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2011-12-21

金正日総書記死亡(その6)対社会主義国家リテラシーの劣化 日本のメディアは何してた→防衛省も大丈夫か→民主党政権は「朝鮮半島有事研究」を不作為でスルー

金正日総書記死亡の予告が
 一昨日10時に朝鮮中央放送等であった
という一報が流れたとき、
 放送の「状況」
については触れられていなかった。
ところが、
 重大放送に伴う様式を満たしていた
というではないか。
共同より。


死去発表の可能性察知 韓国脱北者団体

2011.12.20 01:23

 北朝鮮の金正日総書記の死去に絡み、韓国の北朝鮮脱出住民(脱北者)でつくる団体「NK知識人連帯」が19日、北朝鮮メディアが同日正午(日本時間同)に「特別放送」で死去を伝えたのに先立ち、北朝鮮が金総書記の死亡を明らかにする可能性が高いとインターネットで伝えていた。
 韓国では、政府が正午の報道を知るまで死去を全く予想していなかったことへの批判が強まる一方で、NK知識人連帯の分析力を評価する声が出ている。
 NK知識人連帯は同日午前11時40分ごろにウェブサイトに「金正日死亡を予見」との記事を掲載した。
 北朝鮮の朝鮮中央テレビなど国営メディアは午前10時に「きょう正午にテレビとラジオで特別放送がある」と予告。NK知識人連帯はこの予告でアナウンサーが非常に悲痛な語調と表情で予告をしたため「1994年の金日成主席死亡当時(の予告)を思い出させた」ことが、予想につながったとしている。(共同)

別にNK知識人連帯でなくても
 予告で悲痛な語調と表情をしていた
なら
 重大人物の死亡報道に決まっている
というのが
 社会主義国家での「報道」の常識
である。

ま〜、ベルリンの壁が倒れてから20年以上経過してるから
 社会主義国家の情報をあらゆる「微妙なサイン」からどう読み解くかというリテラシー
は、
 いまのマスコミからは失われている
ってことですね。てかさ、
 ベルリンの壁がなくなった後に入社した記者がいまや40代
だもん。
それにしても
 管理職クラスなら「常識」のこのリテラシー
なのだから、
 誰もラヂオプレスに追加で確認を入れなかった
ってことだ。

マヌケにも程がある。

で。
防衛省も、反応が今一だった模様。産経より。


「本当なのか」 防衛省職員、テレビにくぎ付け

2011.12.19 13:02
 北朝鮮の金正日総書記死亡が報じられた19日正午すぎ、東京・市谷の防衛省では職員らが一斉に立ち上がった。「本当なのか」「特別放送はこれだったのか」。ニュースを伝えるテレビにくぎ付けとなり、驚く声とともにため息がもれた
 自衛隊は軍を中心とする北朝鮮の動向を注視、警戒態勢を強めるか見極めるとみられる。
 同日午前、北朝鮮の国営メディアが「正午に特別放送がある」と報じると、防衛省・自衛隊の幹部にはざわつきも。制服組幹部の一人は「先週末の段階では、北朝鮮動向に特別なものはなかったのだが」と不安を隠さず、内局幹部も「内容は不明だ」とだけつぶやいていた。

なんてか、ミサイル撃たれている割には、情勢把握が出来てないのね。

更に、わが民主党政府。同じく産経より。


日米の危機意識くっきり 政権交代 ふっつり消えた朝鮮半島有事研究

2011.12.21 01:06

 政府内で朝鮮半島有事に関する本格的な研究が始まったのは、平成8年5月。橋本龍太郎首相(当時)は邦人保護・救出、大量避難民対策など4つの課題の検討を指示し、防衛庁(現防衛省)などで北朝鮮有事の際に(1)北朝鮮の保有船舶数から最大何人の難民流入が予想されるか(2)海流上、難民は日本のどこに漂着するか(3)難民受け入れ施設の確保-などのシミュレーションが重ねられた。
 18年9月、安倍晋三首相(当時)は政府に拉致問題対策本部を設置。情報収集などの予算も大幅増額し、拉致被害者救出などに関しひそかに検討を重ねた。

 金正日総書記が建国60年の行事に欠席し、健康悪化説が伝えられた20年9月には麻生太郎首相(当時)が内閣官房を中心に極秘チームを作り、対応策を練った。

 ところが、21年9月に民主党政権が発足すると「研究はぷっつりと途絶えた」(防衛省幹部)。

 「万一の時に、拉致被害者をいかに救出できるか準備を考えておかねばならない」。22年12月10日、菅直人首相(当時)は拉致被害者家族にこう大見えを切ったが、その後、政府内で検討した形跡はない。
   × × ×
 民主党の危機意識は政府以上に薄い。20日午前に国会内で開かれた民主党外務部門会議には十数人の議員しか出席せず、「自衛隊を含め、日本はどういう態勢をとっているのか」と“素朴”な質問ばかり。拉致問題の今後の見通しについては質問さえなかった。
 「権力の交代時期にはとかく波風が立ちやすい。いまなすべきは重大な事件が発生した場合に日本がいかなる姿勢を打ち出すべきか、あらためてシミュレーションしておくことだ」
 野田佳彦首相は就任後に寄稿した月刊誌「Voice」10月号にこう記した。権力の交代で波風が立っているのは北朝鮮ではなく日本ではないのか。(阿比留瑠比、加納宏幸、ワシントン 佐々木類)

地震も原発ももちろん喫緊の課題だが
 朝鮮半島有事は常に対応可能な状態にしておかないといけない問題
じゃないの。海を隔てた隣の国じゃん。この
 不作為のすばらしさ
を見る限り、民主党は、
 朝鮮半島有事が「起きない前提」で座視していた
としか考えられませんね。それにしたって
 20日の段階でも、のんきに構えている
ってのは、万が一、強襲上陸作戰とか起きても、
 そんなはずはない、何かの間違いだ
とか、言うんだろうな。冗談じゃないぜ。

先軍政治を謳う北朝鮮で、
 喪が明けたら、金正恩大将のまず一発目の手柄
ということにでもなれば、そのとき日本が攻撃対象にならないという保証などどこにもない。
しかも
 喪が明けるまで何もない
というのは、きわめて希望的観測であり、果たして
 青年大将金正恩が権力を掌握できるか
という辺りさえ危うい。つまり
 いつ、何が起きてもおかしくない状況にすでに突入している
ってことだ。軍部の一部が暴発する危険性は常に勘定に入れておかねばならない。

全然大丈夫じゃないよ、民主党政権。

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