福島第一原発事故 世界への広報失敗 今後「唯一の核被爆国」というフレーズは、現在の「核汚染を海洋・大気にばらまく国」というイメージ拡散によって意味をなさなくなる恐れ
広島長崎の被爆者の方々には申し訳ないのだが、今回の
福島第一原発事故に伴う核汚染物質の大気内・海洋中への拡散
は、日本がこれまで持っていた
唯一の核被爆国
という
国際イメージ
を無意味にしつつある。
核被爆を経験した国なのに「他の国々へ核汚染をばらまくことは平気なのか」
という国際的不信が日々広まっている。
NHKより。そもそも
保安院は低レベル核汚染水の海中投棄を日本国内でも説明してなかった
のである。
“放出の影響説明ない”批判の声
4月6日 8時18分福島第一原子力発電所の事故で、低レベルの放射性物質に汚染された水の海への放出を巡り、地元の自治体や漁協からは、原子力安全・保安院から、海産物への影響などについての説明がないとして、批判の声が上がっています。
福島第一原発の事故で、東京電力は、4日の夜から、原発の施設内にたまっている低レベルの放射性物質に汚染された水を、海に放出する作業を始めました。これに対して福島県漁業協同組合連合会は、海への放出を認めた、経済産業省の原子力安全・保安院に対して、5日、電話で「組合員が不安を抱いている。汚染水の放出による県内の海産物などへの影響について、現地で説明してほしい」と要望しました。しかし、今回の原発事故を受けて地元への情報提供を強化するため、福島県内に派遣されている原子力安全・保安院の専従チームは「地元からはまだ何も話は来ていない」と述べるだけで、現段階では説明に行く考えはないとしています。こうした対応について、福島県内で最大の漁港があるいわき市や、地元の漁協は「原子力災害に責任を持って対応しなければならない原子力安全・保安院には、説明してもらいたいことがたくさんあるが、何の連絡もなく、地元としても不信感を募らせている」と述べるなど、原子力安全・保安院の対応に批判の声が上がっています。
当然、
海は日本だけのものではない
のだ。NHKより。
保安院 汚染水の放出で陳謝
4月6日 0時24分東京電力が4日夜行った、低レベルの放射性物質に汚染された水の放出に関し、隣国の韓国から事前の連絡がなかったと批判の声が上がっていることについて、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「連絡が必ずしも十分でなく、申し訳なく思う」と陳謝しました。
福島第一原子力発電所では、施設内にたまった低レベルの放射性物質に汚染された水を海に放出する措置が、4日夜からとられていますが、これについて韓国外交通商省のチョ・ビョンジェ報道官は、事前の連絡がなかったとして、日本の対応を批判しました。これについて、原子力安全・保安院の西山審議官は、5日に行われた記者会見で、放出の措置をとる前の海外への情報提供が十分でなかったことを認め、「非常事態であり、やむをえない措置だったが、隣の国に心配をかけて大変申し訳なく思う」と陳謝しました。そのうえで、西山審議官は「今後、関係各国にはしっかりと説明し、疑問などに答えていきたい」と、海外に対する事態の説明を、今後十分に行いたいという考えを示しました。
朝日より。
汚染水の放出「情報公開不足」 近隣諸国に不満広がる2011年4月6日7時0分
福島第一原発で放射能汚染水の放出が始まったことで、国際社会に懸念が広がっている。法的な枠組みの不備を指摘する声や、日本政府からの情報開示のあり方にいらだちも聞かれる。
韓国では5日、放射能汚染水の海への放出が国会で取りあげられ、外交通商省の朴錫煥(パク・ソクファン)・第1次官が日本政府から事前の協議がなかったと説明した。朴次官は「必要があれば共に現場調査することを提案したい」と、周辺海域に専門家を派遣する可能性にも触れた。
韓国メディアでもこの日、汚染水放出について、韓国側に事前の連絡がなかったことを問題視する報道が目立った。
