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2010-11-21

産科医療崩壊 朝日新聞神戸総局が世界に発信するweb版に無介助自宅分娩を絶賛する記事を掲載する無謀 非医療者が自分の乏しい経験を一般化する危険になぜ気づかない

すでにいろんなところで話題沸騰なのだが、朝日兵庫版に11/17付で掲載された次の記事には度肝を抜かれた。個人名は伏せておく。突っ込みどころは赤で。「エコな生活」キーワード等は青で。


医師・助産師頼らず自宅出産 朝来の○○さん夫婦
2010年11月17日

 朝来市和田山町の山あいにある朝日地区で、農業や養蜂などを営みながら自給自足の生活を実践している○○○○さん(29)、○○さん(30)夫婦に10月、三男○○ちゃんが生まれた。妊娠の確認以外は医師にも助産師にも頼らず、定期的な妊婦検診も一度も受けなかった完全な自宅出産。17日に産後1カ月を迎えるが、母子ともに健康だ。
 ○○ちゃんの誕生は10月17日午後11時ごろ。同6時ごろから陣痛が始まり、本格的に産む体勢を取り始めて3時間ほどで生まれた。「産むのは3人でもういいわ、と思うほど痛みはあったけれど、スムーズでした」と○○さん。
 長男○○君(6)を助産院で、次男○○君(3)を病院で産み、毎月の妊婦検診などで自分の思いとは違う出産になった経験から、「私がリラックスできたら赤ん坊にもストレスのないお産になる。体重を増やさないなど妊娠中の自己管理さえできれば家族だけで産める」と言い切る
 ○○家の田畑は農薬や化学肥料を使わず、耕しもしない自然農法。煮炊き、風呂、暖房の燃料はまき、食事は玄米に菜食が中心だ。できるだけ自然の恵みをそのまま生かす生活だ。○○さんは出産直前まで田畑や家の周りの草刈り、まき割りを無理のない範囲で普段通りこなした。「山で百姓をしていると、どんどん不自然なことはしたくなくなる。自然の力で暮らしてきたからこそ自宅出産をやり通す力が私にあった」と話す。
 夫の○○さんは「適切な出産方法を選ばずに最悪の結果になれば罪に問われるのかなと思ったこともあるが、出産に向けてきちんと準備をしているので大丈夫と思えるようになった。信じてあげることが大事です」と言い、家族の理解と協力の大切さを強調する。
 母子保健を担当する朝来市の担当者は、妊娠中の適切な健康管理や異常分娩(ぶんべん)のリスクに備えるためにも、産科での受診や妊婦検診は欠かせないとしている。○○さん夫婦にも受診を勧めていたが、自宅出産の意思が固いことから様子を見守っていたという。
 ○○さんも「本当に家で産みたいと望み、自己管理のできる人でないと危険です」と、安易な気持ちでの自宅出産を戒める。一方で、「家で産みたい人が家で産むことができ、何かあったらサポートできるような環境があったらいいな」とも願っている。

すでに各方面で突っ込まれてるので、軽く。
 本当に家で産みたいと望み、自己管理のできる人でないと危険です

 医師でも助産師でも看護師でもない、全くの素人が医学的助言をする
記事って、どうなってるわけ?
 医師より、助産師より、看護師より、「たった3人生んだだけ」の母親の経験が勝っている
というのが
 朝日の考え
なんだな。
本当に非医療者が
 自己管理が出来れば安全
なのか? 突然の出血等、お産には
 現代の医療を以てしても、命に関わる事態は250回に1回起きている
のである。そして
 無介助分娩では、周囲に誰も医療者はいないし、医療設備もない
のだ。場所は
 和田山の山間部
で、なにか起きたらもう誰も助けることはできないのだ。
医療者でもない人間が、わずかな自己の経験を一般論に拡大するだけでも言語道断なのだが、それを記事にしたのが
 天下の朝日
なのだ。

