藤實久美子『江戸の武家名鑑 武鑑と出版競争』歴史文化ライブラリー257 吉川弘文館 2008 1700円
江戸時代の武鑑といえば、民間の出版ながら、幕府や諸大名・幕臣の動向を知るためには欠かせない史料である。その武鑑をひたすら研究されている藤實久美子氏の武鑑案内というのか、武鑑を巡る出版動向に焦点を当てたのが本書だ。
内容は、深井雅海・藤實久美子『江戸幕府役職武鑑編年集成』(全36卷)に付された解題・解説を更にまとめた、という印象。読みやすさはどちらが上かというと、本書よりは『江戸幕府役職武鑑編年集成』の方が勝る。『江戸幕府役職武鑑編年集成』は共著なので、そのせいかな?
本書の文体は、文体を云云する類ではなく
百科事典の解説文体
なので、あっという間に読める。ただ
武鑑って何?
という疑問に端から端まで答えてくれているか、というとやや疑問が残る。藤實氏があまりにも武鑑にのめり込んでいるので、初学者への親切さを欠いているというところがあるのかも。もっと、一般的な平易な解説部分があった方がいい。
『江戸幕府役職武鑑編年集成』の解題・解説部分だけ、出版してもらえないものかなあ。
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