福島第一原発事故 昨日の地震で東北電力女川・東通原発、六ヶ所村再処理工場で電源トラブル→原発設計時に「電源喪失は考慮しなくてよい」@国の原子力安全委の指針
福島第一原発事故がここまで酷いことになっている理由が
地震・津波による電源喪失
だが、昨日の震度6強の宮城沖を震源とする地震で
東北電力女川・東通原発と六ヶ所村の再処理工場で電源にトラブルが発生
した。
共同より。
宮城県で震度6強 女川、六ケ所電源遮断
2011年4月8日 02時12分7日午後11時32分ごろ、宮城県北部と中部で震度6強の地震があった。東日本大震災の余震とみられる。気象庁は一時、宮城県の太平洋沿岸で1メートル程度の津波の恐れがあるとして津波警報を、青森―茨城県沿岸に津波注意報を出した。
各地でけが人多数や火災発生との通報が相次いでいる。警察庁によると、岩手、秋田、山形、福島各県で計7人のけが人。一方、福島県の各消防本部などによると、同県だけで少なくとも7人がけがをした。
気象庁によると、震源は宮城県沖で、深さは約40キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・4と推定される。大震災では、本震発生当日の3月11日、M7・4~7・7の余震が発生しているが、震度6強は初めて。
経済産業省原子力安全・保安院などによると、福島第1、第2原発で新たな異常の情報は入っていない。停止中の東北電力女川原発は、3系統ある外部電源のうち2系統が使えなくなった。定期点検中の青森県・東通(ひがしどうり)原発1号機も外部電源が途絶、非常発電で使用済み燃料プールの冷却を続けている。青森県六ケ所村の日本原燃の使用済み核燃料再処理工場も外部電源が遮断され、非常用電源で給電している。
青森県によると、八戸市と階上町が津波注意報を受け、避難勧告を出した。八戸市や宮城県塩釜市などの消防によると、けが人がいるとの通報が相次いだ。
宮城県警によると、仙台市宮城野区などでガス漏れや火災などの110番が十数件あった。宮城県内の高速道路はすべて通行止めとなった。JR東日本によると、東北新幹線が七戸十和田―新青森間のトンネル内で停車、乗客15人が乗っている。
原子力安全・保安院が東北電力から受けた連絡によると、青森県、岩手県、秋田県の全域で停電し、宮城県、山形県では一部で停電した。
各地の震度は次の通り。
▽震度6弱=岩手県沿岸南部、岩手県内陸北部、岩手県内陸南部、宮城県南部▽震度5強=青森県三八上北、秋田県内陸南部、福島県中通り、福島県浜通り▽震度5弱=岩手県沿岸北部、秋田県沿岸北部、山形県最上、山形県村山
(共同)
というわけで
女川原発は1系統残っていた電源を使用
しており、
東通原発と六ヶ所村の再処理工場は非常用電源で凌いでいる
ようだ。
早急な復旧が望まれる。
(追記 12:09)
女川原発のその後の状況。NHKより。
女川原発 圧力調整パネル外れる
4月8日 11時16分宮城県にある東北電力の女川原子力発電所では、7日夜の地震で、外部電源が1系統を残して使えなくなりましたが、東北電力のその後の調べで、タービン建屋の圧力を調整するパネルが外れたほか、使用済み燃料プールなどで水漏れが確認されました。女川原発では、放射線を計るモニタリングポストの値に異常は見られないということで、東北電力が地震の影響の確認を進めています。
女川原発では、7日夜の地震で、外部からの電源が4系統のうち3系統で使えなくなり、現在も、残る1系統で原子炉の冷却を続けています。東北電力が地震の影響を調べたところ、3号機では、タービン建屋の圧力を調整する「ブローアウトパネル」が外れているのが確認されました。また1号機から3号機で、使用済み燃料プールから水が床に最大で3.8リットル漏れたほか、原子炉建屋などの5か所で水漏れが起きているのが見つかりました。女川原発では、放射線を計るモニタリングポストの値に異常は見られないということで、東北電力が地震の影響の確認を進めています。
(追記おわり)
ところで、吉井英勝衆院議員に2006年に指摘されていた
電源喪失
だけど、
そもそも国の原子力安全委員会が「考慮しなくてよい」
という態度を一貫して変えてなかったことが判明。同じく共同より。
安全委、「電源喪失は考慮不要」 原発対策遅れの原因か
2011年4月6日 10時46分東京電力福島第1原発では、地震後に外部電源が切れ非常用電源も起動しない状態が続いて事故が拡大したが、国の原子力安全委員会の指針で原発の設計の際に「長期間にわたる全電源喪失を考慮する必要はない」と規定されていることが6日、分かった。
電力会社は国の指針に基づいて原発を設計、建設しており、この規定が設備の不備や対策の遅れにつながった可能性もある。
今回の事故を受け、経済産業省は3月末に、津波による長期の電源喪失に備えて非常用電源を確保するよう電力会社などに指示したが、電力関係者からは「そもそも国の指針に不備があるのではないか」との声も出ている。
指針は1990年に定めた「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」。
59項目のうち、27番目の「電源喪失に対する設計上の考慮」で、外部電源などの全交流電源が短時間喪失した場合に、原子炉を安全に停止し、その後の冷却を確保できる設計であることを要求。
その解説で、長期間の電源喪失は「送電線の復旧または非常用交流電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない」としている。
第1原発は地震で外部電源を喪失。復旧に10日程度かかり、非常用電源も一部しか機能しなかったため原子炉が冷却できず、核燃料の損傷や原子炉建屋の爆発が起きた。
経産省の関係者は「指針は必要に応じて見直すべきではないか」としている。
(共同)
確かに、原文はこのようになっている。
発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針(PDF)平成2年8月30日 原子力安全委員会決定
一部改訂 平成13年3月29日 原子力安全委員会(略)
解説
(略)
VI.原子炉冷却系
(略)指針27.電源喪失に対する設計上の考慮
長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくこ となど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しな くてもよい。
国の原子力安全委員会が
電源喪失は考慮しなくていい
ってお墨付きを与えてるわけで、しかもこれは
2001年の改訂を経ているバージョン
である。
2001年って、2007年の柏崎刈羽原発の事故はまったく反映してない
ってことじゃん。当然、2006年の吉井英勝衆院議員の質問は
ガン無視
ってことでしたね、原子力安全委員会。
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コメント
北海道の、函館市に住んで居ます。
今、私達が、1番心配しているのは、六ヶ所村に在る再処理場は、いったいどうなっているのだろうか?と言う事です。
高々この程度の余震で、この有様。
隠ぺいと改ざん後日報告が得意な原発関係者(委員会・安全保安・も含む)達は、本震が有った時の被害を、本当に発表してくれているのだろうか?
通常は、便りの無いのが、無事な証拠と言われていますが、原発関係に関しては、便りが無いのは、やばくて緊迫した状況?と言うのが、今までの通例?でしたから。
福島の事故でさえ(国内規模の事故?)各国から非難されるのに、万が一六ヶ所に危険が有ると言う事に成れば、国内規模ではなく、世界規模の1大事故に成るので、治外法権何のそのとばかり、各国がこぞって土足で救済に来るでしょうね。
もちろん我々は、放射能除去装置も無くシエルターも持っていませんから、ただただ死の灰を浴びて、死んで逝くのしょうね。
投稿: 長谷 日呂志 | 2011-05-13 11:38