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2011-06-06

生肉食中毒事件 重症者に脳症が多発 治療法は未だ確立されず

4月には、ユッケ食中毒事件が起きて、多数の被害者が出ていて、今は梅雨時だというのに
 生やタタキにした鶏・牛肉を食べて食中毒
というニュースが相変わらず続く。てか
 梅雨時は食べ物に注意
って、
 日本の常識
だったんじゃないのか。
 普段大丈夫な食品でも、梅雨時は特に注意
という生活の知恵が失われているんだろうか。

で、
 4月に発生した病原性大腸菌による食中毒で、脳症が多発
しているという。朝日より。


重症患者に脳症多発、厚労省研究班設置へ 食中毒事件
2011年6月6日10時12分

 焼き肉チェーン店での腸管出血性大腸菌による食中毒事件で、重症化した患者の多くが腎臓の働きが悪化するだけでなく、脳神経細胞が傷つく脳症も併発していることがわかった。診療にあたる医師らは厚生労働省の研究班をつくり、治療法や重症化する患者の見分け方などの検討を始める。
 富山県などによると、腸管出血性大腸菌O111やO157に汚染されたユッケなどが原因とみられる今回の食中毒による入院患者は5月末現在で41人。そのうち31人が腎臓の働きが悪くなる溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こした。
 HUSは、腸管出血性大腸菌による食中毒で、重症化すると起こりやすい病状だ。平均して全患者の1~10%が起こすとされている。一方、重い脳症を同時に引き起こす頻度はそれほど高くないとみられてきた。旧厚生省の研究班は脳症発症はHUS患者の約5%と報告している。

 ところが、富山県などで治療にあたっている医師らによると、今回はHUSを起こした31人の約4割にあたる12人が脳症を起こした。亡くなった4人も含まれ、多くの脳症患者が一時期は人工呼吸器が必要になるなど重篤な状態に陥った。
 HUSと脳症を起こした患者2人の治療にあたっている谷内江昭宏・金沢大教授(小児科)は、「詳細はまだ不明だが、従来より脳症が多く、しかも重症になる印象を受ける」と言う。
 これまでの腸管出血性大腸菌の報告では重い脳症が起こる場合、HUSとほぼ同時期の発生が多かった。今回はHUS発症から数日経ってから症状が急速に変化し、脳症が起こることも少なくなかったという。
 重症の脳症が多い理由はまだ解明されておらず、治療法も確立していない。今回のケースでは、医師らは早めに特殊な透析を実施するなど試行錯誤しているのが現状だ。
 治療法の確立と重症の脳症が起こる可能性の有無を早期に見極める方法を見つけるため、富山県の医師らが中心になり、厚生労働省の研究班を近く立ち上げる。富山県や石川県などに入院している重症患者の症状や治療歴などの情報を交換し、なぜ脳症が多いのかという原因解明にも取り組む方針だ。(大岩ゆり)

今回の食中毒で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
また、いまも治療を受けている方々が一刻も早く恢復されますように。
5/28時点で、
 HUSを発症した重症者でいまだ17人が入院中
だった。中日新聞より。


ユッケ食中毒から1カ月 重症の17人、依然入院
2011年5月28日

 4人が死亡した「焼肉酒家えびす」チェーンの集団食中毒は、発覚から27日で1カ月たった。腸管出血性大腸菌O111の付着した生肉を食べたことが主な原因とされ、依然として17人が入院中で、深刻な事態が続く。
◆168人
 食中毒は砺波店(富山県砺波市)の利用者が下痢などの症状を訴えて発覚。福井、富山、神奈川の3県の計5店に拡大した。
 26日現在、患者は168人。そのうち腎臓に障害をもたらす溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発した重症者は全体の18%の31人。このうち17人が入院したままだ。福井県では4人が発症し、1人が死亡、もう1人は入院している。
 砺波店には患者99人が集中。重症者は20%超の21人(死亡3人含む)で、通常は10%以下とされる重症化率の2倍以上にのぼる。