外交通商省報道官も「近隣国に心理的不安を与えるような場合は、事前に通報するぐらいの余裕があった方がいいのではないか」と、くぎをさした。韓国政府は今後、海洋汚染防止条約(ロンドン条約)などの国際法に違反しないかどうかの検討を進める方針だ。
ロシアのイワノフ副首相は4日、ニューヨークの外交問題評議会(CFR)での講演後、聴衆から福島の汚染水放出について問われ「もし海洋が汚染されれば、100カイリ離れた海域で我々が漁獲する魚ですら、危険になりかねない。当然影響を受ける」と答えた。
「我々の政府機関も、米国の専門家たちも、当初から日本の協力の仕方には満足していなかった」とも述べ、日本側からの情報開示が不十分だと示唆した。
日本に近いロシア極東では漁業への影響に神経をとがらせる。ロシアの専門家は5日、インタファクス通信に「常時監視を続けるしかない」と述べた。
ただし、ロシアはこの問題での日本支援に前向きだ。国策として原子力を積極的に進めており、原子力不信の高まりを沈静化したい思惑からとみられる。国営原子力企業ロスアトムは4日、原子力潜水艦の解体で発生する液体放射性廃棄物を処理する、はしけ型の施設「すずらん」を、福島に送るため日本側と協議していると明らかにした。
1990年代にロシア太平洋艦隊の原潜から低濃度の液体放射性廃棄物が日本海に投棄されていた問題が浮上した際、日本側が財政支援して01年に完成させ、ロシア側に贈った施設だ。当時と立場が逆転した形だが、ロスアトム側は「日本を支援する」としており、責任論よりも実務遂行を優先するとみられる。
一方、国際環境NGO「フレンズ・オブ・ジ・アース」(FoE)米支部は4日、汚染水の放出中止を日本政府に働きかけるようオバマ米政権に求めた。
声明の中で、FoEのデーモン・モグレン氏は「船からの放射性廃棄物投棄を禁じた国際条約(ロンドン条約)があるのに、日本が1万トンを超す汚染水を海に流すのは信じがたい」とコメント。ロンドン条約の規制が、陸地の施設からの投棄には適用されないという「抜け穴」を、東京電力と日本政府が利用しようとしていると批判した。
中国は5日までお盆やお彼岸にあたる「清明節」の3連休ということもあり、政府による公式な反応は出ていない。
中国メディアは同日、国営新華社通信や中国中央テレビを引用し、「日本が海中へ核汚染水を排出」(新京報)などと報じた。
ただ、現時点では、中国国内でのパニック反応を防ぐため沈静化を図る当局の意思が介在しているとみられ、「周辺の環境に大きな影響はない。我が国の沿海には影響は与えない」などと専門家の声を伝える報道が中心だ。(ソウル=中野晃、モスクワ=副島英樹、ワシントン=望月洋嗣、北京=吉岡桂子)
いま、世界が日本向けている大きな非難は、
次世代に影響する恐れのある核汚染ばらまきへの非難
だ。インドが
日本からの食品輸出を決めた理由
は
次世代への影響
からだ。NHKより。
インド 日本からの食品輸入禁止
4月6日 7時14分福島第一原子力発電所の深刻な事故を受けて、各国が日本産の食品などへの検査を強化するなか、インド政府は、日本から放射性物質が持ち込まれるのを防ぐためとして、5日、日本からの食品の輸入を当面禁止すると発表しました。
それによりますと、インド政府は、日本からインドに輸入される食品が放射性物質で汚染されている可能性が拭いきれないとして、今後3か月間、もしくは福島第一原子力発電所の深刻な事態が収束するまでの間、日本からの食品の輸入を禁止することを決めました。インドで日本の食品を輸入するのは、日本食レストランや、日本の加工食品などを販売するスーパーマーケットなどで、その数は少なく、輸入量も限定的ですが、インド政府は、子どもなどが放射性物質の影響を受けるのを避けるために必要な措置だとしています。
これほど大きな関心を世界に巻き起こしている
福島第一原発事故による核汚染物質の日本からの「放出」
なのだが、
保安院の対応
を見ても、
