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2011-03-21

東北地方太平洋沖地震 石巻で祖母と孫の少年が9日ぶりに救出された際、NHK・日テレ取材クルーが救急救命活動を妨害→肉体的精神的ケアが必要な少年の病室にNHK・日テレクルーが侵入してインタビューの暴挙

地震から10日目の昨日、家の中に残っていた食料と水で耐え、救助を待っていた、80歳祖母と16歳の孫の少年が、奇蹟的に発見された。
NHKより。


倒壊住宅 9日ぶりに2人救助
3月20日 20時34分

津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市で、倒壊した住宅に閉じ込められていた80歳の女性と孫の16歳の少年が、震災から9日ぶりに救助されました。2人は冷蔵庫にあったヨーグルトなどを食べてしのいでいたということで、2人とも意識ははっきりしていて、病院で手当てを受けています。
20日午後4時ごろ、宮城県石巻市門脇町で警察官が行方不明者の捜索活動中に、倒壊した住宅から助けを求める声がしました。警察官が確認したところ、屋根の上に少年がいて、「倒れた家の中に動けなくなったうちのばあちゃんがいます。助けてください」と話し、がれきの中に取り残されている高齢の女性が見つかりました。警察は、消防のレスキュー隊とともに救助活動を行い、震災から9日ぶりに2人を救助しました。2人は警察のヘリコプターで石巻市にある石巻赤十字病院に運ばれて手当てを受けています。救助されたのは、石巻市の阿部寿美さん(80)と孫の阿部任さん(16)です。警察によりますと、任さんは「2人とも震災直後から、がれきの下の部屋の中に閉じ込められていた。冷蔵庫の中に食料があったので、それを食べていた。きょうになってすき間ができたので、自分だけ外に出ることができて助けを求めた」と話しているということです。発見されたとき、任さんは屋根の上でタオルを何枚もかぶった状態で震えていて、救助隊が持っていた菓子とカイロを渡し、上着を掛けると、ほっとした表情で「ありがとうございます」と話したということです。また、寿美さんは倒れたクローゼットの上にふとんにくるまっていて、寿美さんは「よかった」と話したということです。2人が救助された住宅は本来木造2階建てでしたが、1階部分がつぶれ、平屋建てのようになっていたということです。石巻赤十字病院の医師によりますと、2人は地震が起きた当時、台所にいて閉じ込められ、9日間、冷蔵庫の中にあった飲むヨーグルトと牛乳が2本、それに水などを飲んでしのいでいたということです。孫の任さんが母親に電話をして状況を伝えていましたが、母親との連絡が途絶えてしまったため、その後も救助が来なかったということです。2人の容体は、任さんは左足の足首の感覚がほとんどないと話しているということです。寿美さんはしっかり会話をすることができ、けがもないということですが、毛布で体を温めるなどして治療しているということです。2人については、震災の2日後に親族から捜索願いが警察に出されていました。2人が救助された現場は石巻湾に注ぐ川の近くで、津波で住宅が押し流されるなど大きな被害が出ていました。
(以下略)

さて、このニュースで、
 NHKのクルーは、低体温症になっている危険性のある、救助された80歳祖母に、救急隊員より先にマイクを向ける
という、
 救急救命活動への妨害活動

 公然と行っている
のである。録画できなくて残念だったのだが、まずは
 救出されて搬送されてくるルートに陣取ってカメラを回し、救急隊員等に手で制止されるシーン(後補 今朝4時台に放映された映像から 3/21)
Ts5
が写っている。
搬送を追っかけるシーンはこちら。
Hs1
この前に、何度か手で追っ払われるシーンが入っている。
救出された80歳祖母に接近するカメラ。
Hs2
このシーンの前後に、NHKの取材記者が80歳祖母にマイクを向けて、猫なで声で、勝手に質問を始めた。
すぐに、救急隊員に遮られたが、(後補 今朝4時台に放映された映像から 3/21)
Ts3
救急隊員に「ちょっと離れて下さいね」と手で遮られるシーン

一言、被災者の声を引き出しているので、たぶん、この記者とNHKニュースの編責(昨日の夜担当のEP)にしてみると、報道的には成功、
 やった!
というシーンであるが
 間違いなく救急救命活動の妨害行為
である。

