めふん
めふんというと、
鮭の血合の塩辛
で、東北北海道では酒の肴である。昨日、居酒屋のメニューにめふんを見つけたので頼んでみた。かなり生っぽい造りのめふんだった。
めふんはアイヌ語起源(mehun)だ。
先ほどググってみたら、『延喜式』には
中男作物の「鮭背腸」
として出てくる。越中・越後はもちろんだけど、信濃にも「鮭背腸」が割り当てられているのが、特徴。
国立国会図書館のデータベース、近代デジタルライブラリーに収められている狩谷エキ[棭]斎の『箋注倭名類聚鈔』巻八龍魚部には、鮭は
[魚生]
という文字で出てきて、背腸については、同巻四飲食部魚鳥類に
氷頭 附背腸 本朝式云、年魚氷頭背腸
とあって、注に
年魚、鮭魚也。氷頭者、比豆也。背腸者、美奈和太也。或説、謂背爲皆訛也。
(年魚というのは鮭のことだ。氷頭は「ひず」と読む。背腸は「みなわた」と読む。ある説では、背という字を皆に書き誤ったために、「みなわた」となったと。)
とする。本朝式は、延喜式のことだ。
いまは、日本の北国でしか食べないものだが、歴史は古い。
鮭の血合の実際はこんな感じ。北海道の水産卸売メーカ「さかなだマート」のサイトより。
鮭の内臓
上から4枚目が血合の写真で、中骨から取り外したところ。これを塩辛にする。活きが落ちやすいので、獲れ立ての鮭で作らないといけない。
昨夜の居酒屋には、
ハタハタの飯寿司
もあった。残念ながら、ぶりこが散らばる子持ちハタハタの飯寿司ではなかったが、おいしかった。
通販でも入手可能だけれども、家だと、飯寿司を消費するのがわたし一人なので、ハタハタの飯寿司を頼んでも、味が変わらない内に食べきれない。ここ数年、口にしていなかった。
お正月は、子持ちハタハタか紅鮭の飯寿司をアテに、辛口の冷やがあると楽しいのだけれど、関東も関西も、魚の発酵食品を楽しむにはちょっと暖かすぎる。普段でも、鰊漬けを食べたいのだが、これまた、関東も関西も気温が高すぎて、味が変わりやすい。キャベツが凍ったくらいの鰊漬けは、冬場、最高なんだけどね。
昨夜は、めふんやハタハタの飯寿司など海の幸をアテに、「美稲(うましね)」と「まんさくの花」を傾けた。「美稲」も「まんさくの花」も、初めて飲んだのは、今は移転してしまってなくなってしまった、百万遍の琢磨でだった。「美稲(うましね)」が作られるようになったのは1996年からだそうだが、結構早い時期に、今は亡き琢磨の大将が
これちょっと面白いお酒です
といって、勧めてくれたのが口にした最初だったと思う。
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コメント
おいしそうですね。マグロの血合いはショウガをきかせて佃煮にするとおいしいです。鰹の中落ちを濃く味付けした煮物もおいしいです。大動脈が煮固まって、レバーみたいな感じになります。私の大好物で、昔は、魚屋さんで鰹の中落ちだけもらって煮て鍋いっぱい食べるのが我が家のごちそうでした。今は、鰹を1本仕入れてさばく魚屋さんも減り、貴重品です。
投稿: 麻酔科医 | 2012-02-29 07:42