2060年生れは平均寿命男性で84.19歳 女性で90.93歳@国立社会保障・人口問題研究所
なんとも
脳天気な統計
が発表された。厚労省の国立社会保障・人口問題研究所が今日発表したもので、
日本の将来推計人口(平成24年1月推計) 平成23(2011)年~平成72(2060)年
である。
概要はこちら。
『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』(結果のポイント PDF)
『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』(結果の概要 PDF)
ま、まずは人口ピラミッド。
これは2010年のもの。
こちらが今から20年ほど後の2030年のもの。
上記の概要では
平成22(2010)年の人口ピラミッドは第1次ベビーブーム世代が60歳代の前半、第2次ベビーブーム世代が30歳代後半にあるが、出生中位推計によってその後の形状の変化を見ると、平成42(2030)年に第1次ベビーブーム世代は80歳代の前半、第2次ベビーブーム世代は50歳代後半となる。したがって、平成42(2030)年頃までの人口高齢化は第1次ベビーブーム世代が高年齢層に入ることを中心とするものであることがわかる(図1-5(2))。
と説明している。要するに
団塊世代が頭につっかえて日本の高齢化を驀進させる
って話ね。下のグラフで
上部で角のように突き出ている
のが
団塊世代
である。いかにその数が多いかがわかるだろう。
でだ。そうなると
団塊世代に向けられる「医療資源」の問題
が出てくるわけだ。
誰だって、年を取れば身体のあちこちが悪くなり、傷み、病院にかかることが増える。抵抗力も弱まる。骨折もしやすい。医療サービスを受ける頻度が高くなるわけだが
団塊世代の人数に見合うだけの医療従事者が日本にいるのか
って話。今でもすでに
医師不足・看護師不足は改善されてない地域がある
わけなのに、これだけ巨大な
いつ病気になってもおかしくない高齢者の塊
があるってことは
高齢者に対する医療資源が枯渇する恐れが大きい
ってことに他ならない。つまり
厚労省の国立社会保障・人口問題研究所の推計
とは
そうした現実的な医療資源の問題はガン無視
して
今と同じもしくは更に「進歩した医療」を高齢者が「等しく受けられる」という前提
で計算しているとしか思えないわけだ。
かつ
結婚年齢の上昇
についても、次のようなことを言っている。
女性の平均初婚年齢は、昭和35(1960)年出生コーホートの25.7歳から平成7(1995)年出生コーホートの28.2歳まで進み、平成22(2010)年出生コーホートまでほぼ同水準で推移し以後は変わらない。
推計では
1995年生の女性の初婚年齢は平均28.2歳に上昇する
というわけだ。当然、
晩婚化による高齢出産の増加およびそれに伴う母児のトラブルの増加が起きる
ことになるのだが、
これもガン無視
している。高齢出産によるトラブル増加は、いかに医学が進歩しようとも
人間が生物である以上、避けられない問題
なわけなんだけど、そこは全く考えてないよね。
単純に
年齢だけの要件
で作られた
年少人口・生産年齢人口・老年人口のグラフ
はこれだ。
年少人口や生産年齢人口には、
実際には将来労働力となるのが難しい人々も含まれている
わけで、その比率がどうなるのか、そしてそれらの人々を誰が支えるのかは、全く考慮されてない。
こうした
とっても脳天気な推計
で、2060年生れの人達は次のような
長い平均余命を宣言
されている。
死亡中位の仮定について
標準的な将来生命表に基づくと、平成22(2010)年に男性79.64年、女性86.39年であった平均寿命は、平成32(2020)年に男性80.93年、女性87.65年、平成42(2030)年に男性81.95年、女性88.68年となり、平成72(2060)年には男性84.19年、女性90.93年となる(表4-2、図4-2)。
どう考えても
絵に描いた餅
じゃないのか。すでに日本は
死ぬ人の数の方が多い国
になっている。今だって
焼場が回らなくて、葬儀の日程を組むのが難しい
状況が、大都市圏ではあるのだ。
死を看取る施設も人的資源
も
死を送る施設も人的資源
も、
どちらも足りない
のである。2060年の日本には、果たして
日本の人口に見合うだけの医療サービス等や福祉のシステムが存在しているのか
どうかすら危うい。
しかし、厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は
いつまで「右肩上がりの神話」を信じている
のやら。
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