以前
 大地を守る会
の会員で、毎月だったか
 槌田兄弟の「玄米正食」系説教つき会報を読んだ経験
からすると、もう30年以上前の
 自然農法こそ正義・自宅分娩(ただし助産師さんには来て貰う)こそ「母としての喜び」
という論法から、
 朝日の記者がまったく抜け出ていない
ことが分かる。「大地を守る会」は、学生寮で団体加入していたのだが、理由は
 あまりにも当時の京都の牛乳と卵がまずかったから
だった。その当時は入手が難しかった木次乳業のパスチャライズ牛乳を配達してくれたのである。
つかこの手の
 エコな生活は正義
という人たちが、他人に迷惑を掛けず、自分たちだけで好きにやって頂くのは構わないのだが
 マスコミが荷担して「絶賛」
するのは、アホとしかいいようがない。
 わたしも大丈夫と勘違いして、無介助分娩に臨んだ結果、医療被害が出る恐れは十分
である。その時
 朝日は責任を取れる
のか?

しかも、この記事の卑怯なところは
 署名記事ではない
ところである。どう考えても
 昨今批判されている「無介助自宅分娩」自画自賛派に荷担したのは朝日新聞
である。自分は名を名乗らず、あちこちに予防線を張って
 あくまで自己責任で
と、朝日は責任回避をしているとしか思えない。この「無介助自宅分娩」ご一家は
 全員、写真と名前入り
だっていうのにさ。
 webを通して、世界中に名前も顔もばらまかれている
わけである。

しかも、twitter上の朝日の別アカウントasahi_apitalによると
 そもそも、兵庫県全体で読めた記事ではなく、更に小さい地域版、但馬版の記事
だったそうだ。「ニセ科学批判」の第一人者、阪大の菊池誠教授の批判を見て、asahi_apitalに批判を寄せたJupiterさんのtweetに次のように答えていた。


https://twitter.com/asahi_apital/status/5428468766478336

(続き)話は変わりますが、この記事は紙面では「但馬版」という地域面に載ったもので、同じ兵庫県内でも、神戸や阪神間、姫路などでは載っていません。それぞれの地域で、身近なニュースを掲載し、地域面を作りかえているわけです。(続く)

従って、
 神戸総局がわざわざ世界に「日本の無介助自宅分娩」を世界に発信
したわけだ。
で、この記事を書いた朝日の記者は
 河瀬直美△
な、
 エコ大好き、わたしもエコな活動してます、アウトドア大好き
とかいう
 わかりやすい記者
なのかもね。
河瀬直美監督は当時関西にいたNHK職員(たしかBKだったか)と再婚したのだが、マスコミの世間は激しく狭いので、案外
 朝日神戸総局でこの記事のweb発信にOKを出した人物と河瀬直美監督夫(NHK職員)は知り合い
かもしれん。もちろん
 河瀬直美監督と直接の知り合い
って方がありそうだけどね。河瀬直美監督といえば、
 『玄牝』で世の心ある産婦人科・小児科医から顰蹙を買っている
わけだが、マスコミ人は
 流行に乗りたがり、それに関する言説をまき散らして、撤収は迅速で、何かあっても責任は取らない
人々で、当然
 文化人河瀬直美監督には「乗りたい」
わけなのである。ま〜、この
 但馬版の記事を書いた記者
にも
 河瀬直美監督にこの記事をホメてもらいたい
とかといった
 下心があった
のではないかと思いますね。但馬版担当ということは、まだ朝日社内では
 主流じゃない
わけで、
 エコ派記者としてのし上がるきっかけ
くらいに考えていたかもね。

twitter上では、朝日の医療関係を扱うasahi_apital宛に批判が寄せられていて、中の人は、ちゃんと神戸総局に取り次いでいるようだ。もっとも
 こうした良心的活動
が、朝日で許されるかどうか謎なので、ひょっとしたらその内
 asahi_apitalの中の人が交代
しちゃうかも知れないと心配ではある。
https://twitter.com/asahi_apital

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コメント

よそでも申し上げました。

>自己管理のできる人でないと危険です」と、安易な気持ちでの自宅出産を戒める。

これはですね。人間は皆自己管理できていると思えばこそ 冬山登山に向かうし、練習不足のはずでも素人マラソンに参加して事故を起こすのです。自然分娩と病院での分娩の結果を比較しなければ 単なる自然分娩のヨイショ記事でしかありません。

投稿: Bugsy | 2010-11-21 18:53

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