救急隊員が、救出された方にいくつか質問するのは
 意識状態をチェックするための医学的必要性
からである。今回は明らかに
 低体温症の恐れ
があった。だから、JCS(Japan Coma Scale)に従って、次のような意識状態の評価を行う。この場合は、見た目、意識がはっきりしているので、
 I 刺激しないでも覚醒している状態
であり、質問して、
1点:だいたい意識声明だが、今ひとつはっきりしない
2点:見当識障害(自分がなぜここにいるのか、ここはどこなのか、といった状況が理解されていない状態)がある
3点:自分の名前、生年月日が言えない
に該当するかどうかを、チェックしているのである。意識状態はJCSでは
 点数が高くなるほど悪い
のだ。ところが
 医療者でもないNHKの取材記者のしたこと
といえば
 医療者である救急隊員より先に、搬送されてきた高齢女性にインタビューをして、救命救急活動を邪魔する
という
 場合によっては、手遅れになりかねない「救急医療活動妨害」
なのである。後の時間のNHKニュースになればなるほど、このNHK記者のインタビュー部分は放映されず、カットされるようになっているのだが、こうした
 人命よりスクープ狙いのあざとい取材
を、今回も、NHK石巻取材クルーはやっている。そのくせ、
 9時からのNスペでは「津波被害で起きている低体温症」
についてやってるんだから
 ダブルスタンダード
以外の何者でもない。
 低体温症で亡くなる方がいる
という内容を流していて、これだよ。何のことはない、
 被災者には同情してみせるけど、心中は、自分が死ななければ、何をしてもよいと思っている
ということだ。

(追記 17:12)
日テレもヘリ搬送を待つ80歳祖母をかなりアップで撮っていた。
まったく、ロクでもない。
(追記おわり)

これはヘリが搬送先に着いたところ。
Hs4
ここでも、かなりカメラは接近している。

阪神淡路大震災で得た教訓は
 地震の場合、長時間経って救助された被災者は、見た目元気そうでも、油断は出来ない
ということだった。今回は
 間違いなく、長期間、寒さに震え、飢えを凌いでいた
わけで、
 救助された被災者が、どんなダメージを負っているかは、外見からだけでは分からない
状況だった。
NHK石巻取材クルーは、スクープ映像、スクープインタビューを取るため、
 人命よりも「NHK局内での手柄」を優先
したのである。

更にやりきれないのが
 搬送先の石巻赤十字病院をNスペが取材
していて
 低体温症で亡くなる方が多い
という内容を流していたことである。今回、
 津波地震の健康被害を全国にいち早く知らせよう
と、被災して、恐らく十分とは言えない医療資源をやりくりしつつ、NHKの取材に応じてくださった、石巻赤十字病院のスタッフの善意を踏みにじる報道だということを、わたしは決して忘れない。

続き。(13:47)
南島の管屋先生から、貴重なご教示を頂いたので、再掲する。


NHK、病室の中まで入り込んで救出された本人(お孫さん)へのインタビューを強行しやがりました。肉体的にも精神的にも充分なケア、休養が必要なのに。何で今辛い記憶をほじくるようなことをするんでしょうか。どうして病院も許可したんでしょうか。あまりにしつこくて早くNHKスタッフにお引き取り願いたかったのでしょうか。こんな輩が病院内をうろつくと邪魔でしょうがないしょうね。マスコミってのは同情するふりして「絵」が欲しいだけな鬼畜な連中の集まりだなとつくづく思います。

南島の管屋先生、どうもありがとうございます。
まったく
 たまたまNスペ取材で「石巻赤十字病院とは信頼関係があるから何をやってもOK」
と勘違いして、やりたい放題だな、NHK。
 元気にみえるようでも、あちこち傷ついている
というのは、カメラからでは分からない。いま必要なのは
 心理療法士でも医師でも看護師でもないマスコミの「とくダネインタビュー」
ではなくて、
 プロによる集中的ケア
である。
ま、被災地の病院の混乱に乗じて、好き勝手をやって、あとは放りっぱなしにするのが、
 マスコミの常套手段
だ。
 少年の純真を食い物にする
のは、さぞ楽しいことだろよ、NHK報道局。

続き。(15:10)
日テレも病室インタビューを放映した。
周囲でシャッター音が聞こえたので
 マスコミが一斉に病室に押しかけた
ようだ。インタビューを見たが
 津波の時どうでしたか
とか、
 PTSDを悪化させる質問を容赦なく浴びせていた
のだった。その割に
 震災の後にはPTSDになりやすいから心のケアを
とか言ってるよな、マスコミ。
 自分たちの取材が被災者のPTSDを酷くしている
という自覚はないのか?

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コメント

NHK、病室の中まで入り込んで救出された本人(お孫さん)へのインタビューを強行しやがりました。肉体的にも精神的にも充分なケア、休養が必要なのに。何で今辛い記憶をほじくるようなことをするんでしょうか。どうして病院も許可したんでしょうか。あまりにしつこくて早くNHKスタッフにお引き取り願いたかったのでしょうか。こんな輩が病院内をうろつくと邪魔でしょうがないしょうね。マスコミってのは同情するふりして「絵」が欲しいだけな鬼畜な連中の集まりだなとつくづく思います。

投稿: 南島の管屋 | 2011-03-21 13:38

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