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2011-12-20

幕末から明治・大正にかけての手稿を読む

前にも言ったけど、わたしは史学のdisciplineを受けていない。また、国文出身でもない。なので、学生の頃には、文書や手稿、木簡で
 手書きの文字を読むための基礎訓練
を受けなかった。

中国学は版本学で、manuscriptは相手にしなかったから、敦煌から大量の古代の文書が出てくるに及んで、しばらく困った。日本は
 長く写本の文化が残っていた
ので、手書き文字を読む訓練が必要で、国史・国文では、2〜3回生にかけてそれをやる。日本人が敦煌文書の解読に力があったのは、この
 手書きの文化
が寄与するところ少なしとしない。
木簡の釈読は、奈文研に通って習ったのだけれども、基本的な
 文書を読む力
が弱い。京大東大は、木簡を読む時に『五体字類』を使うのが慣例のようで、わたしも買って今でも使っている。ただ、『五体字類』は
 本当に基礎の基礎の崩し
しか出てこないから、また別に字書は必要で、たとえば、今奈文研で公開している
 『木簡画像データベース・木簡字典』『電子くずし字字典データベース』連携検索
や、
 木簡画像データベース・木簡字典
そして、最近公開された
 墨書土器字典画像データベース
のような
 工具書ならぬ画像データベース
などが役に立つ。特に墨書土器は読みにくいからな。

で、最近、行きがかり上、
 清末と幕末〜明治、大正に掛けての手稿
を読むことが多くなった。これも書き手の出身階層や、書かれたモノによって
 文字の書き方が違う
わけで、『五体字類』等では、太刀打ちできない
 時代特有の書き方
がある。大正年間の手稿でも、高齢者だと教育を受けたのが幕末になるわけで、書き方は江戸期のものに準ずる。しかも、こういう中にこそ、達筆な人がいたりするわけで、これは定型の崩し方のパターンを、身体で覚えて認識するしかない。中国人と日本人では崩し方の傾向が違うから、これもともかく読んで慣れるしかない。
文献学は基本的に体育会系である。

最近、twitterで専門の字書を勧めているのを見掛けたので、amazonで購入した。
 増訂近世古文書解読字典(柏書房)
である。確かに便利だ。便利すぎるので、ひょっとしたら、京大辺りの近世史で学生がこれを使っていたら怒られる類の字書かも知れないが(前にも言ったけど、学生時代、中文の研究室で『大漢和辞典』を引いてはいけなかった。『大漢和辞典』のネタ元は『佩文韻府』だから、まず『佩文韻府』で調べてから、原典に当たれ、という教育方針だったのである。手抜きをすると怒られるのが京大文学部生教育の基本だった)、近世史で飯を食っているならいざ知らず、元々は門外漢で、隣接分野から文献学的立場で読まなくてはいけなくなったのだから、許して貰うことにする。

木簡は、文書に比べると遙かに文字が読みにくいので、調査を重ねて、量を読んだら、幕末の文書を読む速さもかなり上がったのだが、それでも、奈良時代にはない特有の書き方があるから、そこは、補強しないとね。
専門外から、直接、専門の人たちが触る生の文献をいじっているわけで、読むのに、多少苦労するのはしょうがないことだ。

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