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2012-02-23

容易にリストラされない日本の大新聞記者・主要TV局スタッフの給与は仕事のクオリティは別としていま1/4がリストラの憂き目に遭うアメリカのトップクラス記者と同等

日本のマスコミの劣化振りは、近年目を覆うばかりだが、
 大新聞の給与は極端には下がってない

 NHKの給与も大して下がってない
ので、
 20年も働くと、年収1200万円くらい
にはなる。

とはいえ
 日本のジャーナリズムに「世界を動かす」力
があるわけでもない。

さて、では、
 確実に、その記事が世界を動かす可能性のあるアメリカの有名新聞記者の給与
はどのくらいなのか。
現代ビジネスの牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」の記事
 新聞記者の4人にひとりがリストラされるアメリカ。日本と違って雇用と高給が補償されなくても、「記者は楽しくて仕方ない」ーー元ロサンゼルス・タイムズ経済部長インタビュー(後半)より。


ー新聞記者としての生活を振り返ると、経済面はどうでしたか。

ワルツマン まったく不満はありませんでした。十分にもらっていたと思います。新聞業界が苦境にあるとはいっても、ウォールストリート・ジャーナルやロサンゼルス・タイムズは有力紙であり、良い仕事に対してはそれなりの対価を払っています。そうでなければ紙面の質を維持できません。
 ロサンゼルス・タイムズ時代は経済部長でしたから、部下の年俸がどの程度かも把握していました。
 個人差は大きいですが、記者職では低くて6万ドル(1ドル=80円で500万円弱)から7万ドル、高くて10万ドル(同800万円)以上でした。ニューヨーク・タイムズからスター記者をスカウトしようとすれば、当然ながら年俸は跳ね上がります。小さな地方紙などと比べれば相当恵まれているでしょう。年俸4万ドルや5万ドルはざらですから。

 優秀な記者には10万ドル以上払って当然と考えています。知識・教養はもちろん情熱も併せ持ち、声なき人たちの代弁者になって社会に変化を引き起こしているのですから。

ー日本の新聞記者はそれ以上もらっています。

ワルツマン そうなの? 15年とか20年の経験を積み、それなりの実績を出している記者の場合は?

ー個人によって多少の差はあっても、有力紙ではだいたい一律15万ドル(1200万円)前後です。実績ではなく年功で決まる部分が大きいです。

ワルツマン それはすごい。アメリカ人新聞記者の大半を上回る水準です。トップクラスでしょう。ニューヨーク・タイムズのような一流紙の一流記者でなければここまでいきません。名の売れたコラムニストとかスター記者とか。ひと握りしかいないのは間違いありません。

(略)

(牧野洋のコメント) だとすると、長時間労働を正当化するためには「やりがい」がなければならない。ワルツマンのように「仕事にやりがいがあるからワークライフバランスの面で犠牲を強いられても納得できる」と断言できる記者がどれだけいるか。仮にそう断言できなくても、安易にリストラされる恐れがないからバランスが取れているのかもしれない 

この記事の前半では
 アメリカでは、優秀であるとないとに関わらず、1/4の記者が容赦なくリストラに遭う
という話で、
 しかも、日本のような「高給」を得ていないにもかかわらず、記者達は
 ジャーナリストはおカネだけで働いているわけではありません。権力を監視したり、不正をただしたり、おカネでは測れないやりがいがあるのです。
という、ワルツマンの言葉通りだとすれば、その
 ジャーナリストとしての職業倫理
に従って、働いているのである。
ワルツマンは、ウォールストリートジャーナル、ロサンゼルス・タイムスと渡り歩いた有名記者だ。当然、彼の書いた記事は
 朝日新聞経済部部長
とか
 NHKの論説委員
なんかよりも、遥に世界に影響力を持つ。著書もある。(著書執筆については、アメリカのやり方は、日本の記者達にとっては、垂涎の的ではないだろうか。)
その彼が
 それはすごい。アメリカ人新聞記者の大半を上回る水準です。トップクラスでしょう。
と驚いてみせる、その裏には
 あんなに、クオリティの低い仕事でも、そんなに高給が取れるのか、日本の記者は
という驚きも含まれていると思う。歴史的円高を差し引いても、日本のマスコミ人は貰いすぎだ。

アメリカで起こったことは、早晩日本でも起こる。
日経だろうが、朝日だろうが、読売だろうが、NHKだろうが、
 クオリティに見合わない、「年功序列だけの異常に高い賃金体系」
は、その内消えていくだろう。というか、その前に
 スタッフを大量リストラせざるを得なくなる
と思われる。

日本語の記事は、日本を出ると、ごくわずかしか売れない。
英語なら、世界に発信できるが、日本語の情報だけでは、翻訳という加工が必要だ。そしてなにより
 英語では求められる標準フォーマットを日本語の記事は必ずしも満たしていない
わけで、翻訳される必要のある記事は圧倒的に少ないだろう。

