中国 アフリカ連合(AU)本部ビル建設費2億ドルを援助 ついで今後3年間に6億元援助→追記あり
1990年代初頭、北京大学には
アフリカからの留学生
の姿が少なくなかった。大抵は
国際政治学
を学んでいたことになっているのだが、実際は、アフリカの有力者の子弟が「遊学」をしていたのであって、他の外国人留学生は、彼らが何を勉強しているのか、よく知らなかった。旧東欧からの留学生もいて、時にはキャビアを安値で捌いてくれたりした。
アフリカからの留学生は80年代には、中国のあちこちの大学にいた。
彼らはもう40代となり、たぶん、一部は国の中枢に近いところにいるだろう。
だからこそ、このニュースが成立する。時事より。
本部ビルに続き72億円援助=中国、AU連合に表明【北京時事】29日夜のアディスアベバ発新華社電によると、エチオピア訪問中の中国共産党序列第4位の賈慶林全国政治協商会議(政協)主席はアフリカ連合(AU)首脳会議開幕式で演説し、中国政府が今後3年間でAU側に6億元(約72億円)の無償援助を実施すると表明した。
中国政府は、建設費2億ドル(約154億円)のAU本部ビルを提供。賈氏は28日の落成式で「中国政府・人民のアフリカ諸国・人民への貴重な贈り物だ」と強調。新華社電は20階建ての同ビルをわずか2年半で完成したことを「『中国のスピード』が人々を驚嘆させた」と紹介した。
一方、世界第2の経済大国である中国はその資金力をてこに、資源が豊富なアフリカ諸国との関係強化を加速させているが、賈氏は演説で「中国とAUとの戦略対話メカニズムをさらに充実させたい」と宣言。「中国人民とアフリカ人民は良きパートナー・兄弟であり、その友好はキリマンジャロのように高くそびえ、長江や黄河のように勢いよく流れる」と述べ、団結や協力をさらに強める意向を示した。(2012/01/30-10:11)
いまの中国にとって
2億ドル
とか
6億元
は、あっさり出せる金額である。てか
6億元
って、中国の汚職の金額からすると、まあ普通、村単位の汚職ですねって話で。最近のニュース。1/20付東京新聞より。
「汚職糾弾」省内飛び火 中国・広州「1カ月内に調査結果」2012年1月20日 朝刊
【広州(中国広東省)=今村太郎】中国広東省広州市望崗(ぼうこう)村の住民数千人が十七、十八の両日、村トップに当たる共産党村支部書記の汚職調査と更迭を求めるデモを同市庁舎前で行い、市当局は「一カ月以内に調査結果を出す」と確約した。住民が自治組織をつくって汚職を糾弾し、村幹部の更迭を勝ち取った同省陸豊市烏坎(うかん)村の動きが飛び火した格好だ。
望崗村の住民らによると、共産党村支部書記は数年前から公有地の畑や山を勝手に親族企業に売却したほか、地下鉄駅の建設や周辺開発に伴う土地の立ち退き補償金などを着服し、私腹を肥やした。着服額は「少なくとも四億元(約五十億円)に上る」という。
村の中心部には、書記が着服金で建てたとされる六階建ての革製品工場がそびえ、駐車場にポルシェやレクサスなど高級車が並ぶ。書記はほかに広州市中心部に別宅を所有しているという。村民の一人は「われわれは畑を奪われ、その補償もない。書記と親族企業だけ潤った」と憤る。
住民は昨年八月と十一月にも市当局に調査を求めるデモを行ったが、公安当局に排除された。昨年末、烏坎村の住民が広東省政府に訴えて幹部の更迭に成功したことを知り、再度、大かがりなデモに踏み切ったという。
広東省では烏坎村のケースを受け、省共産党委員会の朱明国・副書記が昨年末、省内の党幹部らに社会矛盾の解決を求める訓示を行っており、今回の広州市当局の対応もそれに従ったとみられる。望崗村の住民は「烏坎村の成功に勇気づけられた」と話しており、地方幹部の汚職を糾弾する動きが中国各地に広がる可能性がある。
というわけで、豊かな村では
4億元の汚職
なんてことが実際起きてるわけで
今後3年間に6億元支援
といっても、最近の中国の現状から見ると、たいした額ではないと思ってしまうよね。ちなみに、昨年5月に発表された
汚職金額ランキング
は、更にとんでもない。レコードチャイナより。
汚職官僚ランキングが話題に、トップはなんと500億円の不正―中国
配信日時:2011年5月7日 23時16分2011年5月6日、財新網が発表した中国汚職官僚ランキングが話題となっている。中国網が伝えた。
先日、李華森(リー・ホアセン)元山東省日照市出入境検験検疫局党組書記に無期懲役の一審判決が下された。約1億5800万元(約19億7500万円)の横領、収賄、乱用が認定された。天文学的な金額となったが、これでも歴代汚職官僚トップ10には入らないという。
