中国のペスト@隋代
山本太郎『感染症と文明』(岩波新書1314)を読んでいたら、William. H. McNeillの『疾病と世界史』(佐々木昭夫訳 中公文庫)の孫引きで
隋代に中国でペストが流行した
と書いてあるんだけど、『疾病と世界史』の該当個所を当たると、これまた
王吉民・伍連徳 "History of Chinese Medicine"(1932)
の孫引きで、注には、伍連徳の英訳を引用して、
出典は巣元方『諸病源候論』
としてある。ところが、手元にある宋版『諸病源候論』では該当個所が見つからない。
もし、伍連徳の英訳した『諸病源候論』の該当個所を御存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示下さい。
一応「桃李」で原文を調べたのですが、見つかりませんでした。
伍連徳が見た『諸病源候論』は恐らく通行本だと思うんだけど、一体何を見たんだろう。
ついでに。
山本太郎『感染症と文明』は古い時代のペストに関する記述が旧来のまま。
最近、新しい観点が出ているのと、立場の違う見方があるので、その辺りはこちらを参照して下さい。慶應の鈴木晃仁さんのblog「身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌」の
ユスティニアヌスのペスト 2009/8/13(木) 午前 10:03
ユスティニアヌスのペスト2 2009/8/14(金) 午後 2:59
山本太郎氏、本書内で鈴木晃仁さんの他の論文には触れてるんだけど、このblogの記述には気がついてないのかな。
個人的には、大陸との人の行き来がある状態で、日本に長期間ペストが入らないのは変なので、少なくとも隋代という非常に古い時代には中国にはペストはなかった、と思う。
日本は遅くとも唐という古い時代から、中国から大量に書籍を輸入している。書籍を運ぶ船底には必ず鼠が一緒にくっついて来る。それでも、ペストが入らないのだから、おそらく中国沿海部にペストが来るのは、相当遅いのではないか。
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