日中関係の改善は世論対策で「国民感情の改善に向けた交流促進」@外務省 『中国嫁日記』あたりが使われる?
先日、職員がネコミミ装備でコミケを取材した外務省だが、
日中関係改善のためには「国民感情の改善に向けた交流促進」が必要
とのことで、今後いろいろやるつもりらしい。朝日より。
日中の改善、市民の交流から 外務省、世論対策を強化
2011年8月22日1時2分中国・韓国への親近感
冷え込んでいる日中間の国民感情を改善させようと、外務省が両国の市民らに直接交流を働きかける試みを強化している。日中間の「戦略的互恵関係」推進には、世論の理解と支持が不可欠とみているためだ。
「日中間の人的交流がさらに拡大することを期待しています」。外務省の山花郁夫政務官は10日、中国人観光客の査証(ビザ)発給緩和を発表した。ビザ緩和を観光業振興だけでなく、中国人の対日理解の促進にもつなげたい考えだ。
外務省は1月、対中政策の新たな3本柱を決め、その一つに「国民感情の改善に向けた交流促進」を据えた。「対立より協力した方がお互いの国益は増大するというのが戦略的互恵関係。国民の理解や支持なしに進めることは難しい」(外務省幹部)ためだ。
まあ、
直接会えばわかる
という考え方は実はとってもキケン。
中国の場合
行って吃驚シリーズ
が、地雷のように仕掛けられてるからな。最初の洗礼は
トイレで紙を便器に捨てられない場所がたくさんある
という、普通の都市生活をしている日本人には耐えがたいところからだろう。目の前にあるゴミ箱に使用後の紙を捨てる。あとは
かなりのランクの機関でもトイレットペーパーがない
というのも、なかなか凄い。日本で「国会図書館」に当たる
北京の国家図書館のトイレの凄さ
というのは、心胆寒からしめるレベルだけど、改善されたかな。去年行って唖然として帰ってきたけど。日本人は
衛生面に厳しい
ので、生理的な不快感を得ると、それだけで、イヤになっちゃう人もいるわけだ。
中国に慣れていて、中国語が出来る日本人でも、どこかの店等に行った時、まず確認するのが
トイレがどのレベルか
である。チェックするのは
・物理的に使えるか(鍵が壊れている程度はごく普通)
・掃除されているか、不潔ならどの程度の不潔さか(足を踏み入れられない程度なのはNG)
・水洗式なら、水がちゃんと流れるか
・紙が置いてあるか
・手が洗えるか
・トイレの行き来の間やトイレに危険はないか(共同トイレの場合等は、トイレそのものが妙な溜まり場だったり、経路の途中で身の危険が及ぶこともある。日本でも夜の公園のトイレは危ないのと一緒)
といった項目である。
大体、中国からの留学生が、日本に来る前は
わたしの故郷の〜という町はとてもキレイです
と胸を張ってたのが、日本に来ると考えが変わっちゃうのは、こうした日本の徹底した衛生環境整備意識にある。
もし、災害等で、いまあるシステムが使えなくても、できるだけ
衛生管理を徹底する方向にしようとする
のは、この50年くらいで、多くの日本人の意識にすり込まれている。
日本人が衛生面に厳しいことは、台湾でもよく知られていて、去年、日本にも支店を持つ、小籠包で有名な
鼎泰豊の本店
に行った時、トイレに行列が出来ていた。何かと思ったら
トイレ監視係
が立って、一々トイレをチェックして、簡単に清掃してから次の人に使わせていたのだ。どうやら
一部マナーの悪い客
がいて、
その後にトイレを使った日本人客に不評
だったのが原因ではないか、というのが現地在住の友人の見るところだ。友人は
たぶん、最近増えてる陸客(大陸からの観光客)がトイレでなんかやったんじゃないの
と言っていたが、そこは不明だ。ただ、以前はトイレの監視係なんていなかったそうだ。
トイレが汚い
となると
じゃ、そこのお店行くのは辞める
という人が出てくるのが、日本人だ。
トイレチェックの人を置くことで、客離れがなくなる
のであれば、あとはソロバンを弾いて、どっちが得か決めるのは経営者の判断である。
民間交流でいくらイベントをやっても
トイレのような「普段の生活がモロに出る部分」で、しかもそのダメージが破壊的な部分への対処
は、難しい。外務省は
中国人留学生を迎えた大学が、最初に行う生活指導の一つが「使用した紙は便器に捨てなさい。三角コーナーやゴミ箱に捨ててはいけない」で、これをおよそ半年は続けないと効果がない
ってことは、知ってるのかな。
日本に来る留学生が最初に起こすトラブルの一つがこの
トイレ周りの問題
である。そして
