国会図書館本『寶素堂藏書目録』の字が凄い件
『国書総目録』によると、小島寶素家の蔵書目録である
寶素堂藏書目録は三個所に収蔵
されている。ところで
藤浪剛一旧蔵の乾々斎本の大半(一部は早稲田大へ)は杏雨書屋に入った
ので、
杏雨書屋に三本(旧杏二本・旧乾一本)
で、あとは
国会図書館本
である。で、この
国会図書館本が曲者
である。
題簽と書き入れと識語は同じ手かも知れない
んだけど
本文は全く違う筆跡
で書かれている。てか
一生懸命書いているのは分かるんだけど、明らかにヘタな字
なのだ。なんてか
筆になれてない人の字
というと分かると思うけど、これ安政年間の写本なのよね。
江戸医学館の人たちの筆跡
で
甚だしい悪筆
というのは、森枳園の稿本が
右肩上がりの悪筆(丁寧に書いてても、相当の右肩上がりの文字を書く)
なのを除けば、みんな校勘するときに
読めない文字で書くと、他のヒト(校勘したものは自分だけでなく他者の目にも触れる可能性があるから、その点は考慮している筈)の迷惑になる
ので、きっちり細字できりきり書いてるんだけど
その基準から著しく外れている
のである。まあ、
子どもが書いた字
と言ってもいいくらいの下手さ加減。
一体誰の字なんだ?
間違いなく
森約之の文字
ではない。早稲田がオンラインで公表している森約之の識語入りの書物を片っ端から見たけど、
題簽と書き入れ、最後の跋文は森約之かも知れない
けど、
目録本文は、森約之とは違う
と思うなあ。森約之の写した鈔本を数たくさん見てる訳じゃないけど、人間
基本的な字の形
ってそうそう変わらないとすれば、たぶん違う。
小島寶素の字でもないことも、早稲田が公表している画像で確認したので、あとは
小島春沂か小島瞻淇の字
を確認しないといけない。この二人の文字は、早稲田が公開している画像の中には含まれてないのだ。
しかし、いずれも
考証で名のある人物
なので、こんな
軸の定まらない、のたくった字を書くのか?
というのが疑問。
今、別の資料に小島春沂の書いた文字があったので、見比べたが、この字でもない。
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コメント
うちは夫が著しい悪筆なのです。
で、なんとなく同情。。。
「寶素堂藏書目録」は写本で稼げるようなものではなさそう(名前から)なので、個人的に仕事でやった目録作りなんでしょうか?主人には怒られたでしょうね~。。。
投稿: 僻地の産科医 | 2011-01-19 19:57