不正金額歴代トップの汚職官僚は元中国銀行広東開平支店長の余振東(ユー・ジェンドン)。40億元(約500億円)もの金額を横領、乱用していた。以下、ずらりと汚職官僚が並ぶが、10位の元中国人民解放軍海軍副司令長官の王守業(ワン・ショウイエ)でも1億6000万元(約20億円)を収賄。李華森は200万元(約2500万円)差でトップ10圏外となった。(翻訳・編集/KT)
この記事の元になった
億元貪官排行(億元汚職官僚ランキング)
の表を、大紀元が五位まで、文字化してくれている。(もとは画像)
1. 余振東,前中國銀行廣東開平支行行長。夥同許超凡、許國俊貪汚、挪[手那]用公款4.62億美元。判有期徒刑12年。
2. 黄清洲,原廣東省國際投資公司香港分公司副總經理,因貪汚、挪[手那]用公款13億港幣。案發潛逃泰國,於2003年10月押解回中國。
3. 陳滿雄、陳秋園夫婦,分別是原中山市實業發展總公司的經理和法定代表人。因挪[手那]用公款4.2億,陳滿雄判無期徒刑。陳秋園判有期徒刑14年。
4. 石雪,原海南華銀國際信託投資公司負責人,大連證券有限公司責任公司法定代表人、董事長。因貪汚公款2.6億元,挪[手那]用公款近1.2億元。判死刑,緩期二年執行。
5. 王寶森,北京市原副市長。貪汚公款25萬多元人民幣、2萬美元。挪[手那]用公款1億多元人民幣、2500多萬美金。自殺。
1位の余振東だと、AUビルをもう一棟建ててもおつりが来るくらいの汚職をしていたって話。
ということで、
AUへの援助は、今の中国に取っては「端金」
であり、要は
こうした「援助関係」を国際的に喧伝するメリット
のために、2億ドル出し、これから6億元援助するってことである。当然、
見返り
はあるだろう。何より
80年代から緊密に作り上げた「中枢部との信頼関係」
って奴が効く。
しかし、心配なんだけどなあ。
新華社電は20階建ての同ビルをわずか2年半で完成したことを「『中国のスピード』が人々を驚嘆させた」と紹介
って言うんだけど、中国の突貫工事の中身をいろいろ聞いたり見たりしていると、
工事に問題はないんだろうな
と、ドキドキするよね。
続き。(1/13 10:10)
SY1698さんから貴重なコメントを頂いたので再掲する。
中国とアフリカとの関係は、バンドン会議以来の腐れ縁とはいいませんが、1960年代からすでに大量の援助をアフリカに行なっていた事実がありますので、今さらながら驚くには値しません(タンザニア鉄道は中国の援助で建設されたことは有名です)。むしろ、このタイミングで何をしようとしているかが気になります。
SY1698さん、コメントありがとうございます。
なんで今時、ってことですが、園田義明さんが、今日付の次の記事を貼り付けて下さっています。
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/31/6313697
中国のアフリカでの権益拡大を「全アフリカの支持を受けて」行っていることにしたい、アリバイ作りでしょうかね。
アフリカへ行っている賈慶林は、29日はスーダンの大統領とも会ってます。
いろいろ生臭い話がこれからも出てくることでしょう。
当然、他国からの反発もすでに起きています。1/30付日テレニュース24より。
アフリカ連合本部ビル完成 中国が全額負担
< 2012年1月30日 8:57 >
(略)
ロイター通信などは「石油、レアメタルといったアフリカの豊かな資源を狙った動き」と論評している。これに対し、中国の主要メディアは「我が国は資源のない国とも関係を強化している」などと反論している。
この辺り、詳しくないのですが、中国が狙うのはもちろん
資源だけじゃない
でしょう。
日本のメディア報道だけだと全然わからないので、欧米と中国のメディアの報道を今後注目したいところです。
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コメント
中国とアフリカとの関係は、バンドン会議以来の腐れ縁とはいいませんが、1960年代からすでに大量の援助をアフリカに行なっていた事実がありますので、今さらながら驚くには値しません(タンザニア鉄道は中国の援助で建設されたことは有名です)。むしろ、このタイミングで何をしようとしているかが気になります。
投稿: SY1698 | 2012-01-30 22:11
情勢ご教示いただきありがとうございます。
1960年代は国際社会への復帰を目的としてアフリカ各国に近づいた要素が強いですが、ここ近年は資源関係の権益拡大と、それ以上に(ご紹介いただいた記事拝読しました)シーレーンの拡大というところが本質なのでしょう。世界最大の外貨保有国なので、援助ならいくらでもできますし(なおかつOECDルール=ひも付き借款の制限などもガン無視)。
投稿: SY1698 | 2012-02-01 01:32