公衆衛生上も、掃除をするヒトが直接排泄物に触る危険のある中国の習慣
は、学校等集団生活をしている場所では好ましくない。
もし
留学生には部屋を貸さない
という家主さんがいるとすれば、
単なる偏見
なのではなく、その何割かは、実際に部屋を貸した時に起きた
トイレ問題
に起因してるだろう。日本のトイレは、紙を便器の外に放置してもよい構造になってないので、これをやられると、後が大変なことになるのだ。実際、そうしたトラブルがあったことを知っている。最近は
一流大学や研究機関のトイレにも「排泄物の付着した紙等をゴミ箱に廃棄するな等等のはり紙」がある
ところを見ると、教育水準の高低とは関係なしに、確実にこのトイレ問題は広がっている。ある研究機関でこの手のはり紙を見たときは、このはり紙が掲示されるに至るまでの清掃の方のご苦労を思いやって涙が出そうになった。清掃担当の方たちは、
まさかエライ学者先生がトイレをこんな形で汚すなんて
と思ってらっしゃっただろう。ある時期までは我慢して掃除されていたのだろうが、あまりにも度重なるので、機関の管理部に掛け合って掲示が行われたのだと思われる。日本では
教育水準と衛生観念は比例する
と思われているので、この手のはり紙は大学や研究機関にとっては屈辱以外の何物でもなかっただろう。国際化とはいえ、しんどいところだ。日本では、一般的に
トイレの汚いところや家は文化水準が低い
と考えられているから余計だ。
はり紙なんかしなくても、清潔に保たれている
のが、日本で望まれるレベルである。はり紙がある時点で、
掲示を出さなければならないほどモラルの低い人がここに来る
ということになって、印象が悪くなる。
中国の大学や機関だと逆に
紙は便器ではなく、ゴミ箱にすてろ
と書いてある。日本人等外国人は、便器の中に捨てるので、これが度重なると、今度は
便器が詰まる事故が多発して、トイレが使えなくなる事態になる
のである。中国のトイレは、たいてい一つか二つは詰まって使えないのだが、全部使えないとなると、これは大問題だ。トイレットペーパーが流せない紙質なので、郷に入れば郷に従え、いやでもゴミ箱に紙を捨てるしかない。
来日直後の数ヶ月に起きるトイレ問題だが、やってる本人たちは、まだ日本の習慣に慣れてないし、日本語もそう通じなかったりする。そうすると
なぜ自分たちが、中国で普通にやってることをやっただけなのに、日本でこんなに文句を言われるのか判らない
ので、余計に揉めるのである。基本的に
日本語能力が低ければ低いほど、この手のトラブルは深刻化する
傾向がある。文化の違いというよりも、日本語能力の問題で言ってることが通じないのだが、
日本人に馬鹿にされたと思い込む
向きも少なくない。そうなると、更に事態は悪化する。
ともかくも
直接民間交流をやったからといって、両国関係が改善する世論作りに貢献しない
どころか
逆に、キライになっちゃう人が出る恐れ
がある。それほど
排泄物処理の問題は大きい
のだ。だって、日本人同士でも
震災で避難所から高齢者や身障者が出ていった理由
が
排泄の問題
だったりするわけだからね。身障者のトイレと避難所の問題については、産経の以下の記事に。
被災障害者の今 (中)「動くだけで迷惑がかかる」と避難所去る
というわけで
外務省のキレイ事の「世論誘導」
に誰がつきあわされるか、という話だけど
『中国嫁日記』
辺りが、狙われるんじゃないかな。
世論誘導アイコンとしては、とっても使いやすいからね。
細かく見ていくとやや問題はあるんだが、あんまりエグい話も出てこない。そういう意味では、外務省好みかも知れない。
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コメント
国試休みにネパールにいって、おどろいたのは、某有名な観光広場のお寺が、トイレになっていて、ウンコだらけだったこと。
そして、トイレにトイレットペーパーを流しちゃいけないこと。
ま。日本でもトイレに流しちゃいけないポケットティッシュがあることは、以外と知られていませんね。
あと、日本のトイレ、、オムツを捨てられるトイレって以外とありませんでした。
旅行にいっても、ゴミ袋を持参して、2重に小袋にいれた使用済みオムツをゴミ袋にさらに2重にしてから、旅館で捨てた時には、こどもに優しいっていうのは、トイレにオムツ交換台があるだけじゃなく、オムツを捨てるゴミ箱があることだな、、と思いました。
投稿: 麻酔科医 | 2011-08-23 09:15