酒鬼で書痴
北白川の人文研の中庭にある井戸からは
お化けが出る
という冗談があって、
右手に酒瓶、左手に書物を持って出てくる
と言われている。
酒鬼(呑兵衛)で書痴(本の虫)
というわけだ。先師尾崎雄二郎先生が所長の頃は
尾崎先生がその出で立ちで出てくる
とか、悪い冗談を言い合っていた。
で、酒鬼(というほど飲まないけど)で書痴のわたしもあちこちに調査に行くのだけど、その内
蛇の道は蛇
という塩梅になっていく。
書痴というのは、世界中のどの図書館にも棲息していて、主のような存在の司書の方だったりするのだが、書痴は出世よりは書物の方が好きなので、やや不遇であったりする。
中国現存最古の図書目録、『漢書』藝文志の元になった『別録』を編んだ劉向は三十年間秘書(宮中の図書)の整理に当たっていた
という
堂堂たる書痴不遇列傳
が中国にはあるから、今の世に同じことがあっても、驚きはしない。
それはそれとして、
書痴は書痴を見抜く
ようで、どこの図書館でも割に親切にして貰っている。
で、今度また図書絡みでいろいろ手順を踏まねばならない事案があり、斯界の泰斗にご相談したところ、
旧知の書誌学者
と再び連絡を取ることになった。
いやあ、お久しぶりでした。
大体、そのような書物の蔵されているところにやってくるメンバーは決まっていて、好みもそれぞれよくわかり合っている。というかそういう
書物に対する嗜好を理解出来る同志
というのが書痴の一群であり、何か事あれば、お互いに便宜を図り合うのが通例になっている。わたしなどはあまり貢献できず、お世話になるばかりで甚だ申し訳ない。
その内、京都で一杯やりましょう。
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