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2011-08-16

「イギリス暴動の裏にある鬱屈と絶望について」ロンドンに5年以上住む日本人が考えるロンドン暴動@増田 高福祉で保護されたはずの貧困層で子どもの教育放棄 イギリスの小学1年生の1/6が自分の名前や3文字の簡単な名詞が書けない(2007年の調査) 教育なき貧困層のデススパイラル→「名誉白人」の言説として斬り捨てる@日本の理系研究者

(追記 8/17 0:23)
下紀の増田について
 名誉白人の言説
として、Dr. Setonさんがご自身のblog「シートン俗物記」で批判を加えているので、こちらもお読みください。
名誉白人 in UK

ちなみにDr. Setonさんも、入江敦彦さんの見解にはそれほど反論してないのね。
入江敦彦さんは、京都生まれ、ロンドン在住。ロンドン暴動当時に次のようなtweetを残している。
ロンドン暴動、在英京都人作家・入江敦彦さん(athicoilye )の考察。

ところで、Dr. Setonさんの見方だと


一番、気分悪かったのはコレ。凄いこと書いてますよね。これを「腑に落ちる」とか「納得できる」とコメントできるヤツの神経を疑いますが。

ということなので、なぜそう批判なさっているのか、上記記事をお読みください。

ところで、
 移民の教育問題
というのは、日本でも起きてるけど、あまり人目に触れてない。
奈良には家電の大きな工場がいくつかあるんだけど、南米の日系人が働きに来ていて、随分前から
 ポルトガル語による教育やコミュニケーションの問題
が起きていた。奈良県では
 県外教(奈良県外国人教育研究会)
が1990年から、こうした外国人の子ども達の問題に取り組んでいる。
日本語が母語でない両親が日本に来て子育てをすると、親は母語で子どもと話すが、日本語はあまりできず、子どもは社会や学校で日本語を使うため、子どもの言語は、母語も日本語も中途半端になってしまう。言語問題は教育の水準と密接に関係し、教育水準は将来の収入を決める大きなファクターだ。
日本の移民に対する教育については、毎日の昨日付の記事を参照して下さい。


日本語指導:必要な外国人の児童生徒微減 全国の公立校

 昨年度、全国の公立小中高校などで日本語指導が必要な外国人の児童生徒は2万8511人に上ったことが文部科学省の調査で分かった。過去最多だった前回調査(08年度)に比べ64人(0.2%)減り、ほぼ横ばいだった。調査は昨年9月時点で実施され、東日本大震災の影響は反映していない。母語別ではポルトガル語の9477人、都道府県別では愛知県の5623人が最多。在籍学校数は前回より211校増えて過去最多の6423校となり、分散化が進んだ。同省は指導教員の増員などの支援策を継続する。

毎日新聞 2011年8月16日 19時30分

日本語指導が必要と見なされている児童生徒の内
 最多はポルトガル語
だ。
下記増田に
 学校に行かない子ども達
の描写があるが、ポルトガル語が母語の子ども達に関しても、似たような話を以前聞いたことがある。ロンドンで起きていることは、日本でも起きていることとは無関係とは言えないのだ。
(追記 おわり)

はてな匿名ダイアリー(通称 増田)に
 ロンドンに5年以上住む日本人が考えるロンドン暴動についての冷静な記事
が上がったので、紹介する。
イギリス暴動の裏にある鬱屈と絶望について
最初に


このエントリーを書こうと思ったのは、その手の単純で非現実的な観念論ではなく、地に足のついた議論の土台を提供したいとおもったからだ。

と、この記事を書いた理由を述べている。

大変有益で、判りやすいので、是非ご一読を。
・なぜ、先進国イギリスで、高水準の福祉で保護されてきた貧困層が、高校に入る年になっても英語がまともに読めないような絶望的な学力の子どもを多く産出してしまっているのか
・こうした貧困層が住むカウンシル・フラットと手厚い福祉政策の実際
・高福祉による貧困の再生産はなぜ起こるのか
・高福祉実現のため、高額な税金を支払っていた、中間層以上の反応
などについて、簡潔にまとめられている。

ちなみに、日本では考えにくいことだが、先進国イギリスでは、次のようなことが起きているとか。


 とはいえ、貯金は難しい。それに、貯金額が6000ポンドを超えてしまうと支給額が減額されてしまうので、そもそも貯金する理由がないのだが。ちょっと大きなTVを買おうとすれば、夜遊びを楽しみたければ、その分働くしかない。問題なのは子供だ。託児所に預けたいところだが、ロンドンの託児所は1ヶ月フルタイムで1000ポンド。平均所得層ですら厳しいこの金額を彼らが払えるわけはない。その結果、子供は無人の家に置き去りでTVを見るかゲームをするかと言うことになる。言葉を学ぶには最低の環境だ。

 その結果起こったのが、子供の識字率の低下。移民だけでなく、ネイティブの識字率が低下している。2007年に政府が行った大規模な調査によると、小学1年生の6分の1が自分の名前やmom, catといった3文字の簡単な単語を書くことが出来ない。当然、こういう子供は小学校のカリキュラムに着いていくことは難しい。その結果、無視できない数の中学生(数字は忘れた)が、「数学の試験問題の英語が理解できない」ために零点をとる、という現象が起きてしまった。こんな状況では学校に行くのは苦痛でしかない。カウンシルフラットの周りでは、昼間から特に何をするでもなくぼーっと座っている子供達をよく見かける

 この様な子供が成人して職に就くのは、非常に難しい。肉体労働系なら大丈夫だろうが、ポーランドからの出稼ぎ労働者の方が高いスキルと低い給料で働いている。それよりも低い賃金では、生活保障の支給額を下回ってしまうので、働く意味がない。こうして、カウンシルフラットで生まれた子供は、またカウンシルフラットで自分の子供を産むことになる

貧困の再生産が、
 手厚い福祉政策の失敗
にあることがわかる。

なお、最後にgrimeファンのbcxxxさんのtweetについて、実体験を元に、次のように記している。


最後に、下のtogetterで見つけた以下のコメントについて。

 火がつけば爆発するしかないほどの不満を溜め、失うものが何もない奴らがこれだけの数居るんだよ。社会がそれを生んだ。(中略)問題は目の前にそのままの姿である。こいつらのYouTubeを見ろ。音楽を聴け。睨みつけてくる視線に自分をさらせ。

http://togetter.com/li/172301
 この人の書いたラップの話は、今まで全く知らなかった分野な事もあって新鮮で、興味深く読んだが、このコメントには一言申し上げたい。無茶言うな。暴動明けの火曜日の朝にCamden Townの駅で暴徒の一人とばったり顔を合わせたが、彼の睨み付ける視線にどう応えろと言うのか。プラットフォームのあちこちにどかどか蹴りを入れながら、肩で風を切って周囲にガンをたれながら練り歩いていったが、一個人として彼を見れば、まだ自分を抑制できないただの子供であり、仮にポケットの中に盗品が入っていれば犯罪者に過ぎない。彼らをひとりの人間として直視するなら、そういう扱いにならざるを得ない。復讐の対象にならざるを得ない。むしろ、彼らを一個人ではなく社会現象の一部として扱った方が、まだ冷静な判断は下しやすくなるのではないかと思う。

bcxxxさんの一連のtweetについては以下に。
 2011-08-11 イギリス在住の元国連職員May_Romaさんがtwitterで逐次語るロンドン暴動(その2)東京在住のgrimeミュージックファンbcxxxさんの反論→掠奪防止のボランティア轢き殺される
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2011/08/may_romatwitt-1.html

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