◆強制捜査
 福井、富山、神奈川の3県警と警視庁は、業務上過失致死の疑いで合同捜査本部を設置。砺波店やチェーン運営会社フーズ・フォーラス(金沢市)、肉を納入していた大和屋商店(東京都板橋区)を家宅捜索し、強制捜査に乗り出した。
 富山県の検査で、横浜若草台店(横浜市)の未開封ユッケ用肉と、福井、富山、神奈川の各店の客や従業員の計19人(死者4人含む)から検出した大腸菌O111の遺伝子型が一致。捜査本部は、肉が各店に納入される前に菌が付着したとの見方を強めている。
 卸業者の過失が疑われるが、大和屋商店は「生食用としては販売していない」と保健所に答えている。主張通りなら菌を除去するため肉の表面を削るトリミング作業も不要となり、こうした処置をしていなかった同社の過失を問えなくなる。
 しかし、捜査本部の事情聴取に従業員の一部は「生肉として提供される」との認識があったと述べており、フーズ社はトリミング作業を「卸売業者に依頼していた」と主張。捜査本部は過失の所在を慎重に調べている。

◆再発防止
 ユッケ人気などで生肉食は広く普及していたが、厚生労働省の衛生基準をめぐる国と保健所の解釈の相違などから、焼き肉店での衛生指導がほとんど手つかずだった問題も、浮き彫りになった。3人が死亡した砺波店には、一度も富山県の立ち入りがなかったことも明らかになった。
 厚生労働省は今秋をめどに生食用肉について衛生基準を新設するが、埼玉県はそれを待たずに生肉食の届け出制を導入する。
 現実に生肉を提供している店を適切に指導する狙いがあり、富山市保健所も同制度の検討を始めた。実態を見過ごして死者まで出した行政の不作為も、問われている。

今回の問題は
 重症者に脳症の発生が多い
という点だ。そもそも
 成人の脳症の治療法は確立してない
のである。
昨年
 O157感染による成人の脳症治療について1例報告
があり、今年『日本消化器病学会雑誌』Vol. 108 (2011) , No. 1 pp.74-79に掲載された。


成人でO157感染により溶血性尿毒症症候群を発症し,脳症を合併した1例
吉光 雅志1), 林 宣明1), 金子 佳史1), 土山 寿志1)
1) 石川県立中央病院消化器内科
(受領日: 2010/01/29)
(受理日: 2010/09/05)
要旨: 症例は28歳,女性.腹痛,粘血便にて入院.O157感染による腸管出血性大腸炎に引き続き,血小板減少,腎不全を発症し,溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断した.一時,血小板数の増加・尿量の回復を認めたが全身痙攣と一過性片麻痺にて脳症を発症した.ステロイドパルス療法や血漿交換などの治療により後遺症なく回復した.成人での脳症発症の報告は少なく,今後の治療法確立のため文献的考察を含めて報告する.

1例報告が医学雑誌に載る、ということは
 病原性大腸菌による脳症の臨床報告数が少なく、まだ治療法が確立してない疾病
だということだ。

というわけで
 HUSを発症した31人の内からいきなり12人もが脳症
となると、朝日の記事にあるように、治療するにしても、あれこれ
 試行錯誤
するしかない。『日本消化器病学会雑誌』の1例報告は
 後遺症もなく完治
している幸運な例だが、急性脳症となると
 脳症でどこがダメージを受けたか
によっては、
 深刻な後遺症が残る場合もある
わけで、今回の事件は
 生肉嗜食によって、今後の生活に大きな支障を来す重大な健康被害が起きた
ことになる。

更に言えば、
 生肉や加熱が不完全な食肉を食べたから病原性大腸菌に感染
するだけではなく、当然ながら
 生肉に接触した食器・食材を口にすることでも、病原性大腸菌に感染する
のだが、
 直箸禁止
という
 日本の普通の家庭の躾が崩壊
しているのだろうか、各地で頻発する病原性大腸菌による食中毒の中には
 食べる箸と食材を取る箸(取り箸)を区別しないで感染
する例もあるという話を聞いていると、
 防ぐことのできた食中毒を自ら招いている結果になってしまっている
と頭を抱えてしまう。

いろんな
 規範の崩壊
が問題になるけど、ある一定の年代以上では、家庭内で子どもの内に躾けられていた
 外で食べるものは、家で食べるものより危険かも知れないという「予断」に基づく「慎重な対応」
が、
 すでに失われている
とすれば、今後も、
 外食や中食が原因の食中毒は終わらない
だろう。

塾に通わせるのが「教育」ではない。
 不用意な行動で「避けられた危険を自ら呼び込む」ことを回避するための常識を子どもの内に教える
ことも
 教育
だし、こっちの方は
 学校で教えない
わけだから、よほど重要だ。
 

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