いろんな意味で間違っている→追記あり
携帯でYahoo!知恵袋に試験中の試験問題を投稿した予備校生なんだけど、
警察のリーク
にしても、なんだかな〜。NHKより。
予備校生 投稿の練習繰り返す
3月5日 11時57分大学入試の問題が試験中にインターネットの質問サイトに投稿された事件で、逮捕された予備校生は、「携帯電話の画面を見なくても、片手で素早くメールを打って問題が投稿できるよう、ふだんから練習を繰り返していた」と供述していることが、警察への取材で分かりました。警察は、カンニングをするために周到に準備をして試験に臨んだものとみて、調べを進めています。
この事件で、警察は5日午前、仙台市に住む19歳の男子予備校生の身柄を、偽計業務妨害の疑いで検察庁に送りました。予備校生は、先月行われた京都大学文学部の入学試験で、携帯電話を使ってインターネットの質問サイトに英語の問題を投稿し、大学の業務を妨害した疑いで、3日、逮捕されました。これまでの調べに対して、予備校生は、「携帯電話の画面を見なくても、片手で正確に素早くメールを打って問題が投稿できるよう、予備校の授業中など、ふだんから練習を繰り返していた」と供述していることが、警察への取材で分かりました。予備校生は「どうしても京都大学に合格したくて、最初から質問サイトを使ってカンニングをするつもりだった」とも供述しています。警察は、予備校生がカンニングをするために周到に準備をして試験に臨んだものとみて、詳しいいきさつについて調べを進めています。
もし、この警察リークの通りに
携帯で早打ちできる訓練を怠らなかった
とすると、
受験勉強そっちのけで、「手技の熟達」に邁進
したってことになる。
どうしたって、
打ち込みは、「問題を考える」時間を奪う
わけで、こんな
瑣末な技術に血道を上げるために貴重な浪人時代の時間を費やす
ことで、受験勉強がおろそかになってたって話になるんだが。
大体、二次試験前の学力だけど
現役生は試験直前の1カ月が勝負
だ。で、
迎え撃つ浪人生は、1年掛けて、どんどん伸びてくる現役生より上回る着実な学力を付けておくことが必要
になる。そのための
浪人
じゃないのか。
もう一つ。
合格が最終目的ではない
のであって、
入試はあくまでも「選抜試験」に過ぎない
のだ。要は
この程度は、基本的に出来てないと、大学の授業について行けませんよ
というのが、入試の水準だ。少なくとも、京大の入試はそうなっている。
大学での授業は
少なくとも、京大の場合英語に関しては、受験問題より難しいレベルから始まる授業の方が多い
だろう。(これには妙な例外があり、昔、予備校の先生が京大の教養の英語の授業を担当していて、使っている教科書が予備校と同じもので、その予備校出身者が喜んで受けていた、という「お買い得」授業があった。ただし、その授業に行っても、予備校以上の学力は付かないから、よほど英語に問題があるか、英語の勉強に時間を掛けたくない文系か、文学的英語を必要としない理系の連中が受講していた。そのため、いつも受講希望者が多く、抽選になっていた。ただし、その英語は2単位分しか使えないから、残りの必要な単位は別な授業で取らなくてはいけない。すべてが「省エネ」授業で取れる訳じゃないし、文系と理系と混ざる授業は、どうしてもレベルが落ちるので、文系の学生には好まれていなかった。)いくら、教養の試験がザルのように言われて久しいとはいえ、
自力で受験突破できない英語力では、教養の単位を取れないから、卒業できない
だろう。進級要件に関しては、学部によって違うから、なんとも言い難いけど、京大は
第二外国語まである大学(PDF)
だ。他言語習得はもっと難しいんじゃないのか。
大学でやることは
高校で身につけた学力を基礎に、更に発展させた内容を習得する
わけで、
大学受験が学力のピークではない
のだ。
大学で更に基本的な学力を伸ばし、理系なら実験の基本的な手技を身につけ、専門課程のよりハードな授業や実験に備えるのが教養の2年間
だ。
もし、警察リークが本当なら、何のための浪人だったかよくわからない。
警察リークが
どうやって試験問題を投稿したか
の「警察的説明」なのだとしたら、真実は別なところにあるわけだけど、やはり、
インターネットで試験の最中に問題を問い合わせることに全く罪悪感がない
ということには、説明が付かない。これは
切羽詰まって
とかいうレベルではない。もっと倫理的な問題で、こっちの方が実は深刻だ。
QBじゃないんだけど
わけがわからないよ。
続き。(20:30)
もう一つ訳が分からないのが、
国立だと学費が安いって理由
なんだが、
京都に出てくるのは、仙台で勉強するよりもっと費用がかかる
という点をなぜマスコミがスルーしているかだ。てか、
京都の家賃は高い
って、ほぼ常識でしょ? いまだに、
家賃×10=初期経費
なんてところがあるもの。
国立で一番経費がかからないのは自宅から山形大学に通う
だろうけど、これは予備校生の実家がどこだかわからないから、ひょっとしたら通えないのかも知れないね。でも、もし旧帝大に拘るなら、地元の
東北大を何故選択しなかったか
って、そっちの方が不思議だ。たぶん、
本当のことを言ってないか、本当のことが分かってないか
のどっちかではないのか。
この受験生がどの学部を志望してたのかは分からないけど、
京大哲学科にあこがれる人たち
という一群の人々がいた時代がある。以前
文学部旧館中庭に、京大を志望したけど、病に倒れて若くして亡くなった人の遺族が寄贈した花の苗木
というのがあったと思ったんだけど、旧館を建て替えたときに、どこに移植したかは知らない。遺族は
せめて、中庭で講義を聴かせて欲しい
という願いを込めて、寄贈したという話だったとぼんやり覚えてるけれども、ひょっとしたら勘違いかも。
京大では、若くして亡くなることが分かっている疾病を持った学生も、きちんと受け入れてきた伝統がある。わたしが学生の頃は、治療法がなく、卒業前に亡くなるかも知れない、と分かっていても、通学が可能な限り、出来るだけ勉学のサポートをしていた。何年かに一度、病に斃れ、卒業を果たせぬまま、逝ってしまう学生はいた。
勉強が好きな学生なら、出来るだけサポートする(というか、学生というのは「勉強が好きだから京大に進学してきた」と、先生方はデフォルトで考えていらっしゃると思う)
というのが、今も昔も、京大の学風である。勉強が嫌いだという学生の尻をひっぱたく方法については、京大は慣れてないかも知れないが。
そうした健康面で恵まれない学生を受け入れ、学業をサポートし、興味を深めようとする学生を多くの先生方が育ててきた伝統からすると
カンニングしてでも入学したい
というのは、到底受け入れがたい。
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