福島第一第二原発事故 「原発は絶対に安全」で思い出すJAL123便の機内アナウンス
福島第一第二原発事故発生から、ずっと頭の中で響いているのは
JAL123便の機内アナウンス
である。墜落する飛行機の中で、JALのCAの方達は、つとめて冷静に、飛行機が安全に飛行していることをアナウンスしていた、という。もし、機内でパニックが起きたら、それこそ取り返しが付かない。経験したことのない未知の危機的状況下で、CAの方達は
自らの恐怖を乗り越え、乗客を落ち着かせて、適切に避難させるためのマニュアルを遵守
した。しかし、そのアナウンスをしていただろうCAの方を始め、殆どの方が亡くなられた。
原発は絶対安全。
絶対なんて言葉は、あり得ない。
中学で英語を習い始めてすぐにショックだったのは、日本では
原子力発電
といい、
核兵器
といって、
原子力=平和
核=戦争
と使い分けていたのに、英語では
原子力発電=nuclear electric
核兵器=nuclear weapon
で、どちらも
nuclear
だったことである。
何が「原子力の平和利用だ」
と思った。以来、原子力という言葉は信用していない。
原子力という「言い換え」
が
日本人の原発に対する正しい理解の妨げ
になっているのは、今回の事故が如実に示している。それは
当の東電自体の「危機感の薄さ」
にも現れている。
twitter上では、数日前、東電の下請けのヒトが
東電はきちんと原発労働者が線量を超えない管理をしている
と断言していた。ところが、今日の朝日の記事は、
『原発ジプシー』でかつて告発されていた危険な労働環境が今なお存在する
ことを示す。
東電、1号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず2011年3月26日12時49分
東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、3人が作業に入る6日前の18日、1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性があった」と認め、謝罪した。
東電福島事務所によると、6日前の18日、1号機のタービン建屋地下1階で作業した際に放射線量を測定、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)に迫る毎時200ミリシーベルトと高いことを確認していた。
一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。作業員には1号機の情報は伝わっていなかった。
3号機では前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、3人は前日の作業では線量が低かったこと、「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、水につかって作業をして、局所被曝した。18日のデータが事前に伝わっていれば、作業員らの思い込みを防げた可能性がある。
電福島事務所の小山広太副所長は「1号機の現場の状況の情報をしっかり各現場で作業している人たちに注意喚起していれば、今回の被曝は防げたと思っており、反省している」と謝罪した。
東電は建屋内に津波による海水が残っていると考えて排水を検討。その準備として水を分析するため、24日午前9時半に1号機で水を採取、分析した。東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、3号機と同様、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い、1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能が検出された。
含まれている放射性物質の種類は3号機とほぼ同じだった。セシウム137など燃料に含まれる物質が検出されており、原子炉内から漏れ出した可能性がある。
(以下略)
画像は3/24被曝事故発生直後の東電の会見を伝えるFNNのニュースより。
今回の3人の方の被曝では
被害者をブルーシートで覆い隠して搬送
という、実によくわからない措置が取られている。その上
被曝した方達の所属や氏名を東電が記者会見で明らかにしない
という呆れたことさえ起きた。3/25の毎日より。
福島第1原発:作業員被ばく 搬送の2人は関電工社員被ばくした3人の作業員について東電は企業名を明らかにしていないが、ベータ線による熱傷の疑いのある2人が、電気設備工事大手の関電工(東京都港区)の社員であることが分かった。
同社によると、被ばくしたのは原子力担当の30代と20代の男性社員で、通常は第2原発に勤務していた。前日の23日に別の社員が作業に当たったときには水はなかったため、長靴を履いていなかった。同社では約200人の社員が作業に参加しているという。【杉本修作】
毎日新聞 2011年3月25日 13時06分
そして、今回被曝した3人の方は
経験豊富な作業員
なのである。時事より。
「線量計故障と思い作業」=放射能、原子炉水の1万倍-現場未確認「大きな反省点」福島第1原発の3号機タービン建屋地下の水たまりで、東京電力の協力会社の作業員3人が大量の放射線を被ばくした事故について、東電は25日未明に会見し、作業員の一人が「作業中に全員の個人線量計のアラームが鳴ったが、故障したと思い込んでいた」などと話していることを明らかにした。事故前日の現場の放射線量が低かったことが背景にあるという。
水たまりの水には放射性のヨウ素やセシウム、コバルトなどが含まれ、合計の放射能は1立方センチ当たり約390万ベクレル。運転中の原子炉内の水の約1万倍で、損傷した燃料棒から放出された核分裂生成物の可能性がある。3号機のタービン建屋に隣接する原子炉建屋では14日に水素爆発が起きた。
3人のうち、放射線によるやけどの疑いで福島県立医大病院に搬送された30代の男性(線量計の被ばく線量180.07ミリシーベルト)と20代の男性(同179.37ミリシーベルト)は東電と直接契約している会社の社員で、放射線業務従事者としての経験は11年と4年。搬送されなかった30代の男性(同173.00ミリシーベルト)はこの会社の契約先の社員で、経験は14年。(2011/03/25-09:24)
昨日今日、原発での作業に従事した方達ではない。そういう方達が3人が3人とも
線量計が故障したと思い込んだ
などということがあり得るだろうか?
画像は上と同じく、3/24被曝事故発生直後の東電の会見を伝えたFNNのニュースより。
それとも
東電では、原発で働く作業員に「基本的な原子力施設内での注意事項」すら徹底してない
のか?
一番、納得しやすい結論は
たとえ線量計のアラームが鳴っても「無視して作業を続行」するような労働環境だった
ってことだ。
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コメント
たまに原発反対派が
「原発が本当に"絶対に安全"なら、東京に作ればいい。」
みたいなことを言いますが、 本当に「原発は絶対に安全です。」なんてことを
マスコミに対して、あるいは公的な場や公的な報告書などにおいて言った人が、
原発推進派(御用学者や政治家、電力会社など)の中にいたのでしょうか?
おっしゃるとおり、「絶対」なんてあり得ないので、
いかに原発推進派といえど、そんなバカなことを言うとは思えないのですが・・・
実は誰もそんなことは言っていないのに、
「いかにも推進派が言いそうな台詞」を
原発反対派が捏造した可能性もある、と私は疑っています。
どこかに、"絶対安全"発言の記録があるのなら教えていただきたいのですが・・・
投稿: 柴田進 | 2012-01-19 23:46