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2011-03-17

福島第一原発事故 東北電力女川原発では津波対策→想定外の津波だったが持ちこたえる

さて、一時期、交通が寸断されていた女川原発だが、トラブルはあったものの福島第一原発のような事態には至っていない。
NHKより。


女川原発2号機 排水作業終了
3月16日 23時48分

宮城県女川町の女川原子力発電所では、今回の震災で、2号機の地下が浸水しましたが、東北電力によりますと、16日に排水作業が終わったということです。
女川原子力発電所は、今月11日の震災の際、2号機の原子炉建屋の地下3階に大量の海水が入り、非常用のディーゼル発電機が起動しなくなりました。建屋の地下の海水は、およそ1900キロリットルで、16日までに、すべて排出したということです。東北電力は、浸水の原因は津波によるものとみて、さらに調査を続けています。女川原子力発電所は地震で自動停止し、1号機のタービン建屋の地下1階で火災が発生したほか、2号機と3号機の原子炉建屋で燃料プールの水が床にあふれたことも確認されています。

福島第一第二原発のように、津波の直撃を受けなかったのが幸いした。

三陸沖ではしばしば大津波が起きている。
そこで、女川原発では、津波に対する評価を行い、対策を立てていた。
平成19年(2007)に開かれた
 地震・津波に対する原子力防災と一般防災に関するIAEA/JNES/NIEDセミナー
では、東北電力の松本康男氏が
 女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策(pdf)
という発表を行っている。これが女川原発の津波評価について分かりやすいので資料をお借りする。
津波による大きな被害があった明治29年の三陸津波の際の錦絵がタイトルに。
Tnm1

女川原発の位置と規模。1984・1995・2002に建設された沸騰水型軽水炉3基を設置。(福島第一原発は1967〜1971の5基、第二原発は1975〜1980の4基が営業運転。)
Tnm2

女川原発安全評価のフロー図。これまでの地震を文献学的・考古学的・堆積学的観点で規模を推定、基準となる津波の規模を算定。津波の最高位・最低位から、津波によって原発の建物が被害を受けないか、また津波の最低位(引き波)時に取水口から水が確保できるかどうかを検討。(引き波による潮位低下で、取水できなくなると冷却系が働かなくなる)
Tnm3

文献調査による、津波規模の比較検討。1611年の慶長地震による津波がこれまでの最大。
Tnm4

数値シミュレーションによる、地上の建物と取水口の位置評価。
Tnm5

慶長地震津波の規模ならば、地上の建物にも被害が及ばず、取水口から水も確保できる。(実際は、慶長地震津波を越える規模で被害が出た)
Tnm6

津波に対する防災対策。
Tnm7

というわけで、慶長地震津波(平均潮位より9.1m高く、引き波は7.4m低くなる)と同程度の津波に対しては、女川原発は備えは十分だったのだが、今回の地震による津波は、その予想規模を越えたので、津波による被害が出た。
それでも、元々平均潮位より14.8m高い位置に原発の建物を設置していたため、福島第一原発で起きたような、致命的な打撃を受けることはなかった。

今後、想定外の巨大地震が起こす津波に、沿岸部に設置されている各原発はどのように備えるか。
今回の津波データに基づいた、再検討が早急に迫られている。

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コメント

震源地により近く、町は壊滅した女川で原発は初期のトラブルを処理して無事だったのに、福島はなぜ被害が出たのか疑問でしたが、よくわかりました.しかし、あの対応が後手後手になっているのはどうも巨大化した企業、経験のない民主党政権の指揮系統が混乱しているのも一因でしょうか?

投稿: 合原裕人 | 2011-03-20 21:59

福島第一原発の話ばかりで女川や福島第二原発の話が出てこないのが不思議でした。
たぶん、女川は津波対策あったから助かったんだと思って舞い下が、

>元々平均潮位より14.8m高い位置に原発の建物を設置していたため、福島第一原発で起きたような、致命的な打撃を受けることはなかった。

これが切り札でしたか。原発の安全性云々と大騒ぎですが、津波対策を加えれば福島のようなあんな状態にはならないのだから、その上で本来なら発電再開なのですが・・無理かな。

投稿: わがね | 2011-03-21 21:28

実際に原発を運転していた人が、専門知識を持たずマニュアル通りにしか操作できないオペレータ(単なるバイト)だったから、想定外の(マニュアルにない)事態に対応できなかったのではないでしょうか。

発電所の内部構造から原子核反応による発電の原理・しくみまでを物理学的にきっちりと完璧に理解している技術者が現場作業をしていれば、こんなに長引いていなかったと思います。

投稿: ばしくし | 2011-03-25 02:18

原子力行政の責任者は原子力安全委員会委員長の斑目春樹さん
原子力安全保安院の寺坂信昭院長です。この二人は、安全設計をしているから電源喪失など考えられないと言い続け、昨年5月にも国会で今回の事故を予想した質問に対して、傲慢な回答をしていた。二人はすぐにでも現地で陣頭指揮をとるべきではないでしょうか。多額の退職金で悠々自適は許しません。

投稿: 青山裕介 | 2011-03-29 22:49

日本のエネルギー政策はこれまで極端な原発中心でした。風力などの自然エネルギーは原発の免罪符としての位置づけでしかなく、産官学で「やった振り」政策を続けてきました。それが日本では自然エネルギーが伸びてこなかった最大の理由です。
このような状況が、今回の事故を契機に改善されることを切望します。

投稿: 盛高 裕生 | 2011-04-04 09:54

 2011.06.26 付の報道で女川原発建設において、当初は現在よりももっと低い位置での設計となっていたが、当時の責任担当者がより安全性を考慮し土壌を盛り上げさせたということを聞きました。
 これが大事故に至らなかった要因であることは言うまでもありませんが、その際その方は左遷されたそうです。
 理由は、建設費用が増加したことによるものらしいのですが、事実なのでしょうか?とても憤りを感じております。

投稿: 松田 | 2011-06-26 09:49

福島原発は東電、女川原発は東北電力。 このちがいでしょうか? 東北電力の女川原発を守ったとされる、確か平井さんという設計士でしたか、そういう防災感覚の強い人は東電にもいたに違いないと思います。しかしその声は東電ではもみけされ、東北電力では採用された・・・このちがいでしょうか? 私は昔から、東北の人は、東京や関西の人よりずっとまじめで謹直だと思っていました。 この地方文化の違いでしょうか?

投稿: 東電責任取れ | 2012-07-24 01:59

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