日本政府の海外向けアナウンス
にしても
責任逃れに終始しているように「海外からは見える」あたりが致命的
だ。
低レベル核汚染水放出に関する政府の声明は、今のところ、こんな感じだ。読売より。
汚染水放出、国際法上問題なし…外相東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、低濃度の放射性物質を含む汚染水を海に放出したことに韓国やロシアが懸念を表明している問題で、松本外相は5日の記者会見で「健康に有意な影響はない。国際法上の義務との関係で直ちに問題とならない」と述べた。
「国際原子力機関(IAEA)に通報し、外交団向けに説明し、ファクスでも連絡している」とも強調、対応に問題はなかったとの立場を示した。
外務省によると、4日午後4時から同省内で外交団向けの説明を行った。
国連海洋法条約では、海洋環境の保護や汚染防止のほか、汚染による損害で危険が及ぶ国への通報を求めている。枝野官房長官は5日の記者会見で「(同条約で)海洋汚染防止の一般的義務を日本も負うが、直ちに差し迫った汚染の影響を周辺各国に及ぼすものではない。近隣国をはじめ関心が高いので、外交ルートを通じて適切な説明を徹底したい」と語った。(2011年4月6日01時09分 読売新聞)
この説明では
海外諸国には全く不十分
だって、誰も指摘しないかよ。
現段階で健康に有意な影響はない
ということを問題にしている訳じゃない。
将来にわたって、次世代を担う子ども達やその子ども達を妊娠している妊婦に影響はないのか
ってことを、心配しているのだ。だとすれば
大人は大丈夫
な説明は、ダメってことだ。
この広報の姿勢が続けば
日本は唯一の被爆国
というフレーズは、通用しないどころか
21世紀になって世界中に核汚染の恐怖をまき散らした「核汚染国」という汚名
が、日本のイメージとして定着しかねない。
ついでに言っておくと
東電は世界にひどいことをしたよね
ってレベルなんだが、
一企業が到底負えるはずもないくらいの「一大国際的事故」
だって自覚が、当の東電に全くないみたいなのが、これまた凄い。てか
世界史に永遠に残るくらいの汚名を東電が刻みつつある
って、たぶん、気がついてないんだろうね。
続き。(12:31)
とりあえず
枝野官房長官が午前の記者会見で「陳謝」
した模様。NHKより。
官房長官 説明が不十分だった
4月6日 12時15分枝野官房長官は、午前の記者会見で、福島第一原子力発電所の事故に関連し、低レベルの放射性物質に汚染された水を海に放出したことについて、漁業関係者や周辺諸国への説明が不十分だったとしたうえで、漁業関係者には仮払いも含めて補償に万全を期す考えを示しました。
この中で、枝野官房長官は、低レベルの放射性物質に汚染された水を海に放出したことについて、「より高い濃度の汚染水が出ないようにするため、やむをえない措置だが、こうした事情を、周辺諸国や関係者に対して、より詳細で丁寧に説明することが、あらかじめ必要だった」と述べ、説明が不十分だったことを認め、今後は十分な情報提供を行っていく考えを示しました。そのうえで、枝野長官は、漁業関係者への補償について「水産業への影響・被害も今後の補償対象に含めるのは当然だし、最終的な補償に先立って、当面の仮払いを行うことも含め、農作物への被害と同様に対象にしていく」と述べ、仮払いも含めて補償に万全を期す考えを示しました。
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コメント
本当に最悪だよね。日本。
「唯一の核被爆国が核汚染を海洋・大気にばらまく国」になっちゃったんだもの。
どうしてもっと早く対処しなかったのかとか、詳細な説明をしなかったのかとかいまさら言っても仕方がないことだけど、とにかく今後は、正直に誠意を持って対応していくしかないんだろうなと思います。
投稿: yubutan | 2011-04-06 12:47