である。てか『文選』で威張られても、オレも困る。
しかし、日本人の書いた先行論文とか海外の論文あんまり読んでないっぽいよな。『文選』の基本的な注も、たぶん読んでない。てか、注を読んでたら、少なくとも
『文選』という本の中にぃ
とは言わないだろう。
ともかくも、先人の積み上げた知識の共有が出来てないみたいなんだもん。都市論の話なら、最近10年だけでも、日本でも中国でもかなりの集積があるんだが、それを知らないか、無視してるから
『文選』という本の中にぃ
とか言えちゃうんだろうな。仲間がたくさん聞きに来てたみたいなんだけど、発表の前に、誰も教えてあげなかったのかね。9月の怪談だな。
まあ発表者は一度西安の陽陵に行ってみるといいよ。(行ったことがあるなら頭を抱えるけど)
ちなみに、もし、同様の発言をゼミで発表担当者がやったら、中国学プロパーおよび国史・国文の学部学生レベルで、精神的にタコ殴り状態になるだろう。まあ、まず指導教員が
キミ、今〜という文献、って言ったけど、それどういう意味?
と教育的指導を行う。一般的に
〜という文献
と発言する場合は
その文献名をほとんどの人間が知らない、珍しい文献を紹介する場合
であり、その場合は、文献の性格や成立過程その他について一言説明を要する。
高校の古文で『枕草子』に出てくるくらい、有名な文献名を
〜という
なんて言い方をする発言者の常識の方を疑うだろう。てか、そういう
発言の作法
って、
学部で身につけておく常識
じゃないのか。
不思議なことがあるものだ。
おまけ。『枕草子』一九七段。
文は
文集。文選。博士の申文。
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