「我が方の損害軽微なり」「年金試算を当面公表しない」で「年金改革」って何
事は財政と運用の問題なんだが
年金試算を当面公表しない
と、野田首相が言っている。普通に考えて
試算を公表しない
って
試算を公表すると超マズイ何かがある
と、勘ぐられるのがオチじゃないのか。読売より。
年金試算を当面公表せず、「一体改革とは別」と野田首相は29日、首相公邸で政府・民主三役会議を開き、民主党が政権公約(マニフェスト)で掲げた年金制度抜本改革には消費税率を最大7・1%引き上げる必要があるとする試算を当面公表せず、引き続き対応を協議する方針を決めた。
2015年に消費税率を10%に引き上げる社会保障・税一体改革と試算は別との認識で一致した。年金抜本改革の全体像を示すことは確認したが、試算の公表を求めていた野党側は反発している。
会議では、民主党の輿石幹事長が「国民は消費税が10%に上がって、(さらに)2、3年後に6、7%上がるように見る」と述べ、試算の公表に慎重な考えを示した。前原政調会長も「公表した場合、一体改革の議論に集中できなくなる可能性がある」と同調した。首相も「(公表には)メリットもデメリットもある。状況の推移を見極めよう」と述べ、野党の出方も見極めた上で判断することにした。(2012年1月30日03時08分 読売新聞)
ええっと、
どうして正直な数字を出せないのか理由を説明
しないといかんのじゃないの。
昨日のNHKニュースより。こちらは財務省の試算。
消費税引き上げても“財政難続く”
1月29日 16時18分消費税率を引き上げた際の国の財政は、税収が今より10兆円余り増えるものの、依然、歳入のうち4割以上は、借金にあたる国債の発行に頼らなければならないことが明らかになり、財政健全化のためには、歳出の抑制が欠かせないことが改めて浮き彫りとなっています。
これは、新年度=平成24年度予算案の国会提出に合わせて、財務省が行った試算で明らかになったものです。それによりますと、今の政府・与党案のとおりに消費税率を2014年4月に8%、2015年の10月に10%まで引き上げた場合、2015年度・平成27年度の税収は、今より10兆円余り増え、52兆8000億円となります。しかし、高齢化に伴う社会保障費の増加などで、同じ2015年度の当初予算案は一般会計の総額が初めて100兆円を超えて101兆4000億円となり、歳入のうち45兆4000億円、率にして44.8%を国債発行に頼る計算になります。国債への依存度は、新年度予算案で過去最悪の49%ですが、今回の試算は、消費税率を10%まで引き上げても、借金依存の国の財政状況が大きく改善するのは難しいことを示しており、財政健全化のためには、社会保障制度の見直しやムダの削減など歳出の抑制が欠かせないことが、改めて浮き彫りとなっています。
で、財政が得意だとは思えない民主党政権が
改革で幸せな社会実現
とぶち上げて政権をとったものの、実際にいろいろやってみると
小手先の操作では、到底マニフェスト通りにはいかない
ことに気がついたのはずいぶん前の筈だが、今になって
選挙が近い
と慌てだして
ちょっとでも「国民の負担」を言い出すと、次の選挙でボロ負けする
とばかりに、
大本営発表をやりたい
って話なんでしょうかね。
我が方の損害軽微なり
って言っても、結局は
仕分けが「機能しなかった」
ように、不信が増すばかりである。てか、輿石幹事長の
「国民は消費税が10%に上がって、(さらに)2、3年後に6、7%上がるように見る」
って
誤解されるから、説明責任は果たさなくていい
って言ってるのと同じなんですが、要するに
政治のことは難しいから、国民は知らなくていい
ってことですか? この21世紀にどこの
独裁政権
だよ。つか
その前に「国民の理解を得られるよう、最大限努力する」
ってのが、政治家の役割じゃないのか。それとも
日本は政治が「理解できない程度」の国民しかいない
って言いたいわけ? たしか、輿石幹事長におかれましては
小学校教諭
の経歴をお持ちだったはずだが、教育現場にいたご本人が
日本の教育は大失敗
していて
国民は政治を理解出来ない
し、そうした国民を大量生産したのに
初等教育の教員であった自分は関係ない
と、いうことですかね、ええ。輿石先生が小学校で教え始めたのは
1958年
だそうだから、その時7才だった子どもは現在
今年61才
である。ちょうど
団塊の世代(広く取って1946〜1954年生)末期
に当たる。そうすると、年齢的には現在は管理職だったりするわけで、
社会の中枢を担っている世代の教育に失敗した
というわけですか。
それとも、教育の問題は別にして、
税金だけは、文句言わずに払え
と言いたいわけ? 輿石幹事長の支持基盤日教組畏るべし。まさかとは思うが
組合費は文句言わずに払え。労働者の権利は守るから。
というのと同様の論理だとすれば、誰に対抗してるんだか。
で、輿石先生が小学校で教え始めた1958年入学の1年生(1951年生)は
ぎりぎり年金払い損にならない世代
に含まれるのである。1/26付朝日新聞より。
年金や医療、55年生まれ以降は負担超過 内閣府試算2012年1月26日23時52分
1955年以降に生まれた人は、一生を通じて受け取る社会保障サービスの「受益」よりも、保険料などの「負担」の方が多くなることが、内閣府の推計でわかった。2010年生まれの人では、生涯収入の13%分も「損」をすることになるという。
試算は、年金・医療・介護の3分野について、受給額から支払額を差し引いた金額が、平均生涯収入のどのくらいの割合になるかを世代別にはじいたもの。50年生まれは厚生年金の受給額が多く、社会保障サービスが負担を上回って、生涯収入の1%分は「得」をする計算だ。
一方、55年生まれ以降は「損」をする。85年生まれ以降の人は10%を超え、2015年生まれは13.2%までふくらむ。損のおよそ3分の2は、年金のマイナスが占める。
内閣府の推計の示すところは
現在の「世代仕送り方式」のままでは、損するばかり
だから
当然、わざわざ損する年金を払うようなお人好しの年金加入者が減る
ってことを言ってるわけで
抜本的な年金改革
は喫緊の問題なんだが、当の野田政権が
国民の人気取り
しか考えてないんだもんな。その上
年金試算を当面公表しない
じゃ、話にならない。
しかし
1955年生=今年57才
ですがな。
団塊世代のすぐ下からすでに「払い損」
なわけで、一体この国の
ぎりぎりになるまで、致命的な状態であることを国民に知らせない「芸風」
は
大本営発表以来、ちっとも改まっていない
ってことね。
しかし輿石幹事長がいつもエラそうなのは
61才以下はオレの教え子年代
だと思ってるからかね。国民もバカにされたもんですな。
| 固定リンク
コメント
人口ピラミッドをみるとわかりますが、もうすぐ団塊ジュニアが、生殖可能年齢を超えて、生殖可能女性の総数の激減がはじまります。
ここ数年は、団塊ジュニア世代の三十台後半の駆け込み出産がありましたが、今後は、ジェットコースターのように出産数が激減することになる予想もあるんです。となると、何十年もの予想で年金をいじるのは、無意味なんじゃないかと思います。
投稿: 麻酔科医 | 2012-02-01 14:20