陶御風主編『筆記雑著医事別録』人民衛生出版社 2006
筆記小説等から医学関連の記事を収集・整理した労作が
陶御風主編『筆記雑著医事別録』
である。2006年版は第二版。
読み始めると止まらない、いわゆる
雑学の宝庫
なのだが、初版は方薬中序を見ると、1985年だから、
電子化テクストに依らない、手作業での条文収集
だったことがわかる。前著でも
1925条
もあったのを、第二版は、更に
2237条
に増広し、誤りを正している。
中国人のこの手の
丹念に条文を集める手法
というのは、大変長い伝統を持つのだが、その例に漏れない秀逸な書物だ。
雑学だけでなく、歴史的知識の宝庫でもあるが、史料の元ネタとして扱うつもりならば、出典の性格と成立年代を確認してから、内容の是非を判断する必要がある。
初版に付された方薬中序は、格調高い文言で書かれていて、瞠目した。
もっとも、簡体字横組なので、簡体字が読めない人には楽しめないところが難点。繁体字縦組なら、日本人でも読める人が増えるだろうけど。
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