上野のパンダ 雄は中国語読み 雌は音読みってなんか変→雄の「リーリー」の裏の意味が同音の茉莉花(ジャスミン)革命の「莉莉」なら面白いけどね
上野のパンダの名前が決まった。なんか変。
朝日より。
ぼくはリーリー 私シンシン 上野のパンダに日本名2011年3月9日15時55分
東京・上野動物園が中国から借り受けたジャイアントパンダ2頭の日本名が決まった。オスが「リーリー(力力)」、メスが「シンシン(真真)」。22日から一般に公開される。
「日本名」というからには
日本漢字音で読む名前
かと思いきや、雄だけ
力力 li4li4
と、中国音の日本語読みである。日本漢字音なら
リョクリョク(漢音)もしくはリキリキ(呉音)
だ。
リー
とは逆立ちしても読まない。
なぜなら、日本漢字音は
入声を保存
しているからだ。「力(リョクまたはリキ)」は、入声音である。
具体的には一字の読みの最後に
フ -p (蝶々を歴史的仮名遣いで「てふてふ」と書くのはp入声を表す)
チまたはツ -t(鉄や吉など)
クまたはキ -k(薬や席など)
という音が残っているものだ。この入声は、大学で普通「中国語」として習う「北京語」では失われているが、広東語等には残っている。だから、日本漢字音は、北京語よりは、古い中国語の発音の記録を留めているということもできる。
というわけで、とっても気持ち悪い。
中国人の名前を表す場合
どうやってもアルファベット(というかこの場合は中国名のピンイン準拠を主張してる人が多い)のカタカナ化にしろ
と言う人もいるんだけど、香港や台湾の芸能人って
中国名とアルファベット表記名と両方使う
わけで、たとえば亡くなった
テレサ・テン(Teresa Teng)
は
鄧[登β]麗君(Deng4 Li4 jun1)
が中国名だ。いまさら
デンリージュン
と言われても、誰だか分からない。これは
毛沢東
でもそうで、中国語フォントをローマ字準拠のヨーロッパ言語の文書に組み入れるのが難しかった昔は
Mao Zedont (Mao2 Ze2 dont1)
とか、英語の雑誌で見たけど、これは、中国様の顔色を伺っているからではなく、
英語等には「漢字を読むシステムがない」
ことに由来する。
英語表記のある中国人名は一番日本で使われている方の名前を使用すればいいだろう。日本には漢字があるのだから
英語名のカタカナ表記だけで漢字名表記をしないのは差別
とかいうなら
漢字名を並記
すればいいだけだ。漢字表記の中国人名までも
北京語読み準拠にしろ
とか言ってる人は
言語が極めて政治的な要請に基づいて表記される
という事実を見失っている。てか、
広東人(中国大陸含む)は広東語読みを日本語に開く
とか
客家は客家語読みを日本語に開く
とかいう主張はほとんど聞かない。基本的に
中国人の名前は、日本漢字音を使わず、カタカナを使いましょう
と言ってる人たちは
中国語は北京語準拠のピンイン表記を日本語に開け、「普通話」さえ知っていれば中国は大丈夫
という人たちじゃないのか。つまりは
孔子学院の「日本人支援者」
って風に見えるんですがね。おそらく、そういう主張をする人は
日本では、日本語を母語とする人たちの中国語話者の比率は英語より格段に少ないという事実
に目を瞑っているか、気がついてない、あるいは中国語を使えることに優越感を感じる
中国語話者エリート
だろうと思う。
日本人は漢字が読めるんだから、日本漢字音でいいだろう
とわたしは思いますがね、ええ。なんのために
6・3制の義務教育で「国語」の時間に「漢字」の勉強をしている
と思っているのか。
それとも
異読(一つの漢字で複数の音読みがある状態)の多い、日本漢字音は効率が悪いし、音読み訓読みも日本語を国際化するには面倒だから、全部北京音で読め
とでも主張しますか? そこまで主張するなら、首尾一貫してますがね。
台湾に行くと、MRT(都市鉄道)では、
國語(北京語の台湾での呼び名だが、言語分離して半世紀以上経った現在は、大陸の北京語とは相違がある)
台湾語
客家語
英語
の順で、アナウンスされる。少なくとも
北京語が聞き取れない奴は一昨日来やがれ
という態度ではない。
ちなみに、漢字の台湾語音は、日本漢字音に割に近かったりする場合がある。
おまけ。「リーリー」が中国語の
li4 li4
だったとして、同じliの4声の漢字はたとえばこんなの。
歴史の歴
立法の立
官吏の吏
美麗の麗
例示の例
瘴癘の癘
隷属の隷
茘枝の茘
下痢の痢
茉莉花革命の莉
他にも多数ある。
まあ、雄の「リーリー」が
「力力」と見せかけて実は中国語では同じ発音の茉莉花(ジャスミン)革命の「莉莉」が裏の意味
というのなら、話は別だけどね。
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