「人権・福祉に敏感」なはずの「民主党政権」 アナログ停波で「情報棄民」視覚障碍者を置き去りに 災害等緊急時に「情報が得られない」恐れ「見えないけど、TV音声をラジオで聞く」という情報収集手段が断たれる
厚労省の平成18年度の統計(PDF)によると、
全国の視覚障碍者は約31万人
だ。この内、1〜2級の重度障碍者は、
62%を占める。この中で全盲の方がどのくらいいるかというと、
視覚障碍1級は強度の弱視も含む
ので、全体の1〜2割くらいではないかと思う。プラス
身体障害児が4900人で視覚1級の子どもが3700人
いるのだ。
視覚障碍者と障碍児合わせて全体の1〜2割というと、この調査で把握されてる分だけで
3万人〜6万人以上
ということになる。さらに全盲でなくても
テレビ視聴が難しい障碍
の方もいるので、
テレビの音だけを聴いている視覚障碍者は全国に少なくとも視覚1級全員と控えめに見積もって2級の半分くらい
と考えると
視覚障碍者の48.75%、つまりおよそ半数、15万人前後いる
と思われる。
この
15万人前後の人たちの中には「買っても見えないテレビ」ではなく「ラジオ」からテレビ音声を聴いて、情報を得ている人たちが多い
のだが、
アナログ停波で、ラジオによるテレビ音声聴取が不能
になるため、
情報の獲得手段が断たれる
こととなるのだ。てか
視覚障碍者15万人前後は「緊急地震速報等の災害や緊急の安全情報は聴けなくてもイイ」
って判断なのかよ、政府と経産総務省と厚労省は。
共同より。
地デジ化で視覚障害者が困惑 ラジオでテレビ音声聞けず地上デジタル放送への完全移行が24日に実施されると、ラジオでテレビ音声を聞くことができなくなるため、視覚障害者らが困惑している。全日本視覚障害者協議会(全視協)の山城完治総務局長は「国策のためにテレビから置き去りにされ、寂しい」と肩を落としている。
視覚障害者の多くは、テレビ音声を受信できるタイプのFMラジオを愛用してきた。ラジオでテレビ音声を聞けるのは、テレビがアナログ放送だったためで、地デジ化でアナログが停止されると受信不能になる。
厚生労働省の調査では、視覚障害者の情報入手手段の1位はテレビで、66・0%(複数回答)に達した。2011/07/11 09:44 【共同通信】
そうでなくても
災害弱者
が浮き彫りになっている昨今、
視覚障碍者の情報獲得手段は断っても構わない
って判断を政府が下してるとはね。
未必の故意
ですな。
視覚障碍は
40歳以降に失明または視力が低下した人が43.8%
と
中年以降に視覚障碍になる人が多い障碍
である。残念ながら
成人後に発生した視覚障碍
では
生活の質の維持が難しい方が多い
のが実情である。わたしのように子どもの頃から見えてないと、それがデフォルトになるので、視力に頼りすぎない生活が出来るのだが、中年以降に目が見えなくなると、これはかなりしんどい。
恐らく、そうした、成人後に視力を失ったことで生活に更に支障を来している中年以上の人たちの多くも
テレビ音声を奪われる
のではないか。
視覚障碍者の世帯収入は、健常者に比べて低い場合が多い。そうすると
見えないテレビなんて高価な買い物はできない
のである。その点も、たぶん
経産総務省も厚労省も全然考慮してない
だろう。これが
情報棄民でなくてなんだ
よ、しかも
自民党よりは「国民の福祉、障碍者の人権に敏感だったはず」の民主党政権下
での話なんだ。
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コメント
薄型地デジテレビは高価ですが、ポータブルワンセグテレビは、安い機種も出ているので、それではだめでしょうか?
画面が小さいけれど、もともと音だけ聞いているなら問題ないと思いました。
今回の地震で、停電しても携帯でテレビを見られるので、重宝しました。(こどもに児童番組を見せるため)
投稿: 麻酔科医 | 2011-07-12 05:56
ラジオ番組の立つ瀬が無いニュースですな
投稿: まるちゃん | 2011-07-12 08:07
麻酔科医先生、まるちゃんさん、コメントありがとうございます。
以前、テレビのない生活をしていたことがあります。で、テレビ音声はラジオで聴いていました。画面を見なくてもいいなら、これが結構便利です。
全盲やテレビを見ると目が疲労してしまう方の世帯では、そもそも「テレビを買う」という発想がないだろうと思います。ラジオでテレビを聴くことのいいところは、
1. テレビで足りない情報はラジオ第一ですぐ補足できる
2. NHK総合が音声で確認できる
3. 手元に本体を置いて操作できる
でしょう。2については、もちろん、地方によってはNHK総合がラジオで入らないところもありそうですが。
NHKの連続ドラマや大河ドラマは、視覚障碍だと
見えなくても、中身は知りたい
という方がいらっしゃるでしょう。
3は、相当重要で、「どうしてテレビを買わないの」といえば
音声情報だけのために、ある一定の場所に、自分では設置できない新たな設備を家に入れる
ことへの抵抗があるでしょう。視覚障碍の方が
知らない人を家に入れる
というのは心理的に相当な抵抗があります。電器屋さんが来てくれて設置してくれるにしても、来るのは知らない人が来るわけで、さらに
設置の仕方の説明
が難しいでしょう。安全や説明のために目の見える人を別にわざわざ頼まないといけないのなら、テレビは簡単に設置できない、って話になります。
投稿: iori3 | 2011-07-12 08:21
「娯楽」と「情報収集」とは,ある程度分けて議論すべきではないかと思います。
完全に分けることは難しいし,現在のラジオ情報でもう十分という意味でもないのですが。
「娯楽」の点では,テレビならではのものが多いと思いますし,ある程度ラジオでも楽しめるよう今後の更なる整備がまたれますが,緊急性を要する情報に関しては,ラジオは捨てたものではないというのが私の印象です。
投稿: たんご | 2011-07-13 00:56