日本国内でしか「売れない日本語の記事」に
 見合わない「高給」
という構造は、早晩崩れる。前にも書いたけど
 人口減少社会においては、新聞購読者は減ることはあっても、増えることはない
からだ。しかも時代は
 紙オンリーから、紙と電子媒体の併用時代
になっている。辞書も、単行本も
 持ち歩きしやすく、中身を取り出しやすい電子媒体
に移行しつつある現在、
 チリ紙交換に毎月古新聞を回収してもらわなくてはいけない新聞「紙」
は、もう売れるはずがない。もし
 今新聞が売れる
ように見えるなら、それは
 前時代の感覚を持つ高齢者中心の世代が購入
しているだけで、彼らが加齢に伴う疾病その他によって
 視力や身体の自由を失う
ようになれば、新聞購読は止まる。
そうなると、
 新聞販売店との関係
が問題になってくる。よく
 インテリが作って、ヤクザが売る
などと揶揄される
 新聞販売システム
だが、この
 新聞社と新聞販売店の関係

 新聞社の収益を支えてきた
わけだ。つい最近もこんな事件があった。NHKより。


新聞勧誘巡り販売店の4人逮捕

2月20日 22時28分

無償で途中解約ができるクーリングオフの書面を出さずに大学生に新聞を購読する契約を結ばせたり、無理に契約を迫ったりしたなどとして、京都市の読売新聞の販売店の男ら4人が特定商取引法違反の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは京都市北区にある読売新聞販売店を経営する高橋早人容疑者(52)と販売員の男ら合わせて4人です。
警察によりますと、高橋容疑者らは、去年4月から12月にかけて京都市内の大学生5人の家を訪れ、クーリングオフの書面を出さずに新聞を購読する契約を結ばせたり、無理に契約を迫ったりしたなどとして、特定商取引法違反の疑いが持たれています。
警察によりますと、4人は、クーリングオフに関する説明を省いた学生向けの文書を用意し、「名前を書くだけでいい。すぐ済むだろう」などと強い口調で迫ったり、扉を強くたたいて面会を要求したりしていたということです。
調べに対してたか橋容疑者ら3人は大筋で容疑を認めていますが、39歳の元販売員の男1人は「覚えていない」と供述し、容疑を否認しているということです。
同じ時期に京都市消費生活総合センターに読売新聞の勧誘に関する相談が57件寄せられていたということで、警察が関連を調べています。
販売店の経営者らが逮捕されたことについて、読売新聞大阪本社・広報宣伝部は「当社と取引関係にある販売店の代表や従業員らが逮捕されたことを重く受け止めます。販売店に対しては、より一層の法令順守と従業員教育の徹底を求めていきます」というコメントを出しました。

まあ、京都にいたころ、
 読売の拡張団のしつこさ
は、有名だったからな。もっとも、ここまで悪質になったのは
 新聞購読者数のノルマがきつくなっている
ってことも背景として考えられる。つまり
 強引に契約を結んで、破棄させないというやり方でもしない限り、ノルマを守れなくなった
要は
 新聞購読者が減っている
ということだ。
で、上記ニュースで注目して頂きたいのは、読売新聞大阪本社のコメント
 当社と取引関係にある販売店の代表や従業員
だ。
 新聞社が新聞を売るのではなく、取引関係にある販売店が新聞を売る
というのが、
 日本の特異な新聞販売システム
であり、それが
 記者の高給を支える原動力
だったのである。当然ながら、こうした
 時には犯罪と見なされる商法が新聞販売では起こりうる
ことについて、新聞社は知っていても、知らぬ顔で放置して
 上がり
をせしめていたのである。

ところが
 紙媒体が減少する一方
となると、当然
 これまで全国に広げてきた「新聞販売店網」の再編
という事態が近く大規模に起こる。ま、一筋縄ではいきませんわね。
新聞販売店の顔を立てるために
 日本の有力紙の電子版の価格は高止まり
だと言われているのだが、この
 新聞販売店の再編
が始まるのと、収益構造の悪化と、どっちが先に
 新聞の電子版の価格押し下げ圧力
になるか、見物だ。
 価格を高く設定しても、数が売れなければ、新聞社は干上がる
からね。

そして
 森林資源を消費する「新聞紙」そのものの存在価値
自体も、
 エコロジーに敏感な若い世代
には、受け入れがたいものになるだろう。

さて、いまのところ
 グローバルな人材とは到底思えず、日本ローカルな「価値」しか見いだせない新聞記者や放送記者
は、果たして
 アメリカの一流ジャーナリストが目を剥いた、クオリティに見合わない「高給」
を、維持していけるのかどうか。

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